日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

正月広告2-ミュージシャンと銀行-

2011-01-02 21:12:18 | アラカルト
昨日の「資生堂」に続く、「正月広告第2弾」というコトになる。
今年の新聞に掲載されていた「正月広告」の中で一際目を引いた広告があった。
それは、昨年「食道がん」のために活動を休止し、NHKの「紅白歌合戦」で復活した(と言うか、久しぶりに元気な姿を見せた)桑田圭祐さんの新しいアルバムリリースの広告だ。

桑田圭祐MUSICMAN

全国紙(私がチェックしたのは「朝日新聞」のみ)の「テレビ・ラジオ版」の真中2面を使った、大きな広告だった。
昨年のがん告知から心配していたファンの方々だけではなく、音楽ファンにとっても楽しみなアルバムリリース広告だと思う。
思うのだがその広告量(料)を考えると、相当な大掛かりな広告だと思う。
一人のミュージシャンの広告としては、異例の広告と言う印象がある。

だが、その広告には一つの仕掛けがあったようだ。
その答えは、桑田さんのアルバムリリース告知の裏面にある。
そこに広告を打っていたのは、三井住友銀行の「正月広告」。
この1月1日から、新しいテレビCMを流すと言うのが主な内容だ。

これまでの銀行の広告と言うと、「女性タレントさんがニッコリ笑っている」と言うのが、これまでのパターンだった。
ところが、今回の三井住友銀行の「正月広告」には、女性タレントさんどころか人物が登場していない。
文字だけの広告なのだ。
もちろん、文字だけの広告と言っても銀行名が羅列してあるのではない。
桑田圭祐さんの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」の歌詞が、掲載されているのだ。

桑田さんの歌詞には、意味不明なコトバ遊びのようなモノもあるが、バラード楽曲となると、人の心打つ内容の歌詞が少なくない。
そしてこの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」も、今を生きる私たちに勇気を与えてくれそうな内容になっている。

この楽曲をテレビCMに起用するだけではなく、新聞の「正月広告」に桑田さんの新しいアルバムリリースの告知広告と連動させることで、三井住友銀行はより強いメッセージを伝えようとしているのだと感じる。

その一つは、昨年桑田さんが「食道がん」という病気と闘い(おそらく、今でも闘っていらっしゃるだろう)、元気な姿で音楽シーンに戻ってくるという、「人生の闘い」に対するエール。
もう一つは、それを「銀行としてサポートしていきますよ」と言う、一番伝えたいメッセージ。
それを、桑田さんのアルバムリリース広告の裏面に掲載するコトで、関連性をもたせ、広告内容以上の効果を狙っているように感じる。

実際放送されているテレビCMはこちら↓
三井住友銀行「人は、人と、生きているんだ」

「心を新たにする」お正月だからこそ、効果がある広告と言う気がする。