日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

メダルの数よりも・・・

2008-08-24 07:51:57 | 徒然
今日、北京オリンピックが閉幕する。
連日連夜の応援で、疲れていらっしゃる方も多いのではないだろうか?
私自身は、ハイライト場面をニュースで見ることはあったのだが、どちらかといえば見る気が失せたオリンピックだったのだ。

なぜ、見る気が失せたのか?といわれると、「なんとなく・・・」というコトになるのだが、最近どうしても気になっていることも関係しているのかもしれない。
それは、「メダル」についてだ。
今回のオリンピックで、中国は「打倒アメリカ!!!」という意気込みだったそうだ。
「打倒アメリカ」というのは、メダルの獲得数のこと。
アメリカにメダル数で勝つことが、中国の強さを示すコトであり、経済発展著しい中国がスポーツの分野でも世界をリードする、という意気込みと意思表示の現れだったように言われている。
結果、ダントツのメダル獲得数となったわけなのだが、本当に今の中国を見ていて「スポーツ大国」という気がするだろうか?
応援にしても、競技を理解した上での応援というのではなく「官製応援団」が、応援をリードする場面も多くあったという報道もいくつもあった。
反対に、観客席の応援がうるさすぎて、試合に集中できない中国選手が「ダマレ!」と声を荒げる場面もあった。
このことについては、ネット上で「折角応援しているのに、黙れとは許せない」という内容の書き込みもあったという。

翻って日本はどうなのだろう?
新聞各紙の一面には、「今日までの日本メダル獲得表」なるモノが掲載され、いくつメダルを獲得したのか?というコトが、一目瞭然で見られるようになっていた。
しばらく前のオリンピックで、選手が「楽しんできます」というと、「国を代表しているのに『楽しむ』とは、何事!」というコトも言われた。
しかし考えてみれば、多くの場合、彼らの強化費用を私たちが出しているわけではない。
私などは強いてあげると、サッカー日本代表の試合観戦のチケット代の一部が強化費用に当てられる程度の強化協力をしていない。
それも、最近では余り行かなくなってしまった。
選手が実業団に所属しているのであれば、その実業団が選手の生活を保障し、日ごろのトレーニングを支えていることになる。
当然、その様な企業からサービスや商品を購入しているのであれば、その一部は強化費に当てられているとも考えられるのだが、それは極々一部の選手に限られているのが現状なのではないだろうか?

北島選手のように、プロとして企業と契約をしている場合もあるが、北島選手を支えた「チーム北島」と呼ばれる人たちの一部はボランティアに近いともいわれていた。
フェンシングの銀メダリストとなった太田雄貴選手は、メダル獲得後出演するテレビなどで盛んに「テレビに出るのも就職活動の一環です」と言い放つのも、4年後のロンドン大会までの選手生活と莫大なトレーニング費用を必要としているからだ。
「メダル獲得数」だけが、その国のスポーツ文化度が計れるものではないのだ。
まして、オリンピックの時だけ注目され、すっかり忘れ去られてしまう競技も少なくない。

メダルを獲得した選手たちだけではなく、オリンピックという晴れ舞台に上がった選手たち一人ひとりは、その競技の代表選手であり、その代表選手たちに「お疲れ様」という言葉をかけることが本当のスポーツ文化の成熟度といえるのではないだろうか?
もちろん、不甲斐無い試合をした場合は、ブーイングがあっても良いとは思うが・・・。