ケイの読書日記

個人が書く書評

恩田陸 「ブラック・ベルベット」 双葉社

2018-10-24 13:45:56 | 恩田陸
 主人公・神原恵弥(かんばらめぐみ)は、アメリカの製薬会社日本法人に勤め、1年の半分を海外出張している。ウィルスハンターというのだろうか、薬の原材料になりそうなものを世界各地で探しているのだ。
 その彼が知人から「T共和国に行くなら、この女性アキコ・スタンバーグを探してほしい」と頼まれた。T共和国では、薬や健康食品の見本市が開かれ、それの視察に行くのだが、もちろんそれは表向き。水面下では、怪しげな人物との接触を図ろうとしている。
 T共和国の見本市に到着した恵弥が、指示されたカフェに行くと、窓からアキコ・スタンバーグが歩いているのが見えた。驚き慌てて、彼女を追いかけると、彼女は通り魔に刺されて…。

 恩田陸の作品だから、ツマラナイわけないが竜頭蛇尾というか尻すぼみというか…。謎は一応解けたが、すごいアクションシーンを期待していたのに、ちょっと残念。
 これは、シリーズ第3作という事なので人気があるんだろう。キャラが立ってる。青年マンガ誌に連載されてもおかしくないぐらい。

 主人公・神原恵弥は、とっても個性的。中肉中背、引き締まった筋肉、短く刈り上げた漆黒の髪に浅黒い肌、端正な顔立ち、年齢は30代半ば。でも、最初の独白のセリフが「わざとなの?」だったので、えっ?! 女の人だっけ? と、前のページを読み返したのだ。ゲイに近いバイという設定。
 彼の双子の妹も、腹黒く口と根性が悪い弁護士だし、彼の友人たちも放浪癖があったり、エリートだけどエキセントリックな所があったり。脇役陣も魅力的。

 そうそう、恵弥には特殊な能力があり、見た物を写真のように記憶することができる。地図を記憶するのは得意で、等高線を見れば3D画像を写し出すがごとく、頭の中に実際の風景を思い描くことが可能。
 人物でも、正面、右側、背後、左側、上から、下からの写真が複数あれば、頭の中でその人物が立ち上がってくる。スゴイ能力!
 こういう登場人物は、恩田陸作品によく出てくる。

 シリーズ第1作『MAZE(メイズ)』 第2作『クレオパトラの夢』両方とも双葉文庫で出てるらしい。絶対読もう!

P.S. 私、一番最初に「恵弥」を「えみや」と読んでしまったので、どうしても「めぐみ」とは読みづらい。一度頭に入っちゃうと、面倒くさいよね。

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