ケイの読書日記

個人が書く書評

三輪達司 「パキシル」

2016-10-25 13:03:58 | Weblog
 パキシルという抗うつ薬の名前は知っていた。ずいぶん前、山本文緒のエッセイで「うつ病で医者から処方されたパキシルを飲むと、すごく仕事がはかどる」みたいな事が書いてあったから。それに語感が良いよね。「パラソル」とか「ペンシル」を連想して。

 この本は自費出版なのかな? 文章がひどいので、途中で読むのを止めようかとも思ったが、主人公の27歳女性・ななめが、あまりにもダメダメ人間なので、それに引きずられるように読んでしまった。
 「ななめ」はもちろん本名ではなく、世の中をななめに見ているからと自分でつけた。唇にピアスをじゃらじゃら付けているので、一見怖そうに見えるが、本当は気が弱く、バイト先の同僚に強いことを言われても言い返せない。過去にいじめにあって、手首にリストカットの跡がたくさんある。
 自宅で家族と住んでいて生活の心配がないので、バイトをしたりしなかったり。父親から生活費を入れるようにと強く説教されるがしない、というか出来ない。さすがにお小遣いは親からもらえないので、本当にお金に困ると、出会い系サイトで援助交際の相手を見つけようとする。(中高生が援交という言葉を使うのはまだ分かるが、27歳女がエンコーというのは、どうなんだろう?売春と言った方が、正確な表現だと思うけど)
 うまくいく時もあるが、本当に怖い体験をする時もある。

 そんな彼女が、ミシン販売のアルバイトをしている時、職場は違うがイサトという中年男と出会う。彼とギターの話で盛り上がり、ななめはベースギターを買ってギター教室に通う。
 イサトは彼女の才能を認め、2人はバンドを組み、『パキシル』と名付け、あちこちに遠征する。

 ここまで読むと、この小説はロックバンドのサクセスストーリー物なのかと思うが、違うんだよね。支離滅裂なストーリー。
 だいたい、今までなんの楽器もやったことないのに、ベースギターってそんなに簡単に弾けるようになるんだろうか?

 一時は上手くいっていた二人だが、ケンカ別れし、ななめは音楽への興味を無くす。保険のつもりで付き合っていた男と同棲するが、家賃の折半を要求される。彼はななめと結婚する気はないようだ。そんな時、実家に気味の悪い荷物が届き…。

 神さまのように、ななめを守ってくれていたイサトが、ストーカーに徐々に変化していく。ストーカーも最初からストーカーだった訳じゃない。初めは良い人だったんだ。それにしても、このイサトっていう男はよくわからないな。

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2 コメント

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たかさんへ (kei)
2016-10-27 11:09:21
 コメント、ありがとうございます。
 実は『パキシル』のタイトルを見て、山本文緒とたかさんを思い出したのです。
 以前、ブログに載ってましたよね。覚書か何かで。
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Unknown (たか@ヒゲ眼鏡)
2016-10-26 01:30:31
実はパキシル、もうずっと飲んでます(^^;。鬱気質なので。今日も飲みます(笑)。
でもパキシルは、あ、効いてる! という様な劇的自覚はないですよ。ずっと飲み続けてると、あ、安定して来てるかも? って感じです。
寧ろ、安定剤系の方が即効の効いてる自覚はあります。
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