日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

財源が決まっていないのに、事業を始めちゃダメでしょう

2015-09-04 22:11:51 | アラカルト

いまだ収まらぬ、2020年東京オリンピック関連騒動。
一応エンブレム問題は、片が付いたようだが、エンブレム問題よりも大きな問題が残っている。
「新国立競技場」の建設だ。

安倍さんの「鶴の一声」で、建築デザインなどが白紙になり、建設費も一応の概算が出たようだがこれからが本番。
様々な問題を抱えながらの、再スタートとなる。
そんな「新国立競技場建設」に関して、びっくりするような記事があった。
中日新聞:新国立、建て替え前提に検討 文科省財源考慮せず

すでに取り壊された国立競技場は、50年以上前に建てられたものなので「耐震面」などで問題があった、ということは想像ができる。
何より、コンクリートの階段などは経年劣化により、随分危ない箇所もあったのではないだろうか?
実際、何度か国立競技場へ行ったことがあるのだが、観客席などの劣化はひどかった。
建築物としての美しさとは別に、実用面という点では改築を含めた検討をする必要があっても当然だっただろう。
ただ問題なのは、記事でも指摘されている通り「財源を考慮せず」に、建て替えを前提に検討していたという点だ。

自己資金と住宅ローンの返済計画を考えずに、戸建て住宅やマンションを購入する人はいないと思う。
「頭金0円プラン」という住宅ローンがないわけではないが、その返済計画を見ると「少しでも自己資金を多く持ったほうが、後々のことを考えると良い」という考えを持つ方のほうが多いのではないだろうか?
今回の文科省の「財源考慮せず」というのは、「頭金0円で、返済計画も考えずに住宅購入をした」ようなモノだと思う。
そのような考えだから、建築費が大幅に膨れ上がっても、関係者の言葉が「他人事」のようになってしまうのだろう。

財源確保もせずに、建築デザインコンペを開き「日本の最新技術を使い、これまでに無いような斬新で革新的なスタジアム」という考えで、今回白紙にされたザハ氏のデザインが選ばれたとしたら、ザハ氏に対しても失礼なコンペだと思う。

このような報道を読むと、「本気でオリンピックを開催したいのか?」という、疑問さえ湧いてくる。
そして、これまで建築費の目安とされてきた金額そのものも、どのように積算されたものなのかも、怪しくなってくる。

「2020年東京オリンピックの迷走」の始まりは、もしかしたらこのようなところからだったのではないだろうか?
「まぁ、その時になれば、何とかなるだろう」という、無謀ともいえそうな楽観的場当たり思考だ。
「何とかなる」という、雰囲気の中で物事を進めようとするなら、誰も責任を取るという意識は持てなくて当然だろう。
現にオリンピック組織委員長をされている、森元総理の数々の発言はそれを裏付けているような気がする。

それにしても、どうして財源を確保しないまま、事業を始めちゃったのかな?