ケイの読書日記

個人が書く書評

村上春樹編訳 「レイモンド・カーヴァー傑作選」

2013-04-19 14:08:26 | Weblog
 最近、私が村上春樹の翻訳物をよく読んでいるのは、にわかファンになったからではない。
 我が家のテーブルや机に、なぜか放置されているので、もったいないから読んでいるのだ。どうも三男が、買ったはいいが、読まずにほったらかしにしているらしい。
 授業で使ったんだろうか? とにかく、ほとんど読んでいない。読んだ形跡がない。新品同様なのが、情けない。
 せっかくの、村上春樹サマではないか。そんなことじゃ、女の子にモテないよ。


 という事で、レイモンド・カーヴァーを読む。1938年~1988年。アメリカの小説家・詩人。村上春樹が気に入って翻訳して日本に紹介したので、人気上昇中…らしい。
 
 この傑作選の中には、短編ばかり収められているので、すごく読みやすい。もともと短編作家なのだ。そうだなぁ、麻とか木綿とか、天然の繊維の手触り。
 1960年代~1970年代の、アメリカのプアホワイトというかブルーカラー家庭の日常が、淡々と小ざっぱりと書かれている。
 このころのアメリカは世界の富を独り占めした国だったが、貧しい人は貧しかったんだ。
 この世代の作家だったら、ベトナム戦争の事は当然避けて通れないと思うが、このカーヴァー氏は、政治的な事柄にはまったく興味がないようだ。



 一番気に入った作品は「収集」。掃除機のセールスマンと、その対応をしている男のやり取りが、ちょっとシュール。戯曲にするとすごく面白いんじゃないかな?

 もう1作「足もとに流れる深い川」も気にかかる。
 仲の良い中年男4人が、川にキャンプに出掛ける。5マイルも歩いて、やっとのことでキャンプ地につくと、若い女性の全裸死体が川上から流れてくる。驚いて警察に知らせようとするが、5マイルも戻るのは大変だ、どうせ死んでるんだ、という事で、予定通りキャンプを続け、帰る途中で警察に通報。
 その行動が、周囲に波紋を投げかける。

 そうだよね。全裸の水死体が流されていかないように、繋ぎ止めているその川の水で、ウイスキーの水割りを作り、皿を洗うのだ。ちょっとしたホラーです。モデルとなった事件でもあったのかな?

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