ケイの読書日記

個人が書く書評

石井光太「近親殺人 そばにいたから」新潮社

2023-10-14 11:55:04 | その他
 どうして私は、こういった本を好んで読むのかな? 前回読んだのも、娘が母を殺した事件を取り扱った『母という呪縛 娘という牢獄』だった。興味があるというか、身につまされるというか…。反対に繁華街で見知らぬ人たちを襲う通り魔殺人は、私にはピンとこない。全く知らない人に、そこまで強い殺意を持てるだろうか。その心理が、私には理解できない。

 実は、今の日本の殺人事件の半数が、家族といった親族間で起きるらしい。やっぱり、家族だからこそ身内だからこそ、許せないこともあるんだろう。

 娘たちが介護を放棄して、結果的に母親を死なせた事件、生活苦から母親と心中しようとしたが息子は助かった件、姉が精神疾患から狂暴化し家族に危害を加えるので、妹が思い余って殺してしまった事件等々、陰惨な事件が色々あるが、引きこもりの子どもを親が殺した事件って多いんだ。

 「はじめに」に取り上げてある「元農水事務次官長男殺害事件」は本当に衝撃的だった。こんなに経済的にも人的コネにも恵まれた元エリート官僚が、息子を殺さなきゃならないほど追い詰められていたなんて…。ただ、社会的な地位があるから逃げられず犯行に至った面もあると思う。
 これが失うものは何もない親だったら、どこかに逃げて行きそれっきりにすればいい。殺すことになるんだったら、捨てたほうがよほど良い。ただ、まともな親は子を捨てきれないんだよね。
 家族への暴力がひどくなると、アパートに移って別に生活する事もあるが、暴力をふるう子どもは何もできないので、お金を渡し、散らかった家を片づけるため時々戻る。その時にまた激しい暴力が。

 いつも思うけど、親って(特に母親)殴られていい存在なの?母親が激しい暴力を受けているのを知っている夫や行政の支援員は、なぜ警察に通報しないの?死んでから通報するの?たしかに心を病んでいる引きこもりの子どもが、一番辛いのかもしれないが、だからといって好きなだけ母親を殴っていい事にならないよ。病院も、本人が嫌がるからという理由で、家庭に戻すなよ!また、凄まじい暴力が始まるだろうよ。
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