日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

非上場企業の可能性

2010-09-21 07:17:36 | ビジネス
先週、一部新聞に「臍帯血からがん死滅細胞 治療に期待」という内容の記事が掲載されていた。
ご存知の方も多いと思うのだが、臍帯血による病気治療に関しては、様々な期待がある。
特に白血病などの「血液疾病」に関しては、大きな期待があり「臍帯血ネットワーク」の基、各地に「臍帯血バンク」が設立されている。
ただ、残念なことに「臍帯血の活用」という点では、なかなか理解をされず、「臍帯血バンク」の経営は厳しい状況にある。

そんな時に飛び込んできたニュースが、この林原生物化学研究所の「「トロイの木馬」型 新抗癌メカニズムの発見」だった。
この細胞を見つけたのが、「天然・ミラクル・トレハロース」と言うキャッチフレーズや、「トレハ星人」でお馴染み(?)の、岡山県にある林原株式会社のグループ会社だ。

この林原と言う企業グループは、非上場の同族会社として有名な企業でもある。
既に地方企業としては大きな企業となり、海外への進出をしているのだが、あくまでも非上場を貫いている。
その理由は、以前拙ブログでも紹介したことがある「千年、働いてきました」と言う本の中で紹介されている。

非上場だからこそ、できることがある。
非上場だからこそ、時々の株主の意見に左右されずに事業に打ち込める。
と言うのがその理由だ。
「できること」というのは、事業領域にとらわれることの無い人材確保だ。
事実、林原のプレスリリースには「臍帯血による抗がん剤研究」の前には、恐竜の化石の発掘、その前には美術品の修復剤が掲載されている。
実に幅広い事業領域を、範疇としている企業でもあるのだ。
そのため、社員のキャリアも様々。
生物化学の専門職だけではなく、美術や武道を職としている人もいると言われている。
そのような「多様性」の中から、新しい発想を生み出しているようなトコロがあるのだ。

そしてそのような事業・研究は、すぐに成果や結果が出るわけではない。
むしろ、長い時間をかけ何度も失敗を繰り返しながら、成功を得るような事業・研究でもある。
だからこそ、その時々の株主の意向に左右されないコトが大切なのだと言う。

今回の「がん治療(薬)」というのは、世界中で研究・開発が進められている。
それは認可されれば、企業に膨大な利益を与えることができるからだ。
その意味でも、地方の非上場の企業が成功させたコトの意味は大きい。
と同時に、現在経営的に厳しい「臍帯血バンク」にとっても、朗報となるのではないだろうか?