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軽減税率の複雑さは、景気浮揚策とマイナンバー推進のため?

2015-09-08 16:13:09 | Weblog

11月になると、個人宛に「マイナンバー通知」が、簡易書留で送られる予定になっている。
その通知を基に、改めて「マイナンバーカード」を、各自治体で発行してもらうようになるはずだ。
しかし、先般発覚した「年金機構の情報流出」などがあり、多くの人は二の足を踏むだろう、と言われている。
当然だろう、年金機構が持っている情報よりもより詳しく個人が特定される情報が、マイナンバー制度なのだから。
そんな心配を察してか?「マイナンバーカード」取得のために、軽減税率との抱き合わせを考えているようだ。

朝日新聞:「カードがなければ減税ないだけ」消費税還付案で麻生氏

今朝FM番組でも、この「軽減税率」の還付方法の複雑さを取り上げていたのだが、「労力と投資に対するメリットが感じられない」という、仕組みということだけは十分理解できる、という結論だった。
そもそも、消費税10%にあげるときに、アルコールを除く食品は8%そのままにしておけば、良いだけのこと。
確かにスーパーなどのレジなどのシステムを一部作り変える、という手間は必要だが、今回の政府案は「いったん10%の消費税をもらいますが、そのあとマイナンバーカードで購入した人を特定し、その人の口座に2%分を還付しますよ」という内容は、複雑で時間と必要以上の労力がかかることがわかる。

この案だと「マイナンバーカード」を持ち歩くだけではなく、お金を支払うときにレジで読み取ってもらう必要がある、ということだ。
そうなると、レジには新しく「マイナンバー読み取り機能」のあるレジが必要になる。
大型スーパーだけではなく、食品小売りをしているお店なら、レジの買い替えが必要になる。
それだけだろうか?

例えば、町中にある清涼飲料水の自販機。
自販機で清涼飲料水を購入しても、マイカードを読み取らせる必要がある、ということになる。
ということは、自販機メーカーも新たに「マイナンバー読み取り機能」を付加した自販機を製造・設置する必要がある。
ちょっと見方を変えると、食品を扱う関連の決済機器は、全国一斉に取り換える必要がある、ということになるのだ。
スーパーでカード決済したりすると、カード会社はどれが食品購入分として、確認をとるのだろう?という疑問もあるが、おそらくそのようなことは考えていないのかもしれない。
そして「業者向けスーパー」などは、事業者相手(=軽減税率対象外)のように思えるかもしれないが、実は家族が多い家庭などは、利用されている方も多い。対象になるのだろうか?

日本全国にどれだけのレジなどの決済機器があるのかわからないが、それだけでも相当額の設備投資が必要だろう。
関連企業にとっては、うれしい悲鳴となるかもしれない。
その意味では「景気浮揚策」とも考えられる。

それだけではなく、うっかり「マイナンバーカード」を忘れると還付されない、ということになる。
うがった見方かもしれないが、国民が「いちいちマイナンバーカードを持参するのなんて、面倒くさい。2%ぐらい還付されなくてもいいや!」という気持ちになることを、目論んでいるのかもしれない。
少なくとも、今回の麻生さんの発言には、そのようなニュアンスがあるようにも感じる。
還付されずに国庫に入れば、赤字財政が少しは潤うかもしれない。

いずれにしても、この方法は「軽減税率」が目的ではなく、奇策的な景気浮揚策とマイナンバー推進を目的とした方法であって、決して国民目線での考え方ではない、ということだろう。

それよりも、簡易書留で送られる予定の「マイナンバー通知」を受け取れない人が、続出しそうな気がするのだが・・・。