日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「ツムラ」と「バスクリン」-社名変更の背景にあるモノ-

2010-09-01 21:14:13 | ビジネス
今日の新聞に、大きな広告が掲載されていた。
「バスクリン」でお馴染みのツムラ・ライフサイエンスが、「株式会社バスクリン」と言う社名変更の案内の広告だ。

先日、毎日新聞の「ず~っと愛して:ロングセラー物語」と言う企画記事に、「バスクリン」が取り上げられていた。
日本で初めて「入浴剤」を製造・販売をしたのが「津村順天堂」で、その商品名が「バスクリン」(発売当初は「浴剤中将湯」)だった。
昭和40年代に入ると、イロイロな企業が「入浴剤」が製造・販売をするようになり、その後「温泉シリーズ」、今では海外ブランドやハーブで作られたバスソルト、手作りバスボムなど、お風呂場には様々な「入浴剤」が一般家庭に置かれるようになってきた。

その走りとなったのが、ツムラの「バスクリン」だったのだ。
もちろん、単なる「入浴剤」と言うのではない。
あせもやしっしん、冷え性の改善といった、薬効もある。
むしろ、漢方薬を作っていた「津村順天堂」としては、「お風呂に入れる薬剤」と言うような意味合いの方が大きかったようだ。

昭和40年代から、急速に「入浴剤」を製造・販売する企業が増えたのには、理由がある。
それは「内風呂」が増えたからだ。
「内風呂」がまだまだ少なかった時代には、「入浴剤」と言う市場は、とても規模が小さいモノだった。
住宅事情の変化で、「内風呂」が一般的になり、同時に「入浴剤」と言う市場も広がるコトになったのだ。

それから、時代を経て「ツムラ」と言う企業名と商品名「バスクリン」が、合致し難いという状況が生まれはじめたと言うコトなのではないだろうか?
それが、今回の社名変更に繋がったのだろう。

むしろ、「ツムラライフサイエンス」と言う名前ではなく、「バスクリン」と言う名前に変わったコトで、「お風呂で使うモノ」と言う特化性のあるモノづくりが出来やすい環境ができたとも、考えられる。
逆に、「ツムラ」自体はより「漢方」をキーワードとした医薬品作りがしやすくなったのではないだろうか?
そんな気がした、新聞広告だった。