ケイの読書日記

個人が書く書評

群ようこ「れんげ荘」

2012-01-10 13:34:27 | Weblog
 先回が重たい内容だったので、今回は軽くサクサク読める本を、という事で、群ようこをチョイス!

 キョウコは、有名広告代理店で働く45歳のキャリアウーマン…といえばカッコいいが、取引先へのおべんちゃら、お愛想笑い、接待漬けの毎日に嫌気が差し、会社を早期退職。
 サッパリと無職になって、都内の古い木造アパート『れんげ荘』に引越し、月10万円で貯金を取り崩しながら生活する事になった。

 うーん、月に10万円か…トイレ・シャワー室共同の木造アパートの家賃は月3万円。ということは月7万円で生活しなくてはならない。
 春や秋だったら、水道・ガス・電気は基本料金ですむだろうが、冬の電気ストーブの電気代がバカにならないと思う。
 古い木造アパートだから、灯油ストーブは使用禁止らしい。

 服はOL時代のものがあるから買わない事にして、食費はいくら自炊でも2万円ぐらいするのでは?
 7万円の生活費というのは、本当にキビシイ! これだと病気になれないよ。
 そもそも、国民年金・国民健康保険は払わないと決心しなければ、生活できない。

 このキョウコさんは45歳で会社を辞めたが、80歳になるまでの35年間、月10万円で生活できるだけの貯金をしたらしい。
 つまり、10万円X12ヶ月X35年間=4200万円!!!

 えぇぇぇ…こんなに貯まるの?大手広告代理店(つまり電通みたいな会社)に、大学卒業後すぐ勤めて23年経つと…。もちろん実家から通う条件で。


 れんげ荘の他の住人の事とか、家の中でも野宿と変わらないボロアパートの話とか、色々面白い話が盛りだくさんに書かれているが、とにかく最初から最後まで、お金の事を考えさせられる小説でした。

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