赤い長靴って何かの比喩かな?と思って読み始めたが…何のことはない、クリスマス前にあちこちで売られる、お菓子が何種類か詰め込まれている作り物の長靴のことだった。
この小説の女性主人公・日和子の夫は、結婚以来どういう訳か、毎年このお菓子が詰まった長靴を妻にプレゼントするのだ。
最初の年は「小さな子どもになった気分だわ」と喜んでいた日和子も、年が経つにつれ疎ましくなり、「今年は買ってこないで欲しいの」と夫に告げるが、夫は買ってくる。
「もう欲しくないの」
「じゃまなの」
「困るの。嫌いなのよ」
かなり強く拒否しても、夫はにっこりして「まあいいじゃないか。クリスマスなんだから」と買ってくるのだ。
いったいこのダンナは何を考えているんだろう? いや、考えていないから買ってくるのだ。善意の人だから。
我が家だったら、これがキッカケで大声で罵り合いが始まるだろう。近所の人が驚いてパトカーだって呼ぶかもしれない。
でも日和子はそうしない。困った時、イラついた時、彼女はくすくす笑うのだ。
自分の不在が誰にも影響を与えない日々には戻りたくなかった。それは淋しすぎることに思える。淋しすぎる、そして心細すぎることに。
名言だと思う。多くの別れない男女は、このことを感覚的に知っているのだ。
この小説の女性主人公・日和子の夫は、結婚以来どういう訳か、毎年このお菓子が詰まった長靴を妻にプレゼントするのだ。
最初の年は「小さな子どもになった気分だわ」と喜んでいた日和子も、年が経つにつれ疎ましくなり、「今年は買ってこないで欲しいの」と夫に告げるが、夫は買ってくる。
「もう欲しくないの」
「じゃまなの」
「困るの。嫌いなのよ」
かなり強く拒否しても、夫はにっこりして「まあいいじゃないか。クリスマスなんだから」と買ってくるのだ。
いったいこのダンナは何を考えているんだろう? いや、考えていないから買ってくるのだ。善意の人だから。
我が家だったら、これがキッカケで大声で罵り合いが始まるだろう。近所の人が驚いてパトカーだって呼ぶかもしれない。
でも日和子はそうしない。困った時、イラついた時、彼女はくすくす笑うのだ。
自分の不在が誰にも影響を与えない日々には戻りたくなかった。それは淋しすぎることに思える。淋しすぎる、そして心細すぎることに。
名言だと思う。多くの別れない男女は、このことを感覚的に知っているのだ。
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