きのう23日(水・祝)の「フランボワーズカップ」は、いろいろあって楽しい時間を過ごすことができた。詳細は25日(金)に書く。
21日(月)エントリの続きになるが、11月6日のLPSA金曜サロンは、以前も記したとおり、石橋幸緒女流王位(当時。以下同じ表記にする。清水市代女流三冠には申し訳ない)が遊びに見えた。理由はいろいろあったが、女流王位戦の最終局を10日後に控え、サロン会員をいじめて勝ち癖をつけたい、という狙いがいくらかはあったと思われる。
そうなると対戦相手が重要だ。あまり弱いと話にならぬし、適当に指して快勝できる相手が格好のターゲットである。そこで選ばれたのが、幸か不幸か私であった。
これが金曜サロン内の指導対局なら、時計なしの多面指しだから、こちらに少なくないアドバンテージが与えられる。しかし今回は対局時計を使った1対1の平手勝負、持ち時間も20分ずつと公平で、私が勝てる要素はまったくなかった。
それでも、現女流棋界最強(と私は信じている)の石橋女流王位と無料で指せるのはありがたことである。いつぞやの植山悦行七段同様、私に断る理由はなかった。
時計をセットして、対局開始。なお2日前のエントリでは、あの終わり方では大庭美夏女流1級戦のあとに指したように取られてしまうが、過去のエントリを見ると、大庭女流1級戦の前にこの将棋は行われていた。ここでお断りしておく。
さて石橋女流四段とのいままでの平手戦は3局。相矢倉、角換わり相腰掛銀、矢倉対左美濃と、相居飛車系の将棋ばかりだったので、今回は飛車を振ることにした。ところが三間に振るつもりだったのに、四間に飛車を置く失態を演じてしまう。
花村元司九段なら、「しょんない」と1手損で三間に振り直すところだが、さすがにそんな手損はできないので、そのまま駒組を進めることにする。
居飛車側の対振り飛車対策はいろいろあって、なんでも指せる石橋女流王位には楽しい時間であったろう。本局は、☖7四歩~☖7三桂と早めに形を決めてきた。こちらが☗6七銀と上がろうものならすかさず☖6五桂と跳ぶ「富沢キック」も視野に入っていそうだ。
石橋女流王位はさらに☖6三銀~☖7二金と変則的な構え。以下☖6二王となって、上手側の全貌が明らかになった。「糸谷流右玉」である。アマチュア相手にこんな玄人好みの作戦を採るとは、石橋女流王位、これはいよいよ本気である。もっとも前局の指導対局では私が幸いしたし、その前の将棋も、終盤までこちらも十分指せていた。石橋女流王位としては、そろそろスカッと勝ちたいところであったろう。
フト顔を上げて石橋女流王位の顔を窺う。と、いつもの朗らかな笑顔はなく、真剣そのもの。正面からちょっと俯き加減のその顔は、たいそう美人に見えた。石橋女流王位は昔から美人だと思っていたが、この角度が一番美しい。
公認棋戦モードのオーラが発散されているのが分かる。ただでさえ互角の条件で指しているのに、そんなことばかり考えているから、たちまち作戦負けに陥った。上手に☖1三角と覗かれ、☖4一飛~☖3三桂と全軍躍動され、☖4五歩と開戦されて、この時点で勝負の気持ちが萎えていた。
以下、こちらも気力を振り絞って指したものの、石橋女流王位に角金交換の駒損ながら桂頭を食いつかれ、一方的に攻め倒されてしまった。
その前週の植山七段との指導対局でも思ったことだが、(本局の場合)いくら平手でも、もう少し下手が上手を手古摺らせないと、プロ側も張り合いがないというものだ。石橋女流王位の好意に応えられなかった自分が、情けなかった。
局後、糸谷流右玉の攻略法を簡単に教えていただく。しかしそれが自分の中で少しも消化されていなかったことは、11月28日(土)の「蕨市市制施行50周年・ふれあい将棋まつり」の将棋大会で、やはり糸谷流右玉の使い手に完敗を喫したことで証明されてしまった。
私はヒトの話を聞いているようで、聞いていない。確か昔学校の先生に、親を通じて言われたことがあったが、さすがに我が先生、慧眼であった。
21日(月)エントリの続きになるが、11月6日のLPSA金曜サロンは、以前も記したとおり、石橋幸緒女流王位(当時。以下同じ表記にする。清水市代女流三冠には申し訳ない)が遊びに見えた。理由はいろいろあったが、女流王位戦の最終局を10日後に控え、サロン会員をいじめて勝ち癖をつけたい、という狙いがいくらかはあったと思われる。
そうなると対戦相手が重要だ。あまり弱いと話にならぬし、適当に指して快勝できる相手が格好のターゲットである。そこで選ばれたのが、幸か不幸か私であった。
これが金曜サロン内の指導対局なら、時計なしの多面指しだから、こちらに少なくないアドバンテージが与えられる。しかし今回は対局時計を使った1対1の平手勝負、持ち時間も20分ずつと公平で、私が勝てる要素はまったくなかった。
それでも、現女流棋界最強(と私は信じている)の石橋女流王位と無料で指せるのはありがたことである。いつぞやの植山悦行七段同様、私に断る理由はなかった。
時計をセットして、対局開始。なお2日前のエントリでは、あの終わり方では大庭美夏女流1級戦のあとに指したように取られてしまうが、過去のエントリを見ると、大庭女流1級戦の前にこの将棋は行われていた。ここでお断りしておく。
さて石橋女流四段とのいままでの平手戦は3局。相矢倉、角換わり相腰掛銀、矢倉対左美濃と、相居飛車系の将棋ばかりだったので、今回は飛車を振ることにした。ところが三間に振るつもりだったのに、四間に飛車を置く失態を演じてしまう。
花村元司九段なら、「しょんない」と1手損で三間に振り直すところだが、さすがにそんな手損はできないので、そのまま駒組を進めることにする。
居飛車側の対振り飛車対策はいろいろあって、なんでも指せる石橋女流王位には楽しい時間であったろう。本局は、☖7四歩~☖7三桂と早めに形を決めてきた。こちらが☗6七銀と上がろうものならすかさず☖6五桂と跳ぶ「富沢キック」も視野に入っていそうだ。
石橋女流王位はさらに☖6三銀~☖7二金と変則的な構え。以下☖6二王となって、上手側の全貌が明らかになった。「糸谷流右玉」である。アマチュア相手にこんな玄人好みの作戦を採るとは、石橋女流王位、これはいよいよ本気である。もっとも前局の指導対局では私が幸いしたし、その前の将棋も、終盤までこちらも十分指せていた。石橋女流王位としては、そろそろスカッと勝ちたいところであったろう。
フト顔を上げて石橋女流王位の顔を窺う。と、いつもの朗らかな笑顔はなく、真剣そのもの。正面からちょっと俯き加減のその顔は、たいそう美人に見えた。石橋女流王位は昔から美人だと思っていたが、この角度が一番美しい。
公認棋戦モードのオーラが発散されているのが分かる。ただでさえ互角の条件で指しているのに、そんなことばかり考えているから、たちまち作戦負けに陥った。上手に☖1三角と覗かれ、☖4一飛~☖3三桂と全軍躍動され、☖4五歩と開戦されて、この時点で勝負の気持ちが萎えていた。
以下、こちらも気力を振り絞って指したものの、石橋女流王位に角金交換の駒損ながら桂頭を食いつかれ、一方的に攻め倒されてしまった。
その前週の植山七段との指導対局でも思ったことだが、(本局の場合)いくら平手でも、もう少し下手が上手を手古摺らせないと、プロ側も張り合いがないというものだ。石橋女流王位の好意に応えられなかった自分が、情けなかった。
局後、糸谷流右玉の攻略法を簡単に教えていただく。しかしそれが自分の中で少しも消化されていなかったことは、11月28日(土)の「蕨市市制施行50周年・ふれあい将棋まつり」の将棋大会で、やはり糸谷流右玉の使い手に完敗を喫したことで証明されてしまった。
私はヒトの話を聞いているようで、聞いていない。確か昔学校の先生に、親を通じて言われたことがあったが、さすがに我が先生、慧眼であった。