日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

聖火リレーが残していったもの

2008-04-27 21:42:16 | 徒然
昨日行われた長野での聖火リレーは、逮捕者6名を出し終わった。
とはいっても、欧米で見られたような過激な内容では無かったように思う。
生卵が投げつけられたといっても、97年のフランスW杯予選で日本がUAEと引き分けた国立競技場の時ほどではなかったことを考えれば、「騒動に便乗した」という気がする。
このような輩は、圧制化された国以外ではいつの時代にもいるので、ある程度は想定内だったのではないだろうか。

それより気になったのは、「ここはどこ?」という印象があった中国の赤い国旗ばかりが目立った沿道だ。
10年前の長野オリンピックの聖火リレーのときは、長野オリンピックの旗とオリンピックの旗が盛んに沿道から振られていたような印象があるのだが、今回は中国の旗だけが目立った聖火リレーだった。

そこから感じ取れるのは、今の中国の現実的な姿だ。
「オリンピック開催で、中国国内だけではなく世界各国にいる留学生たちも気分的に高揚しているのだろう・・・」という範疇ではなく、世界に対しての敬意という意識の低さを感じたのだ。
「中華思想」といってしまえば、それまでなのかもしれないのだが、聖火リレーが行われている国々に対して、自分たちの国をアピールする視点が、余りにもなさ過ぎる気がしたのである。

中国という国が、「オリンピック」という国際舞台デビューをチャンスと捉えるのなら、動員した留学生に中国国旗だけを振らせ、「中国は一つ」などというシュプレヒコールをさせるよりも、オリンピックの象徴である五輪の旗や日本や聖火リレーをしてきた国々の旗を振らせ「世界は、一つ」と言わせるほうが、遥かに効果的だったと思うのだ。

あの熱狂的に中国国旗を振る留学生たちの姿に、ドン引きした日本人は多かったのではないだろうか?
と、同時にネガティブイメージを持ってしまった人もいたのでは?と、思うのだ。

もう一つ感じたことは、中国に対してではなくメディアに対してだ。
聖火リレーばかりを取り上げたメディアが殆どだったようだが、何故スタート地点を辞退した善光寺を積極的に取り上げなかったのだろう。
善光寺で行われた追悼供養は、今回の騒動で命を失ったチベットの人たちだけではなく、同様に命を失った中国の人に対しても行われていた。
それは日本政府が中国に対して気にしているような「政治的行動」ではなく、亡くなった人たちに対して、平和や安寧を願う法要だったはずだ。
むしろ善光寺で行われたような法要こそが、今、日本から発信すべき「長野メッセージ」だったのではないだろうか?

ふがいない政府の対応に対して、善光寺が発してメッセージは静かだが力強いものだった。
その様な行動こそが、国際社会で日本が求められている姿なのではないだろうか?
それを積極的に取り上げようとしないメディアに対して、本質を見て欲しいという気がしたのだった。

今回の聖火リレーで、「オリンピックが楽しみ!」と、思う人がどれだけ増えたのだろう?
むしろスポーツに隠れた「ナショナリズム」を感じ取り、嫌気がさした人のほうが多かったのではないだろうか?
そんな気がした聖火リレーだった。


ブランド力の協業-老舗薬品企業の試み-

2008-04-27 07:41:06 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトに。家庭薬25社が共同売り場・龍角散やわかもと、知名度生かす という記事が掲載されている。

記事中にある「龍角散」や「わかもと製薬」などは、昔ながらの薬局から大手ドラッグストアーなどで見かけることができる、馴染み深い薬だ。
むしろ特定分野に長けた薬を作ってきた、老舗といっても良いのかもしれない。
「龍角散」などは「日本ののどを守って200年」という、老舗企業だ。
もう一つ共通するのは、印象的なコピーを使い続けているという点だろう。
「龍角散」の「ゴホンといえば、龍角散」や、「大幸薬品」の「ラッパのマークの正露丸」などがある。
「大幸薬品」などは、企業名よりも主力商品である「正露丸」のほうが、有名で「正露丸」という企業名だと思っている方もいらっしゃるかもしれない。
こちらも一つの商品を作りつづけて100年という、老舗企業である。

昨年あたりから、薬品企業合併や買収が進んでいる。
先日も武田製薬工業が米国バイオ医薬品企業買収が、話題になった。
新薬の開発費用などが膨大という事や、市場のグローバル化などに対抗するためだと考えられる。
その一方では、「ジェネリック薬品」と呼ばれる医薬品も一般化してきた。
このような薬の多くは、病院で処方箋が作られ調剤薬局で購入する薬である。

それに対して、「我が家の薬箱」に入っている薬が「家庭薬」で、それだけ生活者にとって親しみのある薬という事になる。
薬品企業としては小さくても、長い間親しまれてきたそれらの薬は、一般家庭には無くてはならない存在となっている。
私などは、いつもバンソウコウと家庭薬の胃腸薬や解熱剤、風邪薬などが幾つか入ったピルケースを「私の薬箱」として、カバンに入れ持ち歩いている。

「薬の棲み分け」が進む中、家庭薬も個々の持っている「ブランド力」を集約させる事で、生活者にアピールしていく時代がやってきたという事なのだろう。
そしてもう一つ注目していきたいのは、このような一つの事業分野の「小さくても特化した老舗」が、集まることによって生み出される新たなブランド力だ。
日本には、小さくても特別な技能を持った老舗が、薬品に限らず数多くある。
老舗が自分の持っているブランド力を持ち寄って、新たなブランドを作るという新しい「ブランド構築」の時代がやってきているともいえそうだ。

個人的には、関西で一般的な(だと思われる)「陀羅尼輔丸」(岐阜の「百草丸」でも可)も、加わってくれると嬉しいのだが・・・。

追記:このような事業分野はまったく違うのだが、静岡新聞のWEBサイトに紅白エビがご縁 由比と富山・新湊、姉妹漁協締結へという記事が掲載されていた。
これもまた「ブランド力の協業」といえそうだ。