ケイの読書日記

個人が書く書評

湊かなえ 「贖罪」  二葉文庫

2017-10-16 10:40:37 | 湊かなえ
 WOWOWでドラマ化しているので、知ってる人も多いと思う。(私は観てないけど)

 15年前、静かな田舎町で、一人の女の子が性的暴行を受け殺害された。フランス人形のように可愛らしかったエミリちゃん。
 直前まで一緒に遊んでいた4人の女の子は、犯人と思われる男と会話していたが、なぜか顔が思い出せず事件は迷宮入りになる。
 4人も目撃者がいるんだ、犯人はすぐ逮捕されるだろうと思っていたエミリちゃんの母親は驚き、嘆き悲しみ怒り、その矛先を4人の女の子に向けた。
 母親は言った。「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それが出来ないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい」と。重い十字架を背負わされた4人の少女は、15年後、時効の直前に、それぞれの償いを果たそうとする。

 『親の因果が子に報い』という言葉を思い出した。すべての元凶は、このエミリちゃんのお母さん。
 なにを、10歳の女の子4人集めて、怒鳴り散らし、脅迫してるんだ。すべて、おまえのせいだろうーーーが!!!
 金持ちのぼんぼんをつかまえ、良家の奥様におさまった。でも若い頃、さんざん酷い事やったそのバチが、いつか当たるんじゃないだろうかという怖れが、この女には全くないんだ。サイテーです!!

 4人の女の子の中で、真紀が一番、償いに真摯に取り組んだ。彼女は、小学校の先生になり、不慮の事故や事件から子どもを守ろうと、体を鍛えていた。そんななか、プール指導時に、不審な男がサバイバルナイフを持って男児に襲いかかる。真紀先生は果敢に応戦、男はあやまって自分の太ももを刺し、プールに転がり落ちる。
 プールから上がろうとした男の顔をけりつけ、男をプールに沈めるが、その後、男の死亡が確認。殺人罪で、真紀は警察に逮捕される。

 こういう場合、いったい真紀はどうすればよかったんだろうか?不審者には、精神科に通院歴があるという。でも、そんなこと、その場じゃわからない。目の前の危機には関係ない。プールから上がろうとした男の顔を蹴り上げたのは、プールサイドにまだ、最初に刺された男児が残っていたから。
 後から、マスコミや保護者がやりすぎだ、殺人だと、非難するのはおかしいよ。

 湊かなえも、教師の経験があるから、保護者の理不尽な要求に、うんざりする事も多かったんだろう。

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