広告代理店に勤務する薫と乃梨子は同期入社。仲は良いが、どちらも同僚の郁夫に惹かれていた。
しかし、ささやかな駆け引きの後に、薫が郁夫と結婚して主婦に。乃梨子は独身でキャリアを積み続ける。
唯川恵、お得意の「対照的な人生を歩みつつも、相手の生き方を羨んでしまう女達」がテーマ。
彼女はこのテーマでよく書くが、どれも揺れる女の心をリアルに書けていてとても面白い。以前このブログで紹介した『病む月』という短篇集の中の『過去が届く午後』というホラーチックな作品も、このテーマだったしね。
作者の唯川恵自身が、直木賞作家として成功しても、(あの地方銀行のOLだった時代に、あの人と結婚していたら…)といった気持ちになる事が時々あるんじゃないだろうか?
唯川恵は小説家になる事を熱望していたわけではない。金沢という保守的な土地で、フツーの女の幸せを求め、懸命にもがいていたら、いつの間にか小説家として大きな賞を貰っていた、という所ではないだろうか?
だからこそ、彼女の書く女性はリアル。心の揺れは読者の心を掴む。
結局、読者は気付く。
自分以外の人生は生きられない。
この小説の最後で、60歳になった乃梨子と薫が小料理屋で冷酒を酌みかわす場面が出てくる。
いいなぁ。60歳になってもサシで飲める同性の友達がいれば、それこそ生きていた価値はあると思うね。
しかし、ささやかな駆け引きの後に、薫が郁夫と結婚して主婦に。乃梨子は独身でキャリアを積み続ける。
唯川恵、お得意の「対照的な人生を歩みつつも、相手の生き方を羨んでしまう女達」がテーマ。
彼女はこのテーマでよく書くが、どれも揺れる女の心をリアルに書けていてとても面白い。以前このブログで紹介した『病む月』という短篇集の中の『過去が届く午後』というホラーチックな作品も、このテーマだったしね。
作者の唯川恵自身が、直木賞作家として成功しても、(あの地方銀行のOLだった時代に、あの人と結婚していたら…)といった気持ちになる事が時々あるんじゃないだろうか?
唯川恵は小説家になる事を熱望していたわけではない。金沢という保守的な土地で、フツーの女の幸せを求め、懸命にもがいていたら、いつの間にか小説家として大きな賞を貰っていた、という所ではないだろうか?
だからこそ、彼女の書く女性はリアル。心の揺れは読者の心を掴む。
結局、読者は気付く。
自分以外の人生は生きられない。
この小説の最後で、60歳になった乃梨子と薫が小料理屋で冷酒を酌みかわす場面が出てくる。
いいなぁ。60歳になってもサシで飲める同性の友達がいれば、それこそ生きていた価値はあると思うね。