一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

帰京の楽しみ

2009-12-20 23:44:12 | 旅行記・九州編
19日(土)は鹿児島のビジネスホテルに泊まる、ホテル備え付けのデジタル時計で目覚ましをセットしようとしたら、なぜだか時間が1時間進んでいる。時間の戻し方がよく分からないので、目覚まし時間のほうを1時間戻して、眠りについた。
明け方、デジタル時計のけたたましい音で目が覚める。時計の数字を見ると「6:40」を指している。枕元の腕時計は「5:40」だ。?? 私の計算では7時40分に鳴るはずだったのだが…あっ!! 1時間進んでいるのに目覚ましの時間を1時間戻したら、マイナス2時間で5時40分に鳴るに決まってるじゃないか!!
う~、失敗した、と2度寝したら、今度は盛大に寝過ごした。早くホテルを出たいが、朝食が無料なので、それを摂ってから鴨池港へ向かう。というわけで、きょう20日(日)は、大隅半島まで船で渡り、日南線の上り列車に乗って宮崎空港から空路帰京する予定である。もっとも最後の飛行機は、予定変更はあり得ないが。
さて時間に余裕があれば鴨池港までぶらぶら歩くところだが、時間がないので公共交通機関の助けを借りる。
鹿児島中央駅前の大通りの向こう側にある八百屋で訊いたら、すぐ先にあるバス停に乗れば、鴨池港に着くと教えてくれた。ありがたい。
上之園町バス停に着いたのが9時29分。折よく30分のバスがあり、3分遅れで到着した。鴨池港着9時54分。ここから10時05分発のフェリーに乗り、大隅半島にある垂水港へ向かう。旅の行程に「船」を入れると、旅の幅がグンと広くなる。島国のありがたいところだ。
頂上に雲のかかる桜島を左に見て、定刻を8分遅れて10時48分、垂水港着。ここから大隅交通のバスに乗って、志布志駅に向かう。志布志は日南線の終着駅で大隅半島の南東にあり、かつては大隅線と志布志線が分岐する一大ジャンクションだった。しかし国鉄大改革で両線とも廃止になり、志布志駅はただの終着駅と化した。
志布志からは数年前に1度乗ったことがあるが、そのときは私を含めて2人しか乗客がいなかった。日南線には青島や飫肥などの観光地があるから、もう廃線になることはないが、列車ダイヤ削減の可能性はある。今回は前回乗ったときとほぼ同じ時刻だが、いったい何人が乗車するだろうか。
私ひとりきりとなった志布志駅上バス停で下車し、大通りを右に折れ、200m歩くと志布志駅である。と、駅前でちょっとしたイベントをやっていた。地元のオジサンがステージで歌を歌い、その周りではプチフリーマーケットをやっている。出店もある。
ローカル線は、まず地元の人が乗ることが肝心である。こうやって少しでも地域の活性化を目指す心意気があれば、まだまだ日南線の末端区間は大丈夫だと思った。懐かしい志布志駅構内に入る。とはいっても短いホームがあるだけである。切断されて赤錆びている側線が痛々しい。13時46分発車。注目の乗車数は、10人以上いた。たかが10人と笑うなかれ。私を除けば、前回の10倍以上の客が乗ったことになるのだ。
油津駅で乗り換え、15時07分、飫肥駅着。「(たぶん)宮崎の小京都」と云われる飫肥は一度観光をしたいと思っていた。思えば今回初めての、観光らしい観光である。
駅で街の地図をいただき、飫肥の城下町までぶらぶら歩いて行く。「旧山本家」に入ると、「飫肥城・通行手形」が割安でいいと教えてくれた。名所を6ヶ所廻って600円。だからそれを買うことにする。「旧山本家」は純和風の建物で、こういう家を見ると、すぐ我が家を思い出す。こんなカンジ、前もあったと思ったら、松尾香織女流初段の出身地である、広島県呉市下蒲刈島で、とある旧家を拝見したときに抱いた感慨と同じだった。
飫肥城跡へ赴く。偶然だが、ここには「松尾の丸」という建物が残っている。昔の殿様が生活していたようだ。しかしここも我が家の「臭い」がする。
ところで松尾女流初段は先日の天河戦で、見事予選突破を果たした。先日からなんべんも書いているとおり、もちろん松尾女流初段にも、タイトル獲得の可能性は十分ある。「松尾天神」から「松尾天河」になることを祈っている。
施設の閉館時間がおもに5時までだったので、駆け足で廻った。しかし駆け足すぎて時間が余る。こういうときは喫茶店を探してケーキセット、といきたいところだが、私のアンテナに反応するものがなかったので、そのまま駅に戻る。
17時55分発宮崎行きの電車が来るまで50分近くあるが、待合室でボーッとする。こういう時間もいいものである。表にいたタクシーの運転手さんが、話しかけてくる。
「どちらから?」
「東京からです」
私は浅見光彦のごとく、さわやかに応える。そういえばかつて浅見光彦を演じていた榎木孝明が、9月に飫肥城跡で映画のロケをしたらしい。自身の企画のようである。順調にいけば来年公開されるだろう。
「九州は寒くて大変だったでしょう」
「ええ、私、かなり着こんできてしまって、旅の途中で1枚ぐらい脱ぐことはあるだろうと思ってたら、結局1枚も脱ぎませんでした」
今回の旅はとにかく寒く、雪がパラつくことも多かった。東京では雪を見なかったのに、九州で見るとは…。私の旅行は、とにかく天候が不順になることが多い。
タクシーの運転手さんが言うには、九州には宮崎・佐土原にスキー場があり、そこが日本最南端のスキー場らしい。今年は人工の雪を降らせて紛らわせていたが、先日そこそこの雪が降って積雪が45センチになり、ようやく堂々とスキーができるようになったという。
17時55分の快速電車に乗り、18時46分、田吉で下車。ここから宮崎空港まで、鉄路だと1.4㎞だが、あいにく空港行きの電車が来るのは50分後なので、ここからは徒歩で駅に向かう。沖縄以外で、徒歩で空港入りするのは珍しい。本州では、米子空港へ徒歩で向かったことがある。
機内のキャビンアテンダントは3名。うちひとりが、矢内理絵子女王によく似ていた。矢内女王はなぜ女流名人位戦A級リーグを陥落したか。それは彼女に笑顔がなかったからである。ここ数年間、矢内女王は、心の底から笑ったことがあるだろうか。たしかに女流名人や女王は獲ったが、誤解を恐れずに言えば、恐らく「ない」と思う。米長邦雄日本将棋連盟会長も言うように、「笑い」は大事な要素である。「苦しい将棋も投げないで頑張る」というのは後ろ向きの考えだ。そんなものは捨てて、物事を前向きに捉えることが重要だと私は考える。
さて、いつも飛行機の帰りはさびしいが、今回はそうでもない。なぜなら、23日(水・祝)に東京で、LPSA主催の「フランボワーズカップ」があるからだ。東京に住んでいる者ばかり楽しんでしまって、地方に住んでいる方には申し訳ないと思うが、人の幸、不幸なんて総量は同じだ。だから、これでいいのだ。
コメント (6)
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