ケイの読書日記

個人が書く書評

塩野七生「コンスタンティノープルの陥落」その④ 新潮文庫

2022-02-12 10:52:33 | 塩野七生
 第7章「最後の努力」というところで気分が重くなって、読み進められないでいる。オスマントルコは馴染みが薄いので、私の気持ちは東ローマ帝国の首都コンスタンティノープル側。
 周囲を包囲され、未来のない籠城戦を戦っているコンスタンティノープルだが、それでも最初のうちは、海になれないオスマントルコを海上戦で破り、意気が上がった事もあった。
 しかし圧倒的な兵力と物量のオスマントルコに、どんどん追い詰められていく。

 それにしても1453年の戦いだけど、いろんな戦法があるんだね。一番驚いたのは、大型船を陸路で運ぶこと。ボスフォロス海峡から金角湾に入る所に封鎖用の鉄の鎖があるので、戦闘用の大型船は入って来れない。だから海沿いの陸路に木材で軌道を作り、車輪付きの荷台に船を載せ、牛や人に引かせて陸越えし、金角湾の内に入れたのだ。すごいねぇ。この時代にこんなことができるの?と感心していたら、その15年前に、北イタリアでヴェネツィア共和国が艦隊の陸上輸送をやっていたらしい。
 本当に戦争って、ものすごく科学技術を向上させるんだ。

 結局、当時はイスラム教圏の方がキリスト教圏よりも、思考が柔軟なんだ。新しい科学技術を受け入れる素地がある。鉄壁と思われたコンスタンティノープルの城壁を破壊した大砲も、作ったハンガリー人技術者は、最初コンスタンティノープルに行ったのに、相手にされず追い返された。その彼を雇って大砲を作らせたのは、オスマントルコのマホメット2世。
 東ローマ帝国は滅びるべきして滅んだんだ。
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