Yahoo!のトピックス等にも取り上げられていた、米国アマゾンの時給アップのニュース。
Cnet Japan:アマゾン、倉庫等で時給を約2,000円超えにー大量採用へ
「新型コロナ」のワクチン接種者が増えたことで、米国では少しづつ以前のような生活が戻りつつあるようだ。
とはいうものの、おそらくリモートワークができる仕事等が、ハッキリしたことでオフィスで仕事をするのか?リモートで仕事をするのか?という判断を企業が積極的に推し進めていくのでは、ないだろうか?
その一方で「リモートワークができない仕事」も、「新型コロナ」の感染拡大により判明した。
特に、医療関係と物流関係に携わる人たちを「エッセンシャルワーカー」と呼ぶようになった。
医療関係者の場合は、直接患者に接する必要がある、という人達だ。
以前AIが進めば、AIが病気診断をするようになる、と言われていたはずだが、現実的にはまだまだ難しいそうだ。
勿論、「遠隔診断」という技術は進歩するだろうし、それによって専門医が少ない地方でも専門医の診断を受けることができるようになるだろう。
しかしそれは「診断」という場面のことであり、実際の治療(=臨床)の場面では、やはり対人間でなくては難しいのでは?と感じている。
というのも、AIが人よりも的確な診断ができるようになったとしても、「医療者に話す・医療者に聞いてもらう」ことで得られる安心感や信頼感はAIでは得られないのでは?と、感じるからだ。
そのような医療現場とは別に、物流関係に関しても「人の手」がどうしても必要なのだ。
「コロナ禍」で、通販等の物流量が増えたため、物流業界は更なる人で不足に陥っている、と言われている。
現在の物流システムでは、物を運ぶためにはどうしても人の手が必要であるにもかかわらず、物流に携わる人たちの給与が高いとは言えないからだ。
そのための人材確保のために、通販のオートメーション化に一番積極的で、ドローン等の利用も考えているアマゾンですら、時給を大幅に上げる必要があるのだ。
上述した「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる業種の人たちの給与は、全体的に高い賃金ではない、と言われている。
勿論構造的な問題もあり、高い賃金が出せない、ということもあるとは思うのだが、日本では「人に奉仕する仕事」に関して、どこか「奉仕する仕事だから、低賃金でも良い」という潜在意識のようなものがある。
確かに、医療従事者の中でも介護関連の仕事は、ハードで責任を問われる業務内容も多いのに、何故か賃金形態として安く設定される傾向がある。
その理由として考えられるのが、介護関連の仕事に従事しているのが女性が中心、という点が考えられる。
随分前に「公害訴訟」の話を聞いた時、国の補償設定が男性の7割が女性の補償額である、と聞いたことがある。
理由は「社会的生産性」が男性を10として考えた時、女性は7位が妥当ではないか?という、根拠のない雰囲気的な判断があったからだ。
そこには、子育てや介護等、家庭内での労働を労働として見ていなかった、という説明も聞いた。
言い換えれば、家庭内での労働がアウトソーシングされるようになっても、今だに家庭内での労働のような意識で考えられた賃金形態なのだ。
物流関連に関しては「単純労働」という理由が、大きいのでは?と考えている。
しかし、現実にはバブル崩壊後職を求めて、肉体労働に近い仕事に就いた高学歴者もいたはずだ。
それだけではなく「物流業」そのものも、「単純労働」と言い切れないような状況になってきている。
効率よく配達をするためのルート決めだけではなく、1日の間に2~3回集荷所に送られてくる荷物の地区ごとの分別等も、やはり人の手によるもののはずだ。
物流関連は、利用者が見えない所で、多くの人の手を要する仕事でもあるのだ。
その一方で「人新の『資本論』」の著者である斎藤幸平さん言うところの「どうでもよい仕事」は、高賃金の仕事だ。
あくまでも個人的な想像だが、今現在高賃金と言われている「どうでもよい仕事」は、AIによって駆逐される可能性が高いと感じている。
逆に考えれば、AIによって駆逐されない「エッセンシャルワーク」こそ、それなりの賃金を支払う時代が「新型コロナ」によって早まっているのでは?という気がしている。