ケイの読書日記

個人が書く書評

メフィスト編集部・編 「0番目の事件簿」

2013-10-16 09:26:25 | Weblog
 このアンソロジーは、ちょっと異色。
 11人のミステリ作家が、デビューする前に書いた自作品に、執筆当時の思い出を語るエッセイを添えている。だから0番目。その11人のミステリ作家がすごい。

 有栖川有栖、法月綸太郎、霧舎巧、我孫子武丸、霞流一、高田崇史、西澤保彦、初野晴、村崎友、汀こるもの、綾辻行人

 ね、すごいでしょう?
 デビュー前の作品だから、完成度は低い。でも、雰囲気とか特色はそのまま。有栖川や法月は論理的。綾辻はミスリードがうまい。
 それに、執筆当時の背景を書いたエッセイも興味深い。

 ほとんどの人が、大学のミステリ研究会みたいなサークルに所属していたんだ。特に、綾辻、法月、我孫子たちがいた、京都大学推理小説研究会は有名。正会員ではないが小野不由美が遊びに来ていたみたいだし、別の大学だが、京都には同世代に有栖川がいたしね。
 すごいなぁ。漫画家にとってのトキワ荘みたい。まさに青春グラフティ。誰か、当時の事を書いてくれないかな。

 それに、ちょっとした内輪話も面白い。
 名探偵・法月綸太郎は、最初は法月林太郎だったらしい。それを、島田荘司の勧めで、綸太郎にしたとか。
 そうそう、霧舎巧のペンネームも、島田荘司が命名したんだそうだ。


 作品としては、我孫子武丸の「フィギュア・フォー」がバカバカしいけど、一番好き。殺されて倒れこんだ男が、不可解なポーズをとっている、一種のダイイングメッセージなのだ。死にかけた男が薄れゆく意識の中で、犯人を示すために、これだったらやるかもしれないと思わせる。
 でも、私から上の年代の人じゃないと、理解できないかな。

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