ケイの読書日記

個人が書く書評

中居真麻 「私は古書店勤めの退屈な女」 宝島社

2019-11-23 15:50:22 | その他
 最初、題名を見て、古本屋に勤めている女性の業務日誌風のエッセイかな?と思って読み始めたが、これってW不倫のお話なのだ。
 私は知らなかったけど、著者の中居真麻さんは、『恋なんて贅沢が私に落ちてくるのだろうか?』で、第6回日本ラブストーリー大賞を受賞した人らしい。そんな「日本ラブストーリー大賞」なんて賞がある事を知らなかった。つまり彼女は、恋愛小説のスペシャリスト?

 私は恋愛小説は苦手であまり読まないから、やめようかとも思ったが、これも何かの縁だと思いなおし読み進める。


 波子さんという女性が、結婚4カ月くらいで、ダンナの上司と親密になる。上司の方は妻と子供が2人。お互い、大切なものを守った上での関係という前提だったが、波子さんはどんどんのめり込んでいく。ダンナにバレ、修羅場になる。ダンナは会社を辞め、夫婦仲は最悪に…。

 結局、波子さんたち夫婦は離婚する。これはもう仕方がない。不倫相手が知らない相手ならまだしも、自分の直属の上司だったら、どうしようもない。ただ、このダンナもイライラさせられる男なのだ。
 ねぇ、どうしてアンタが会社を辞めるの? 会社辞めるのは上司の方じゃない? 創業者一族のお坊ちゃまと言う訳でもなく、ただの勤め人でしょ? 社長に直訴するなり会社内でもっと騒ぎなよ。会社辞める気でいるなら、相手も道連れにしてやる!!くらい思わないのかなぁ?
 ダメージを与えられるよ。なんせ相手は妻子持ち。再就職も年齢的に難しいだろうし。

 それに妻の不倫相手の上司に「殺す」なんてメールを送っては、こっちが罪に問われるよ。お金を貰いなさい。ソイツからも自分の女房だった女からも。いい弁護士を頼んで。キレイに別れようなんて思わない事。できるだけグチャグチャになって、もう金輪際こんな事はまっぴらだ!と疲れ果てるまで揉めた方が、次につながるよ。
 そら、前を向け! 気になる女の子ができたら、前のカミさんなんか、きれいさっぱり忘れてしまうよ。

 題名は忘れたけど、唯川恵の恋愛短編小説にこんなのがあった。
 結婚が決まった女が、既婚の同僚Aに「前から好きだった」と口説かれ、フィアンセBを捨てて、そのAと不倫関係になる。Aは妻子を捨てて女と一緒になるが、慰謝料や養育費があるので生活は苦しく、女は自分の子どもをあきらめ、おしゃれも出来ない。
 ある時、女は、かってのフィアンセBと街中でばったり出会う。生活に疲れている女に比べ、Bは子供2人と奥さんを連れ、幸せそうに買い物をしている。Bの子どもが「お父さん、この人だれ?」と聞くと、Bは微笑みながら「昔の知り合いだよ」と子どもに答える。
 女は大きなショックを受ける。「元のフィアンセBは、自分をまだ心の中で想い続けているはずだ」という思い込みが全く違っている事に愕然として。 そんなもんだよね。

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