日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

もう一つのシンプルメッセージ

2011-05-02 11:34:29 | CMウォッチ
サントリーの「上を向いて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」のテレビCMが、先月いっぱいで終了した。
震災発生から1ヶ月も経たない間で作られたにもかかわらず、シンプルながらも押し付けのないメッセージ、企業CMでありながら「企業CM」というコトを忘れさせるほど秀逸なテレビCMという評価が多いようだ。

このサントリーのテレビCMを見たとき、「さて、日清カップヌードルはどんなCMを作るのか?」と、興味があった。
そして、やっと最近になってテレビCMが見られるようになった。
それが、「この国には、底力がある」というCMだ。

実は、このCMは震災前から流れていた。
と言っても、真木洋子さんの「カップヌードルライト・カレー」のヴァージョン。
「ライト」という商品ポイントを強調するための演出をされたテレビCMが、昨年から流れていたのだった。
もちろん、他にもクィーンのライブVTRを使った「カップヌードル食べたい」という、お馴染みのパターンのテレビCMも流れていた。
だが今流れているテレビCMは「武蔵登場篇」。
タレントや俳優さんが登場するのではなく、漫画家・井上雄彦さんが大きなキャンバスに向かって、墨で「武蔵」を描き上げている姿を追っているだけの、シンプルでありながら力強いCMだ(CMソングは、ザ・クロマニヨンズのオリジナル)。

井上さんといえば、震災直後から「スマイル」というタイトルの絵を描き続け、話題になった。
もちろん、井上さんの代表作といえば「スラムダンク」や「バガボンド」がある。
他にも「スラムダンク奨学金」といった活動や、東本願寺に「親鸞」の屏風絵など、漫画という分野だけにとどまない活動をされている。

テレビCMとして作製されたのは、震災以前であったのかも知れない。
というのも、製作意図を読むと「カップヌードル発売40周年記念CM」として作製されたからだ。
だが、あの震災を受けた後このテレビCMを見ると、サントリーとは違う力強いメッセージを感じるのだ。
それもサントリーと同じ様に、とてもシンプルに。

これまで、日清のカップヌードルのテレビCMは様々な表現をしてきた。
「ハングリー」のようなユーモア、「ボーダー」のシリーズの社会に問い掛けるモノなど。
そして今回は、「日本へのエール」だ。
「CMというモノをよく知っている企業だな~」と改めて感じさせる、サントリーと日清カップヌードルだ。