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問題の本質を直視するコトの大切さ

2015-08-29 07:04:20 | アラカルト

2020年東京オリンピックの、エンブレム問題。
大会組織委員会が、28日「オリジナルと確信」している、という記者会見を開いている。
毎日新聞:五輪エンブレム:「オリジナルと確信」・・・組織委員、原案発表

記事の見出しだけを見ると、「修正を加えたために、今回の問題が起きてしまった」と読むことができる。
しかし問題の本質は、そこではない(=修正後)ではないと思う。
というのも「オリジナル」であるならば、本来修正を加える必要があってはならないからだ。

記事の内容をよく読むと、「原案に近いデザインの商標登録がされていた」から、修正をする必要があった、という。
問題の発端となったのは「既に商標登録をされているデザインと似ていた」という点であり、組織委員会としては、そのようなデザインを選出する、ということ自体問題であった、ということだと思う。

大企業の多くには「法務課」とか、それに類似する仕事を担当する部署があると思う。
私のような立場であっても、「商標」に対してはとても厳しい見方をして、仕事をしている。
それは、企業にとっての「財産」であるだけではなく、他者の利益を侵害する危険性があるからだ。
「他者の利益を侵害する」ということは、侵害をした側が意図的ではなかったにせよ、それなりの賠償を支払う必要がある、ということを意味している。
侵害された側は「似ている」というだけでも、賠償を請求してくるコトもある。
そのために、大企業などは「国際特許事務所」と呼ばれるような、特許を専門に扱うところで、申請前に国内だけではなく海外の商標を含め、高額な費用を出して調査依頼をしているのが普通だ。

もう一度、組織委員会の記者会見の内容を、よく読んでみてほしい。
「オリジナルであると確信」しているのに、その「オリジナルに手を加える」ということを依頼している。
理由は「他に似た商標があったから」だ。
本来であれば、「似ている」と判明した時点で、その作品は選考から落とされる必要がある。
例えそのデザインを創った人が、いくつもの広告の賞を受賞している、著名なデザイナーであったとしてもだ。
その部分においては、有名・無名関係なく「公平」でなくては、選考そのものの意味が無くなってしまう。
一部で「出来レースではなかったのか」と、言われても仕方ないことを選考委員会がしているのだ。

ここまでくると、デザインの製作者である佐野氏だけの問題ではなく、「似た商標がある」という問題を直視せずに選考したという、選考委員会そのもの基本的な能力の無さ、商標などに対する認識の甘さ(というよりも、「認識の無さ」というべきだろう)を感じる。
いくら選考後「オリジナルである」と思っていても、その前の段階で選択を間違ってしまっているのだから。

やはり、もう一度広くエンブレムデザインを公募するほうが、良いのではないだろうか。



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