ケイの読書日記

個人が書く書評

山田孝明 「親の『死体』と生きる若者たち」 青林堂

2020-09-18 15:59:16 | その他
 著者の山田孝明氏は「40代50代ひきこもり家庭支援組織」の代表をやっている人らしい。

 そういえば、ちょっと前まではNHKなどで「7040問題」「8050問題」として、特集が組まれていたような気がするが、最近はコロナの影響か、そういう番組を見なくなった。50代ひきこもりと80代の親が社会的に孤立し、困窮する問題が無くなった訳じゃないのに。
 親の年金で生活していた子ども世代が、親が亡くなったら年金がストップし生活できなくなるので、葬式を出さず親の遺体をそのまま放置し、年金をもらい続けていた、なんて記事が新聞の社会面にちらほら出ている。私もたびたびそういう記事を読む。

 著者に言わせると、年金がもらいたくて、親の遺体を放置しておくのではなく、どうすれば良いのか分からなくて、放置してしまうとのこと。そういうものなんだろうか?

 腐敗臭もすごいだろうし、蛆がわいてハエがたかる。ハエが窓ガラスにびっちり貼りついて、たくさんのゴキブリが床をぞろぞろ。うげぇ!!!! 想像するだに恐ろしい。
 そんな場所で生活するより、警察に電話したり、交番に行ったり、救急車を呼んだりして、遺体を片付け、あらたに福祉のお世話になろうとは思わないんだろうか? 思考がストップしている。というか思考が切断されている。
 でも、コンビニに行って食料品を買ってくるという、社会的な行動をとる事は出来るんだからなぁ…。

 いろんな事例が紹介されているが、精神科医の父親70歳代半ば+大学を中退して自宅に引きこもる親子 が印象的だった。
 そうだよ。親が精神科医でも心理学者でも教育学の権威でも、子どもが引きこもりになる時はなるんだよ。かえって親に社会的地位があったりすると、子どもの事を隠すから、余計に引きこもりになるかもしれない。
 どうすれば良いんだろうね。私自身、もともと引きこもり気質の人間だから、こういう本を読むと真剣に悩みます。

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