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減点評価発想から加点評価発想に-介護と育児-

2008-03-16 21:42:49 | ライフスタイル
最近気になるニュースがある。
それが「老老介護の果てに心中」と言うニュースだ。
先日も、「認知症の奥さんの看病に疲れ果てた旦那さんが、奥さんを殺した」と言うニュースがあった。
このようなニュースを聞くたびに、悲しくなるのは私だけではないだろう。

そして、今日の毎日新聞には幼児食:「自信がない」7割 専業主婦ほど悩み深く?と言う記事が掲載されている。
暫く前から文科省などが中心となって推し進めている「食育」という点からも、乳幼児の食事は大切だとされている。
その食事を作っているお母さんたちにとって、食事を作ることが悩みとなっているのだ。
インターネットや育児雑誌などを片手に、孤軍奮闘しているお母さんたちが多いということも分かる。

「老老介護」と「育児」と言う、正反対のコトでありながら共通する点がある。
それが「(一人で)何とか、100点満点のコトをしよう」とする姿だ。
それも雑誌やインターネットなどから得た情報が、「当たり前に、誰でもやっているコト」として、とらえられている傾向があるように感じる。
それらの介護や育児ができなければ、「評価されない」かのような、「幻想」にとらわれているように思えてならない。

考えてみれば、日本の評価スタイル(と言ってよいのだろうか?)は「減点評価」だと言われてきた。
企業や官庁などのエリートコースを歩む必須条件として、「(人事考査)減点が無いコト」だと言われている。
もちろん、自分に与えられた職務を真っ当した上で、減点評価が無いということなのだが、最近では職務に対しても80%程度で抑えてしまっているような気がする時がある。
「能ある鷹は爪を隠す」とは言うが、「失敗を恐れて、チャレンジしない」と言う感じなのだ。
もしくは、「マニュアル以上のコトは、やりたくない」と言う感じなのかもしれない。

だが、介護にも育児にもマニュアルは存在しない。
なぜなら、一人ひとりの存在そのものが「個性の塊」だからだ。
自分が苦手なトコロや、疲れて自分が納得できるケアができないのであれば、他の人の支援を受けることは、決してマイナスではない。
何よりも大切な事は、「こんなコトで困っています。サポートをしてください」と声を出すコトなのではないだろうか?
その様な声が大きくなることで、実際の現場を知らない人たちを動かすことにも繋がっていくのではないだろうか?

赤ちゃんの成長は、「昨日できなかったことが、今日できるようになった」と言う、プラスの集まりだ。
それはお母さんにとっても、「一つ新しいコトができた」と言うことなのではないだろうか?
介護にしても、「そのままにしておけば衰え、機能しなくなる体を維持できた」という、プラスだろう。
「できない」のではなく、維持することもまた「できた」コトなのではないだろうか?

そろそろ、「世間の100点満点から、引いていく」発想を、変えてみる時期なのではないだろうか?