時折チェックをする、ファッション専門誌・WWD JapanのWebサイト。
日経新聞とはちがう視点で、ファッションブランド店の閉店の記事があった。
WWD Japan:ユナイテッドアローズが銀座と青山の店舗を相次いで閉店
銀座と青山の店舗ということは、ユナイテッドアローズとしては「旗艦店」もしくは「旗艦店に次ぐ店舗」になるのでは?という気がしている。
確かに、「新型コロナ」の感染拡大により、アジアからの観光客は激減している。
そのなかでも銀座などは、かつてのような「おしゃれな銀座」というよりも、「観光客であふれかえる銀座」になってしまったような気がしていた。
その観光客が来ないのだから、経営としては厳しかったのでは?と、想像することができる。
同様に青山もまた、地方からやってくる観光客が激減したということも要因の一つだろうし、何より「自粛生活」で服そのものへの購買意欲が減退した、ということもあっただろう。
このような状況は、決して日本だけではないようだ。
アメリカのカジュアルブランド「Gap」もまた、英国とアイスランドの全店舗の閉鎖と伊仏の店舗売却を決めたようだ。
店舗閉鎖や売却という話題は、決して企業にとってプラスとなる話題ではないが、「新型コロナ」の世界的な感染拡大という状況では、ECサイトに力を入れ、実店舗を閉鎖・売却したほうが、経営的メリットが高いという判断なのだろう。
そしてもう一つ、興味深い記事があった。
それが「ニューヨークではリセール市場が、急成長している」という記事だ。
WWD Japan:まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド 参加型デジタル・リセール市場がファストファッションを抜く?
日本での「参加型デジタル・リセール」と言えば、「メルカリ」や「ヤフオク!」、「ラクマ」と言ったところだろう。
私自身は、このようなC2Cのサイトで売買をしたコトが無いので、WWDで取り上げているアメリカの「リセールサイト」との違いについて、述べることができない。
ただこれまでC2Cビジネスでトラブルが起きやすい「商品に対しての信頼と保証」という点については、日本のサイトよりもキチンとしているのでは?という、印象を持った。
というのも、C2Cのサイトを利用し、売買をしたことがある友人などに聞くと、サイトはあくまでも「売買をする場所を提供している」だけで、実際のやり取りは直接に行うと、聞いているからだ。
運営サイトでの「商品鑑定」等もないため、Web上での掲載写真と現物とイメージが違っていた、とか、元々「お小遣い稼ぎ」くらいの気持ちなので、商品を間違えて送られた、という話を聞いたことがある。
それに対して、もともと「古着」という市場があった米国では、業者が商品を鑑定し、おおよその価格をつけてくれる。
そこからオークション形式で売買される(=参加型)ので、売買される商品についての品質等の問題は少ないだろうし、それが利用者の安心へと繋がっている。
確かに日本でも「古着屋」とか「質流れ」を扱う業者が、「メルカリ」等へ出店している場合もあるとは思うのだが、主流となる利用者はC2Cの関係だろう。
このような「リセール市場」が拡大は、ファッション業界としてはマイナスの様に思えるのだが、おそらく打撃を受けるのはファストファッションなのでは?と、考えている。
というのもファストファッションそのものは、「ワンシーズンで廃棄」するくらいの価格設定をしているため、「リセール市場」に出てくる、古いハイブランド品よりも品質が落ちる事があるからだ。
「メルカリ」や「ヤフオク!」、「ラクマ」などのデジタルC2Cビジネスが、アメリカ型の「参加型デジタルリセール市場」に変化していくとは思えない。
しかし、市場が大きくなればなるだけ「品質の保証」等が求められるようになる。
その問題を今後どのように対応していくのか?ということが、市場拡大となるのか縮小するのかの、分かれ道のような気がしている。