一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・藤森奈津子女流三段③

2009-12-10 00:35:30 | LPSA金曜サロン
9日の日本将棋連盟会長・米長邦雄永世棋聖の「さわやか日記」によると、何やらアンケートを取ったらしく、その集計の結果、女流棋士会所属女流棋士の満足度は、95%以上だったそうだ。女流棋士会在籍者は現在43名だから、全員が律儀に答えたとすると、2名しか不満を表さなかったことになる。
私は会社勤めのとき、会社に対して不満だらけだったから、この数字は突出して高いと思った。米長会長のもと、女流棋士会棋士が対局と普及に、伸び伸びと邁進するのは素晴らしいことである。皆さん幸せそうで、なによりである。

10月30日のLPSA金曜サロンは、昼が藤森奈津子女流三段、夜が船戸陽子女流二段の担当だった。今日は藤森女流三段との1局を振り返る。
藤森女流三段の担当は、この前は8月14日と9月18日だったが、8月は石垣島旅行、9月は将棋ペンクラブ大賞贈呈式で、私はいずれも欠席した。よって実に6月5日以来の指導対局となった。ちなみにそのときは石田流に組まれて負け。その前の対局(4月24日)も負けており、結局2本目の扇子にはサインを戴くことなく、逃げられた。今回はもう3本目の扇子だが、ここは是が非でも勝ち、久々にサインを頂戴したいところであった。
☗7六歩☖3四歩☗6八玉。ここで☖3二飛なら角を換わって☗6五角の予定だったが、藤森女流三段がそんな手にかかるはずもなく、☖4二飛と振ってきた。三間飛車一辺倒の藤森女流三段には珍しい四間飛車である。
藤森女流三段はふだん以上に朗らかで、気さくに話しかけてくれる。ありがたいことだと思うが、藤森女流三段の指し手にブレはない。数手後に角道を止め三間に振り直したあと、3筋の歩を交換して、その飛車は3四に収まった。
私は持久戦に持ち込み、左美濃に組む。しかしその後も藤森女流三段に軽快に動かれ、☗3三角成(桂を取る)☖同飛☗2五桂と飛角両取りをかけなければならないようでは、こちらが忙しくなった。ところが藤森女流三段にも攻め急ぎの手が出て、形勢はややこちらに傾いた。
ここで、藤森女流三段への断りを後回しにして、ハイライトの局面を掲げてみよう。例によって符号で示す。

上手・藤森女流三段:2三歩、2八竜、5二金、5三歩、5四銀、5七成香、6四馬、6五歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9二歩 持駒:桂2、歩
下手・一公:1一と、1三成桂、2六歩、3一竜、3九歩、5六銀、6七歩、7六歩、7七馬、7八金、8六歩、8七銀、8九玉、9四歩、9七香 持駒:金2、香、歩4

☗5二桂成☖同金の局面。盤に並べていただければ分かるが、ここで私にナナメに利く駒が入れば、☗7一○で詰みである。その駒は5四と6四にある。だから私は、☗5五銀と指した。当たりになっている銀を逃げつつ、最後のご奉公をさせる、実に味のいい一手だ。これには上手も困っただろう。仕方なく☖5五同銀と取ったが、☗同馬と取った手が、詰めよ馬取り。これは勝ったと思った。ところが――。
ここで☖3九竜と指されて飛びあがった。竜による王手竜取りである。これを☗同竜と取れば、上手王への詰めろが消えるうえ、天王山の5五馬を取られて、これは下手がおもしろくない。だから☗6四馬とこちらを取ることも考えたが、「王手」なのだった。二歩以外の反則は、時節柄慎まなければならない。
だから私は泣く泣く☗3九同竜と取ったが、藤森女流三段にゆうゆう☖5五馬と取られ、ここで私の戦意が萎えた。☗8八銀と一枚入れればまだまだだったが、ここから「ヨーイドン!」はもうできない。私はとりあえず☗3一竜と入り、☖6一銀打に☗8五香と打って、攻め合いに活路を見出す。
しかし当然ながら☖7七桂が痛打。以下数手進んで☗8三香成と突っ込んだが、その数手後に☖7四歩と懐を拡げられ、最後は☖4九飛から☖4一歩と☗3一竜の利きを止められ、投了のやむなきに至った。
唖然茫然である。まさかこの将棋を落とすとは思わなかった。戻って☗5五銀では、手厚く☗5五金が正着だったか。うますぎる手には注意せよ、と格言は教えるが、死に駒の☗5六銀を活用する☗5五銀がバカにうまい手に見えて、それが実践できなかった。
藤森女流三段には、なんとこれで3連敗である。アマがプロに3連敗しても何の不思議もないのだが、最近は松尾香織女流初段、中倉宏美女流二段とたて続けに3連敗を喫し、ちょっと負け癖がついているのが気にいらない。
またもサインを戴けず、私はただただうなだれるのだった。
コメント (6)
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