日経新聞のWebサイトに、岸田総理が発表した「資産運用経済特区」についての記事があった。
日経新聞:資産運用特区、札幌・東京・大阪・福岡 海外勢を誘致
岸田政権前から、政府は「年金に頼らず、自分で自分の老後資金をつくってください」というニュアンスのことを、言い始めていた。
その一環として登場したのが、iDeCo(確定型拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)という、新しいタイプの投資方法だ。
この2つの投資方法は、いずれも少額で始められるという点や非課税ということもあり、「年金支払い額に対して、十分な年金支給が期待できない」と感じる世代や、今の金利状態では銀行等に預けていても利息が期待できない、少額から始められる等の理由で「投資初心者向け商品」として、人気になっている(ようだ)。
そして今回、岸田総理は米国・ニューヨークで現地の投資家向けに「海外、特に米国の運用会社を誘致したい」という趣旨の講演をした。
その一環として出てきたのが「海外運用会社誘致・経済運用特区」という訳だ。
この中に、名古屋が含まれていないのはなぜか?気になるところだが、何故今海外の投資運用会社の誘致を進めるのだろう?
Diamondon-line:首相がいまさら「資産運用特区」をぶち上げるトホホな日本
この記事を書かれた方は、元々証券会社出身の方なので「積極的投資」を謳うのは分かる。
上述した通り、今の日本の0%金利と呼ばれる通り、預貯金をしても利息は付かない、という状況がここ10年余り続いている。
多くの生活者は、「0金利政策」そのものに慣れてしまい、金利を期待して預貯金をしているというよりも、日々の生活の為に銀行にお金を預けている、という状況なのでは?という、気がしている。
投資そのものは、元本保証がされているわけではないため、多くの日本人にとっては「抵抗感の有るお金の増やし方」だと言われてきた。
もう一つの理由があるとすれば、「お金の話をする」ということ自体、タブー視されるような社会的雰囲気が日本にある。
そのようなこともあり、海外に比べ「資産運用」の割合として、投資は預貯金や国債等に比べリスク商品というイメージが定着している。
特に、今回の経済運用特区から外された名古屋は、その傾向が強いということなのかもしれない。
ただこの岸田さんの「海外の運用会社の誘致」について、不安な感じを受けている。
その理由の一つが、日本の生活者のお金が海外に流れるのでは?ということだ。
投資先が国内の企業であれば、投資をすることによって新たな産業や市場が、国内で生まれるというチャンスはあると思う。
しかし海外の投資会社となれば、どれだけ日本国内の企業に投資されるのだろうか?
日本の生活者のお金が海外に流出してしまうことで、日本の経済が良くなるのか?
という不安を感じたのだ。
日本の企業は「横並び」する傾向がある。
いわゆる「護送船団方式」と呼ばれる、国に守られながら大きな一団で動く考えだ。
金融等はその最たるものだ。
その為、業界内での「競争が生まれにくい」とも言われている。
それを打破する、というのだろうか?
とすれば、まず国内における金融の「護送船団方式」のようなやり方を替え、業界内で特色のある競争をするような政策を実施する方が先決なのでは?
もう一つは、「経済運用特区」を設けたところで、ネット証券等が躍進している中、このような「特区を設ける」ことの意味があるのか?ということだ。
ネット証券であっても、金融庁の認可が無くては営業ができない(と理解している)。
であれば、金融庁の認可さえあればどこで営業をしようと、資産運用会社の自由なのでは?ということなのだ。
もちろん、私の理解不足ということも十分あるとは思っている。
岸田総理になってから、効果的な経済政策が出された記憶がないこともあり、今回も・・・???という感が否めない。
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