ケイの読書日記

個人が書く書評

塩野七生 「コンスタンティノープルの陥落」その① 新潮文庫

2022-01-21 15:32:49 | 塩野七生
 ソ連が崩壊し、そのあおりでユーゴスラビアが解体する。社会主義の名の下でまとまっていたユーゴ内のそれぞれの民族が、互いにいがみ合い殺しあう戦争状態になり、NATOが空爆する事態にまで発展する。

 このボスニアヘルツェゴビナ紛争が表沙汰になった時、バルカン半島ってヨーロッパの火薬庫といわれモメまくった地域だと社会の授業で習ったが、どうしてこんな所にイスラム教徒がたくさん住んでいるんだろうと不思議だった。でも、この本を読んでよく分かった。
 南欧・東欧って一時期、イスラム教国のオスマントルコの支配下にあったんだ。だから、キリスト教国側が盛り返し失地を回復しても、イスラム教徒の信仰を捨てず、その地にとどまった人が相当数いたのだ。

 だいたい、この本のタイトルのコンスタンティノープルも、キリスト教国側からの呼び名で、いまはイスタンブール、トルコの首都です。

 東ローマ帝国の都として、コンスタンティノープルは栄えたり滅亡しかけたりして1000年以上も命脈を保ってきたが、1452年マホメット2世率いるオスマントルコに滅ぼされる。
 この当時のオスマントルコの勢力範囲って、本当に広大!! すごい! 世界地図を見ると、イスラム教圏がキリスト教圏を圧倒している。
 大変失礼な言い方だけど、こんな時代もあったんだね。今では信じられない。現代では、キリスト教圏のイスラム教圏に対する優位性は、まったく揺るがないどころか、その差は開く一方のように見える。どうしてこんなことが起こるんだろう? 世界史って不思議です。
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