ケイの読書日記

個人が書く書評

「おじいさんのとっておきの話」 東北の民話

2021-08-07 16:39:34 | その他
 親戚の引っ越しを手伝っていたら、もう捨てるからと言われもらった一冊。本といってもお薬手帳を一回り大きくしたくらいの大きさと厚さの絵本。豆本みたいな感じ。

 東北の民話といっても類型化された民話は、どの地方もさほど変わり映えしない気がするな。
 でも、その中で「おしらさま」の話は、理解が進んでよかった。民話でなくても、東北地方を題材とした文章を読むと、土着信仰なのか土着遊具なのか「おしらさま」の話が結構出てくる。前後の文章を読み、自分で想像していたが、だいたいこういう事だったんだ。

 昔、北国一の長者がいて、一人娘をたいそう可愛がっていた。娘の遊び相手に栗毛の美しい馬を与えたら、年とともに大のお気に入りになり、とうとう結婚したいと言い出した。
 長者は怒って、馬を殺して皮をはぎ、桑の木にかけておいた。すると突然、強い風が吹いて馬の皮が娘の上にかぶさり、娘と一緒に空高く飛んでいってしまった。
 それからというもの、長者は病に臥せっていたが、ある夜、夢枕に娘が立ち、桑の木を指さして消えてしまった。長者が桑の木をよく見ると、二匹の虫が仲良く桑の葉を食べている。その二匹は、どこかしら娘と馬に似ている。長者は、娘と馬の顔を桑の木に彫り、一対の神様として大切に祀った。これは蚕の神様。

 ふーん、なるほどね。だからこの地方では「おしらさま」は、だいたいどの家にもあって、あまり信仰心の無い家庭だと、子どもの玩具になっているのか。


 異種婚っていうの? 日本でも外国でも、人間と人間以外との結婚話って、結構あるよね。この本の中にも「さるのむこさま」という話がある。

 おじいさんが娘3人と一緒に暮らしていた。広い畑を一人で耕すので難儀していた。畑仕事を手伝ってくれたら娘を嫁にやると、サルに言ったら、サルは大張り切りで手伝い、畑仕事はどんどん片付いた。
 おじいさんは、サルとの約束を娘たちに伝えると、姉二人は相手にせず末娘がサルの嫁になることに。サルと暮らし始めた娘が、里帰りしたいと言い出し、おじいさんへのお土産に餅をつき大きな臼のままサルにしょわせた。山越えの道すがら、藤の花が美しく咲いている。娘はサルに「おじいさんの好きな花だから、一枝とってきて」と頼む。サルが藤の木に登り手を伸ばすと、バキッと枝が折れ、川に落ちて流されてしまった。末娘は家に帰って、元のようにおじいさんと暮らしました。めでたしめでたし。

 怖い話だなぁ。サルを、力は強いが頭の弱い男と置き換えてみると、こういう話はあちこちに転がっていたんじゃないかなぁ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 内館牧子 「すぐ死ぬんだか... | トップ | 益田ミリ 「青春、手遅れ」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事