日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

何故、日本ではファッションブランドが育たないのだろうか?

2011-12-17 21:15:14 | ビジネス
来週はいよいよクリスマス。
街中も、クリスマスという雰囲気が感じられる。
と言っても、例年に比べるとおとなしめ、という感じを受けるのは仕方ないことだろう。
そんな中、やたらと元気な広告を打っているのが、海外の有名ブランドだ。
以前、エントリした「カルティエ」しかり、「エルメス」しかり。

「エルメス」の広告は、「エルメス」というブランドを知らなくても、見ている側がなんとなく楽しくなるような広告を展開している。
それは新聞の広告だけではなく、ネットで展開している広告なども同じだ。
どちらかといえば、ネット上で展開している広告のほうが、ポップでいながら「エルメスらしさ」というモノを感じさせているような気がしている。

そんな「エルメス」の広告を見ながら、思ったことが今日のタイトルだ。
ご存知のように、「エルメス」は馬具メーカーとして誕生し、馬具にまつわる様々な商品を展開。それが現在のようなファッションブランドへと発展してきたブランド。
競馬ファンの方なら、初夏に行われる「エルメスカップ」という競馬のほうが、有名かも知れない。
その後、馬具製造の技術を使ってバッグなどの製造をはじめ、グレース・ケリーやジェーン・バーキンといったセレブたちが持つようになり、それが新たな人気をつかむことへとなっていった、というコトも有名な話だ。

確かに、エルメスなどの欧州の有名ファッションブランドには、様々な「ブランドストーリー」があり、それがそのブランドの魅力となっている部分も大きい。
しかし、残念なことに日本のファッションブランドには、それが無い。
確かにパリなどで活躍している(していた)、ファッションデザイナーは数多くいるし、評価も高い。
にもかかわらず、デザイナーズブランドという枠から外へ出ることはない。
昨今の「東京ガールズコレクション」などでは、いくつものブランドが参加しているが、そのブランドが20年、30年先まで存在しているのか、疑問なところがある。
私自身、20代の頃に流行したファッション写真を見ると、懐かしいと同時にやや恥ずかしいという思いを持つことがしばしばある。
そのように考えると、日本におけるファッションブランドは、とても短命な気がするのだ。

何故、短命なのか?と考えると、「ファッションは時代を映す鏡」だけで終わってしまっているからなのではないだろうか。
確かに「ファッションは時代を映す鏡」ではあるのだが、ブランドとして筋が通っていれば、時代感を反映させつつ、ブランドを育てていけるはずなのだ。
しかし「時代を映す鏡」だけで終わってしまっているのが、日本のファッションブランドのような気がするし、それが、ホリディシーズンの広告にも現れているように感じている。

日本は世界でも稀に見る、ファッション王国だといわれている。
それは「ユニクロ」と「ルイ・ヴィトン」が共存していても、ちっともおかしくないからだ。
なのに、ファッションブランドが育たない、というのはとても残念な気がしている。




原子力保安院は、信頼も信用も取り戻す気はないのだろうか?

2011-12-16 14:29:23 | 徒然
東京電力の「福島第一原子力発電所事故」については、東京電力だけではなく政府機関もその信頼と信用を失った。
そしてその信頼と信用は、失われたままの状態になっている。
その中でも「保安院」に関しては、広報を担当していた技官のゴシップなども含め、失われた信頼と信用は東京電力の次に大きいのではないだろうか。

そんな保安院だからこそ、タイムリーで正確な情報を提供すべきなのだが、どうも当事者である保安院は、そう考えていないらしい。
東京新聞のスクープとして保安院 海への汚染水 ゼロ扱い という記事が、WEBサイトに掲載されている。
当然のことながら、Yahooのトピックスでも扱われている。

この夏~秋にかけ、東京・世田谷で次々と見つかった「ラジュウム」騒動は、放射能に対する市民の不安を煽っただけという気がしているが、今回の保安院の場合、不安を煽る言う状況の話ではない。
いくら「想定外の緊急事態」だからと言っても、事実として汚染水は海へ放出されたわけだし、その事実は世界中に配信されニュースとなっている。
にもかかわらず、その実態を「無かったことにする」というのは、常識として考えられないと思うのだ。
特に、原子炉を冷やすために海水を放水し続けた時から長時間にわたり原子炉内部から汚染水が流出し続けたときなどは、毎日のように「○○キロリットルの汚染水が海に流れ出た恐れがある」と報道されていたのだ。

その結果として、福島県内だけではなく周囲の漁港では漁を見合わせたり、実質的には漁をしないと決定したりしている。
当然のことながら、それらは漁業団体からの損害賠償としての対象となるようなことのはずだが、保安院が「無かったことに」してしまえば、その補償問題にも大きく影響してくるのではないだろうか?
それどころか、海流に乗って世界中の海へと汚染水が運ばれた可能性が高いはずだ。
世界中にご迷惑をかけていることなのに、「無かったことに」という態度は、国際社会の中で問題視されるのではないだろうか?
とすれば、それは保安院の信頼・信用の問題ではなく、日本という国の信頼・信用の問題となっていく。
国の機関である保安院が、そんなことまで考えずに「無かったことに」と考えているのであれば、それは日本だけではなく世界中を敵に回すような「保身行為」でしかない。

このようなコトをすれば、信頼も信用も回復することはないだろう。
むしろ今回の保安院の態度を見ると、信頼も信用も回復させる気がないように思えてくる。




食の「であいもの」

2011-12-15 17:49:06 | アラカルト
しばらく前から、気になっているモノがある。
一つは、Yahooなどのポータルサイトにポップアップされるコカコーラ社の缶コーヒー「ジョージア クロス 和ースタイル」
もう一つは、ニュースサイトで見かけた「山形庄内シルク焼きそば(ソース後がけ)」。

私が気になったのは、それぞれの味と素材の組み合わせだ。
京都のおばんざいなどでは、素材のおいしい組み合わせを「であいもの」というらしい。
とすれば、この2つの「であいもの」はどんな感じなのだろう?と、想像をしてみるのだ。

まずコカコーラ社のものは、従来の缶コーヒーに抹茶を加えたというのがポイントのようだ。
残念なことに、近所のコンビになどでも見かけないので、飲んではない。
ただ、「コーヒーに抹茶」というのは、味の想像が付きにくい。
付きにくいだけではなく、おいしそうなイメージがわかない。
そもそも抹茶に対する味のイメージというのは、多くの人にとってどのようなモノなのだろう?
私にとっての「抹茶の味」というのは、お茶会などでいただく「お薄」。
決して、「抹茶オーレ」とか砂糖が入った「グリーンティー」ではない。
したがって、それなりに独特の苦味のある味が「抹茶」の味なのだ。
それにコーヒーの苦味が加わるとなると、そのコーヒーの苦味と抹茶の苦味が合うのだろうか?と、想像するのだ。
そして、私の想像する味は決して積極的に買ってみたい!とはならない。
提案としては、おもしろいと思うし、最近の和カフェ人気などを考えるとわからないわけでもないのだが・・・。
来年の今頃、商品として残っているのだろうか?と、思ってしまう「であいもの」という気がしている。

もう一つの「山形庄内シルク焼きそば(ソース後がけ)」で、興味が引いたのは焼きそばの麺にシルク粉末が入っていることだ。
焼きそばそのものはB級グルメだが、そこに「シルク」という素材が加わるとB級グルメでありながら、違う価値が出てくるような気がしたからだ。

ご存知の方も多いと思うが、緑茶石鹸「茶のしずく」に含まれていた小麦たんぱく質によって、重篤なアレルギーを引き起こしたと、問題になっている。
そして現在、小麦たんぱく質の代わりに加えられているのがシルク粉末。
絹のたんぱく質は以前から、美肌効果があるといわれており、今でも多くの化粧品に使われている。
もし全国的に展開をするのであれば「美肌焼きそば」というプロモーションもできるのでは?と、思ったからだ。
それだけではなく、山形県の特産品の一つである「紅花(=サフラン)」を加えると、女性にとっては美肌+冷え性対策麺という、付加価値が生まれてくる。

私が見たWEB記事は、「焼きそばでまちおこし・若い人たちの雇用創出」というような内容だったが、せっかくの「まちおこし」というであれば、焼きそばというB級グルメとして定番過ぎるものだけに収まらずに、違う価値をプラスすることでB級グルメではない魅力を創りだすことができるのではないだろうか?
こちらの「であいもの」は、チョッと楽しみな「であいもの」のように感じたのだった。


今年のCM

2011-12-13 20:25:32 | CMウォッチ
テレビCMは、社会を映す鏡のようなところがある。
そんなテレビCMをはじめとする、今年の日本のコマーシャルのグランプリが決まったようだ。
「2011 51st ACC CM FESTIVAL」(注意:pdfファイル)

今回の大きなテーマとなっているのは「今年を未来は忘れない」。
確かに今年という年は、いろいろな意味で忘れることができない1年となったような気がする。
そんな中、グランプリに選ばれているのがJR九州の「九州新幹線開通」のテレビCM。
「JR九州CMインデックス」
ただ残念なことに、九州新幹線の全面開通が3月12日だったこともあり、ほとんどニュースになることは無かったし、テレビCMも九州エリアでの放送はあったとは思うのだが、全国を対象として流れることは無かったように思う。
もともとJR各社のテレビCMというのは、各地域内での放送に限られているようで、JR東海の「そうだ京都行こう」のテレビCMも、北海道や九州で見ることはできないようだ。
JR各社、様々な事情があるのだと思うのだが、「旅」という視点で見れば、各社のCMが見られないのは残念な気がする。
グランプリを受賞した理由は挙げられてはいないが、「未来」というのがキーワードとなったのかも知れない。

そのほかに目を引くのは、やはり震災関連もしくは、震災によって大きく変化した人の気持ちを反映させた内容のモノが多いという点だろう。
サントリーの企業CM・「歌のリレー・上をむいて歩こう~見上げてごらん夜の星を」などは、多くの人の共感を得たCMだったと思う(もちろん、批判的意見も数多くあったようだが)。
それだけではなく、CM製作に携わった広告代理店も1社ではなく複数社が絡んでいる、という点でも、このCMに対するサントリーだけではなく製作者側の思いの強さも感じ取れる。

今年のCMというのは、商品やサービスを訴えかけるだけのものではなく、「何か」を受け手である生活者と一緒につくる、という気持ちを伝える内容が、今回の受賞対象となったようだ。
企業も生活者の一人として、何をしたいのか?何をすべきなのか?というコトを、CMの中で考え・伝え始めた年だったのかも知れない。





お米は、嗜好品?

2011-12-12 18:57:56 | ビジネス
今朝FM番組を聴いていたら、「え?!」と思うようなコトがあった。
その番組は、「日本の農業を応援する」という趣旨の番組で、今週は「5つ星お米マイスター」の方が、今のお米についてお話をされるという内容だった。
その番組の中で、出演をされていたお米屋さんが話した言葉が「今では、お米(ご飯)は嗜好品ですから」だった。

このお話を聞いたとき、当然のことながら驚いた。
お米は、日本人にとっての主食であり、嗜好品という部類のモノではない、と思っていたからだ。
事実、先だってTPPに関するお米についての意識調査でも、「値段が高くても国内産のお米を買う」という人がほとんどで、価格が安くても輸入米に対して積極的に購入したい、という気持ちが薄かったからだ。
それだけではなく、お米に対する「ブランド志向」は、ファッションブランドに対するモノよりも、強いような気がしている。
というのも、以前百貨店のお米売り場で若い男女が「やっぱり、新潟県魚沼産こしひかりでしょう。お米といえばコレだよね」といって、他の「あきたこまち」や「はえぬき」といったブランド米には目も触れず、購入していたからだ。
普段米飯にはさほど興味がなさそうに思えた若い世代であっても、ブランド米は知っている。

しかし考えてみれば、現在のような米離れが激しい時代だからこそ、あえて「嗜好品」といってしまったほうが、良いのかも知れない。
というのも、「こしひかり」ばかりがお米のように若年層を中心に言われているが、「あきたこまち」や「はえぬき」にも、それぞれのおいしい特徴がある。
特に最近話題になり、番組でも高い評価をした「北海道産ゆめぴりか」は、「こしひかり」よりも上のランクがつけられているようだ。
他にも同じ新潟でも佐渡島のお米は、天然記念物・トキと共存するため、農薬を使わずに栽培され、潮風に当たることから生まれる独特の風味があるというし、佐賀県のお米なども、とても特徴のあるおいしさがあるという。

そのような説明を聞けば「その時々にあった、お米をおいしく食べる」という意味での「嗜好品」というコトは十分ありえるだろう。
もともとお米自体、精米をしてしまえば劣化が激しいため、家族2,3人なら2kg程度の少量を買い、1週間くらいで食べきってしまう方がお米本来のおいしさが楽しめる、といわれている。
と同時に「嗜好品としての主食」という視点で考えれば、コレまでのような販売=購入スタイルではない、違うアプローチが生まれてくる。

ここ10年ほどで、お米の食べ方も随分変わってきた。
白米が一般的だったのが、今ではあえて雑穀米にしてご飯を楽しむ健康志向の人も増えてきた。
炊飯器にしても、「玄米コース」という炊き方も登場してきている。

お米は日本人の食にとって、とても重要な位置を占めるモノであるコトには変わらないが、これからは「お米を楽しむ」という付加価値が重要になっていくのかも知れない。
その意味での「嗜好品」というコトなのだと思う。




少し変わった被災地支援

2011-12-11 19:40:49 | ビジネス
スーパーマーケットに行くと、様々な食品関係のキャンペーンポスターや応募用紙がある。
最近は、キャンペーン対象商品近くではなく、レジカウンター近くに置かれていることが多いようだ。
その理由をアレコレ考えると、チョッと世間が忙しないからだろうな~と想像が付き、寂しい気持ちにもなる。
ただ、レジカウンター近くに数多くのキャンペーン応募用紙が置かれる(正しくは、壁に下げてある)と、見逃しやすいことも確か。
私自身、あまりこのようなキャンペーン商品を購入しないため、「へ~、こんなキャンペーンをしているんだ・・・」程度の興味しかなく、長い間見逃していたキャンペーンがあった。
それが「秋田米 みんなのちからキャンペーン」だった。
キャンペーンそのものは、新米が市場に出ることから始まっており、締め切りは今月末。
キャンペーン終了が近い。

このキャンペーンに興味が引かれた理由は、これまでのような食品プロモーションのためのキャンペーンと大きく違っているからだ。
ご存知のように、このようなプレゼントキャンペーンは販売促進も兼ねており、対象商品を購入するか、クイズに答えて商品を貰うという2つのパターンがある。
しかしこのキャンペーンは、そのいずれにも属さないプレゼンが用意されている。
それが「秋田米を被災地に送る」というモノ。

当選本数そのものが限られているので、被災地に送られるお米の量も決まっている。
とは言うものの、「被災地にお米を送る」というコトは、普通の人にはなかなかできない。
気持ちとしては「被災地応援」があっても、送るものは食品以外のものに限られるし、現実的には募金という方法が、一番ベストだということになる。
しかし、農協などがそこに加わると、応募者が被災地に農産物を送ることができる。
これまでとは違った、被災地支援の方法だといえる。
何より、「キャンペーンクイズ」という、気軽さが良い。

被災地となった東北地方は、日本でも有数の米どころでもあった。
その田んぼも、津波により作付けができない状態になっているところが多いだろう。
同じ東北の秋田のお米を送ることで、東北全体の農業が元気になるコトを応援する、というコトを考えれば、こんなキャンペーンも「あり」だと思う。
と同時に、これからの商品販促のキャンペーンの新しいカタチとなるかも知れない。
そんことを感じを持ちながら、キャンペーンチラシをショッピングバッグに入れて帰ってきた。


アラフォーと呼ばれる女性たち

2011-12-09 16:14:56 | ビジネス
3,4年前に「流行語大賞」を受賞した「アラフォー」というコトバ、今では当たり前のように40歳前後の女性たちを示す言葉として定着した感がある。
「アラフォー」に続き、「アラサー」や「アラフィフ」というコトバも登場したが、定着したとまでは言えない気がしている。

当時「アラフォー」と呼ばれた女性たちも、40代後半に入り始め最近では「美魔女」と呼ばれることもあるようだ。
「とても40代とは思えないほど、若々しく美しい女性」のコトを指すらしい。
確かに、街中で見かける女性の多くが実年齢よりも、若く見えるのでは?と、思うことが多い。
それほど、女性全般が若々しくなってきている、という印象がある。

その理由の一つが、おしゃれにかける時間と労力、情報収集力の高さのような気がしている。
というのも、書店に行くと40代~50代向けのファッション雑誌が、増えているだけではなく、登場するモデルさんや女優さんたちが、とても若々しいファッションやメイクをしているからだ。
雑誌全体からすれば、若年向けの雑誌が不振でもアラフォー以上向けのファッション誌などは、好調なのでは?と、思うほどだ。

考えてみれば、「アラフォー」というコトバが流行した頃の40代前半だった女性たちの多くは、バブル経済の中で青春を過ごした世代でもある。
卒業旅行なども海外へと出かけ、当然のように海外の有名ブランド品を身につけてきた世代でもある。
バブル経済が、日本の女性たちの「海外有名ブランド品志向」を強めた、と言っても過言ではないだろうし、その影響を一番受けた世代でもあるはずだ。

そのような視点で書かれた毎日新聞のWEBサイトの記事を読みながら、日本の消費をいろいろな意味で引っ張っているのは、彼女たちなのでは?という気がしてきた。
特集ワイド:震災後のアラフォー女性は? 「キレイ」骨太に進化

もう一つ彼女たちに共通していることがあるとすれば、「認められたい感」だけではなく、上昇志向も強いという点だろう。
もちろん、そのような女性たちばかりではない。
ただ、他の世代よりもその傾向が全体的に強い、というコトなのだ。
だからこそ、ボランティアなどの活動にも積極的なのだろうし、自分らしさを追い求め続けるのだろう。
そこから生まれる市場というのは、実に多岐にわたるはずだ。

それにしても「アラフォー」というコトバの素である「Around 40」は、女性だけを対象としていなかったと思う。
しかしそれが「アラフォー」となると、「40歳前後の女性」と限定されてしまう。
一体男性は、どこへ行ってしまったのだろう?


ソニーが目指すのは・・・

2011-12-08 14:52:19 | CMウォッチ
Yahooのトップには、様々な企業の広告が表示される。
先日エントリをしたカルティエも、そうだった。
今、気になっているのが「ソニーのヘッドホン」の広告だ。
「ソニー ヘッドフォン スペシャルコンテンツ」

現在、テレビで流されているのか知らないが、このプロモーションムービーだけを見ていると、なんとなくソニーがこれから先目指すモノが見えてくるような気がしている。
それが、「エンターティメント」という分野だ。

ご存知のように、ソニーは映像や音楽などのソフト事業にも力を入れてきた。
過去にはトリニトロンというテレビや、「音楽を聴く」というスタイルを大きく変え、iPodの生みの親ともなった「ウォークマン」がある。
残念なことにここしばらくは、ヒット商品とはなんとなく無縁の状態が続いていた。

それはテレビCMについても、言えていたような気がしている。
それが今回のヘッドフォンのプロモーションムービーを見ると、なんとなくだが「ソニーらしさ」のようなモノが感じられたのだった。
と同時に、ソニーがこれから先目指していくのは「音楽や映像企業」なのでは?という気がしたのだった。
そしてテレビや携帯型音楽プレーヤーなどは、それらの音楽や映像を存分に楽しむためのツール、という位置づけとなるようにも感じたのだった。

そのように考えると、先月ソニーがEMIを買収したことも、なんとなく辻褄が合うような気がする。
もちろん、EMIを買収したことでもたらさせる利益は、本業の下支えになるというのは間違ってはいないと思う。
だが本当のところは、EMIを買収することで音楽などのコンテンツを充実されることで、ツールであるテレビや音楽プレーヤーを売っていこうという考えなのでは?
別にテレビや音楽プレーヤーは、ソニーである必要は無いけれど、「より映像や音楽を楽しむため」の技術開発や独自のコンテンツやアプリケーションを取り込む、というコトを目指しているような気がするのだ。

ヘッドホンというツールは、決して高価なものではない。
だからこそ、これほどのグレードのプロモーションムービーを作ることが、気になったのだった。

MADE IN 東北

2011-12-06 19:49:35 | ビジネス
ミズノが新しい「ダウンジャケットを発売する」という。
ご存知のように、昨年あたりからダウンジャケットの傾向は「より軽く・暖かく」だ。
昨年ユニクロが発売した「ライトダウン」のシリーズはとても人気が高く、大手スーパーのPBブランドをはじめ、カジュアル衣料メーカーなども追従するようなカタチで、広がっていった。

実は、昨年あたりから女性向けの「キルティングコート」などでは、「縫い目がない」というのも流行りだった。
縫い目がないことで、保温性が高まるだけではなく、縫い目から綿が飛び出る心配も少ない、というコトらしい。

その両方を組み合わせた、ミズノの「ダウンジャケット」の発売を、今日の日経新聞のWEBサイトが報じている。
「縫い目無し、保温性の高いダウンジャケット」

記事中にある「水沢ダウン」というブランド名は以前から使われていたようだが、その「水沢」というのが、今回の東日本大震災の被災地・岩手奥州市の水沢地区のこと。
この水沢で作られるダウンジャケットだから「水沢ダウン」と、呼ばれるようだ。
雪深い地域ならではの、ウィンタースポーツ向けのウェア作りというコトだと納得できるのだが、この「水沢ダウン」はもう一つのコトを考えさせてくれる。
それが「MADE IN 東北」というコトだ。

これまで拙ブログでも、「新しいクールジャパン」として日本の伝統工芸品などを紹介してきた。
同じ様に、この「水沢ダウン」も「クールジャパン」なのでは?と、感じるのだ。
と同時に、被災地復興のキーワードとなるのは「MADE IN 東北」という、ブランド作りなのでは?と、感じている。
もともと東北にはすばらしい伝統工芸品があり、それを支える技術がある。
それをもっとモダンで「世界」を視野に入れたモノ作りが、「新しいクールジャパン」の一つとなるのでは?と考えるのだ。
それが、被災地の復興へとつながるだけではなく、「新しい日本モダン」になる可能性があると思っている。
もちろん、東北に限ったことではない。
日本各地には、様々な伝統技術を使った優れたプロダクトがある。
そのお手本、第一弾として「MADE IN 東北」があっても良いのでは?

日経新聞のWEBサイトに掲載されている写真を見て、もしかしたらスポーツ向けではなく、タウンユースとしても十分おもしろいのでは?と、感じたのだった。
そして、この技術を海外の有名なデザイナーたちが知れば、もっとおもしろいダウンウェアができるのでは?と、期待するのだ。





海外ファッションブランドに見る「らしさ」

2011-12-05 19:57:12 | マーケティング
12月に入り、街はすっかりクリスマス気分になりつつある。
そして、新聞の刷り広告などでは海外の有名ブランドの、クリスマスギフトの広告を目にすることが多くなってきた。
そんな中、いかにも・・・と感じさせる広告があった。
それが「カルティエ・Winter Tale」の広告であり、CMだ(注意:音声付動画)

カルティエのメインイメージとなっているのは、パンテール(豹)。
ご存知の方も多いと思うが、ウィンザー公爵が奥様であるシンプソン夫人へ贈った、カルティエオリジナルのブローチのモチーフとなったのが、パンテールだった。
以来、カルティエのジュエリーでは、繰り返しパンテールを様々なモチーフとしてデザインをし、人気を集めてきた。
いわばカルティエの顔とも言えるのが、パンテールだ。

そのパンテールを起用(というのだろうか?)し、作られたのが今回のクリスマスギフトのCMであり、新聞広告だった。
CM動画を見ていただくとよくわかるのだが、ナレーションも無く、パンテールが雪原を歩く先々でクリスマスオーナメントの玉が弾け、カルティエお勧めのクリスマスギフト商品が姿を現す、というシンプルだがとてもゴージャスな雰囲気がある。
カルティエの商品そのものが、とても高価だということもあるのだが、見ていて別世界へといざなわれるような感覚がある。
その別世界こそが、カルティエの持っている世界観、という感じだ。

実はもう一つ、今日の新聞の刷り広告で気になるものがあった。
それが、「アルマーニジーンズ RIHAANNA」だ(注意:RIHAANNAの歌つき動画)
なかなかセクシーなCMなので、日本のテレビCMとしてはあまり積極的に流れていないようにおもう(現在もテレビ無し生活のため、確認はしていない)。
ただ、そのセクシーさも含めモノクロームのCMというのは、いかにもアルマーニ、という気がするのだ。
自身のメインブランドでは、とてもエレガントなスタイルを表現しているが、その実デザインのディテールを見ると、意外とセクシーな部分がある。
カジュアルファッションの代表格・ジーンズをエレガントにそしてやや挑発的に表現する、というのもまた、アルマーニらしいと感じるのだ。

この2つの新聞やCM動画などを見ると、「自分たちの社外的イメージと表現したいこと」が、合致していると感じる。
だからこそ「らしさ」を感じるのだと思う。