ケイの読書日記

個人が書く書評

田中慎弥 「共喰い」 集英社

2025-03-04 14:30:02 | その他
 第146回(平成23年度下半期)芥川賞受賞作。ずいぶん前の作品だが、受賞当時話題になって、その時、読みたいと思ったがそのままになっていた。先日、ブックオフで見つけ購入。

 性行為の最中に、女を殴ったり首を絞めたりすると、性感が高まるという父親を持つ男子高校生は、自分も父親のようになりはしないかと恐れている。男子高校生の両親は、父親のその暴力のせいで離婚し、彼は父親方に引き取られている。こんなクソオヤジでも、相手をする女はあちこちにいて、今は小料理屋の女が、彼らと同居している。
 住居は海に近い川沿いで、海水と淡水がまじりあい、魚の種類が多い。男子高校生は釣りが好きで、ウナギを釣り上げたとき、釘の両端がウナギの肉を突き破り、ウナギの頭が裂けて崩れるのに性的興奮を覚える。

 こういった記述を読むと、神戸の首切り事件を思い出すなぁ。ほら、14歳の男子中学生が、弟の友達の知的障害がある小学生を殺し首を切断、近くの中学校の校門の前に置いた事件。あの加害者も、小さいときから小動物を殺すのが好きだったんだろう。野良猫を捕まえて殺し解体するのに性的快感を覚え、やめられない。殺した猫の舌を切り取って瓶に詰め、自室の屋根裏にコレクションしていた。そして対象が、小動物から小さな子供へ移っていった。
 加虐行為と性的快感が結び付くと、本当に困る。

 女の方もちゃんとしなくちゃね。殴られて女も気持ちいいだろうと、カン違いする男もいるようだから、ハッキリNO!と言う。そうして法的な措置を取る。
 この男子高校生には一つ年上のガールフレンドがいる。何度も性行為をするが、彼はいつか彼女を殴るんじゃないかと恐れをいだいている。どうだろうなぁ。こういうのは治るんだろうか?一定の割合でいるんだよね。
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