ケイの読書日記

個人が書く書評

クリスティ作「リスタデール卿の謎」を読んで

2005-08-31 16:14:20 | Weblog
大好きな本・読んだ本

 これは1934年に刊行されたノンシリーズ。だからポアロもミスマープルも出てこない。12の短編が収められている。
 クリスティの作品としては珍しく市井の人々が主人公になっている短編が多い。
 クリスティの作品を読んでいつも楽しめるのは、その当時のイギリスの風俗がよくわかるから。
 例えばこの短篇集の中の『ジェインの求職』には、目下失業中で懐具合がかなり逼迫し始めているキレイで頭のいい若い女性が出てくる。彼女は目玉焼きを一皿とお茶を一杯やっとのことで注文し、新聞の求人欄を見ている。
   経験豊かな速記タイピスト、投資のできる商社の支配人、養鶏の女性共同経営者、コック、メイド、小間使い・・・・・・

 厳しい、本当に厳しいね。明日は目玉焼き一皿さえも注文できないかもしれない。1934年だったら、まだ社会保障制度がきちんとしていないから、なおさら厳しい。
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