日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

地味(で売れない)商品が突然ヒットする時

2007-12-30 20:17:22 | マーケティング
今日の讀賣新聞のWEBサイトに、チョット興味を引く記事が掲載されていた。
それが「2千台→4千台→5万台!…電気圧力鍋人気が急上昇」と言う記事だ。
私が初めて「電気圧力鍋」と言う商品を知ったのは、自炊生活を始めた20数年前だった。
当時は作れる料理のメニューも数少なく、毎月購読していた「きょうの料理」に広告が出ていたのだ。
「へ~、こんなモノがあるんだ・・・」と言う程度にしか思わなかったし、圧力鍋を使うようなお料理にも縁が無かった(と言うより作れるような技術も、作る必要も無かった)。
形も当時の炊飯器と似ていて、デザイン的には「なんだかな~」と言う印象があった。

それから年数が経ち、「圧力鍋」は主婦の間で密かに「欲しい商品」として名前が上がるようになってきた。
煮込み料理などが短時間で作れる=ガス代と料理時間を減らすコトができると言う理由で、人気になっているのだ。
もちろん、システムキッチンに置いても違和感の無いような、デザイン的に魅力的なモノが欧州のブランドを中心に多くなり、数人の友人がお金を出し合って贈る「結婚祝」としても、価格的に手頃と言うことも人気の理由になっているかもしれない。
もう一つ「圧力鍋」が人気になっているのは、最近の雑穀ご飯人気などの「健康ブーム」もあるかも知れない。
雑穀の分量が多くなればなるほど、どうしても炊飯器で炊くご飯はパサパサしてしまうのだ。
圧力鍋で炊くと、モッチリ感のある雑穀ご飯ができる。
小骨の多い魚は、骨ごと食べれるくらい柔らかくなるからだ。

それに比べると「電気圧力鍋」は価格的にも高く、どちらかと言えば料理メニューが多いベテラン主婦向きの商品と言える。
圧力鍋そのものを使いこなす事ができる主婦が、タイマーセットなどもでき炊飯器と同じ感覚で使える。
ただ、機能そのものはビギナー向きとも考えられるので、もう少しお手頃価格になると、一気に利用者層は広がるのではないだろうか。

それにしても、20数年余りヒットが期待できない商品をよく作り続けたものだ。
白物家電には、「ハ・タ・ラ・キ(ハ=はやく タ=楽しい ラ=ラク キ=キレイ)」機能が必要だと言われている。
その生活者のベネフィティング(=顧客利益)を考えれば、企業として作りつづける理由はあるとは思うのだが、企業として利潤を求めると言う点では「お荷物商品」だったと思うのだ。
時代が商品を必要とするまでの長い時間、よく我慢したものだと感心するのだ。




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