ケイの読書日記

個人が書く書評

「7人の名探偵」 講談社NOVELS

2019-02-02 09:01:59 | その他
 麻耶雄嵩  「水曜日と金曜日が嫌い   大鏡家殺人事件」
 山口雅也  「毒饅頭怖い  推理の一問題」
 我孫子武丸 「プロジェクト・シャーロック」
 有栖川有栖 「船長が死んだ夜」
 法月綸太郎 「あべこべの遺書」
 歌野晶午  「天才少年の見た夢は」
 綾辻行人  「仮題・ぬえの密室」

 新本格30周年記念アンソロジーというサブタイトルがついている。綾辻が『十角館の殺人』を講談社ノベルスで発表したのが1987年。それが呼び水となって「新本格ミステリムーブメント」が起こり、続々と新本格ミステリの作家さんがデビューした。それから30年、それを記念して、7人の作家が7編の短編を書いている。


 いやあ、やっぱり、新本格ミステリの双璧は、有栖川有栖と法月綸太郎だなぁ、という事がよく理解できる競作集。ベタだが、心底そう思う。
 もちろん、ブームの火付け役は綾辻だから、このアンソロジーのトリである第7話に彼の作品が載ってはいるが、本人も、ぼくは本格ミステリというよりホラー寄りの作家と自認していらっしゃる。だから「仮題・ぬえの密室」はミステリというより、謎解きスパイスを効かせたエッセイ。彼の青春グラフティ。ただ、そのエッセイが心に染みるんだ。しみじみと。

 綾辻は1960年生まれで、京都大学ミステリ研出身。当時の京大ミステリ研がまたスゴイんだ! 我孫子武丸、法月綸太郎、麻耶雄嵩といった著名作家を次々輩出。このミステリ研には、後に綾辻の奥さんになる小野不由美も在籍していた。ものすごいラインナップ!!
 そしてこの時期の京都には、大学は違うが、有栖川有栖がいた!(彼は同志社) すごいね京都!!!! いくら古都とはいえ学術都市とはいえ、一介の地方都市になんでこんな才能の持ち主が集まったのか?!
 デビューは綾辻の方が早いが、実年齢は有栖川の方が1つか2つ上。大学時代、面識があったかどうかは、私は知らない。
 でも、有栖川がデビュー以来、次々と新本格ミステリを書き続けているのが気にならないはずはない。
 国名シリーズなんて、本当に見事です。
 綾辻の「仮題・ぬえの密室」には、有栖川有栖へのリスペクトがあふれている。

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