一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の北海道旅行1・北海道までの長い夜

2013-02-13 00:06:11 | 旅行記・北海道編
「はやて39号」は4分遅れで発車した。私は2号車の「9D」。2人掛けの通路側だ。隣の席は男性。まあこれは予想どおりである。
はやて39号は全席指定で、きょうは満席とのこと。私は余裕を持って指定席を取ったつもりだったが、けっこう危なかったかもしれない。
車窓からの景色を楽しみたいが、夜に加えて私が通路側だからむずかしい。新幹線は窓も小さく、無理に見ようとすれば隣の男性を鑑賞することになってしまう。
こんなときのために用意したものがある。「将棋世界」3月号である。無聊を慰めるのにこれほどふさわしいアイテムはない。あまり知られていないが、私は意外に将棋が好きなのだ。今号は、勝又清和六段の「突き抜ける!現代将棋・大山の金」が抜群におもしろかった。
仙台着は8分遅れ。東北地方の豪雪の影響らしい。ここでも1分ロスし、9分遅れで仙台を出発した。
この終着は新青森だが、「新」と付くくらいだから、在来線の青森駅とは接続していない。ひとつ隣の駅から青森まで乗り、そこから「急行はまなす(夜行列車)」に乗り継ぐのである。
すなわち、上野発19時02分→新青森着22時24分、新青森発22時33分→青森着22時39分、青森発22時42分→札幌着6時07分、となる。
だが新幹線で9分も遅れたら、ここですでにアウトである。新青森からすぐに乗り継げるのだったら夜行列車も待ってくれるだろうが、間に一本在来線を挟んでいる。JRがそこまで融通をつけてくれるだろうか。
しかし「はやて39号→在来線→急行はまなす」は3手一組の完成手順である。いままでだってこうしたケースはあったはずだ。そのとき急行はまなすが、新幹線の乗客を残して発車したとは思えない。何とかしてくれそうな気がするが、希望的観測だろうか。
盛岡着7分遅れ。ほとんど遅れを取り戻せていない。ここで「こまち39号」とはお別れ。左の客も下車した。しかしすぐに別の乗客が乗ってくる。
盛岡発車。いわて沼宮内を過ぎたところで、「新青森→青森の奥羽本線、急行はまなすとも、新幹線の接続を待つ」との車内放送があった。当然といえば当然の措置だが、私はとりあえずホッとして、車内販売のお姉さんからアイスクリームを買った。
ただし、弘前方面の電車は運転取りやめとのこと。そっち方面の乗客には代行バスやタクシーを用意しているという。タクシーの料金はどうなっているのか分からぬが、JR東日本のサービスも手厚い。
八戸を過ぎて新線初体験。新青森には定刻を5分遅れの22時29分に着いた。
すぐさま在来線に乗り換える。新青森は3分遅れの22時36分発、青森にはやはり3分遅れの22時42分に着いた。
この時点で急行はまなすの発車時間になっているが、もう心配はない。
跨線橋を渡り、急行はまなすに乗る。私は9号車の11Cで、また通路側。もちろん指定席である。4分遅れで青森を発車した。
左の席は男性、前は女性。通路を挟んだ右は女性の2人組だ。その前はオッサンが座っている。このオッサン、チラチラ左の女性…つまり私の前の女性を見ている。推理小説の世界では、夜行列車は格好の事件の舞台だ。現実世界で何事もなければいいがと思う。
急行はまなすの列車編成は寝台車3両、指定席車7両、自由席車2両の計12両。3連休の直前だけあって、ずいぶん長大だった。列車は飛行機と違って、車両を増結できるからいい。
私はといえば夜行列車は久しぶりで、JR東日本とJR北海道の「ぐるり北海道フリーきっぷ」があったころにはよく「北斗星」を利用したものだが、座席夜行となるといつ以来か、すぐには思い出せない。もっとも「夜行バス」なら、ここ数年間でも何度か利用しているが。
私は座席で眠ることができない。寝ようと思うと寝られないのである。今回もハナから諦めていた。
と、あのオッサンが左の女性に声を掛けた。しかし驚いたことに、女性も話に応じている。?? …あっ、夫婦!? 女性の左にいるお嬢ちゃんは娘、オッサン…いや、男性の右にいる小学生は息子か! これは私の盛大な勘違いだった。
列車は青函トンネルに入ったようだ。眠ったままで渡道できるとは夢のようだが、夜行列車ではいまひとつ感激がうすい。
パアッと灯りが拡がった。青函トンネルを抜けた。北海道に入ったのだ。
9日1時10分、函館着。定刻より10分の遅れだ。ここで進行方向が逆になる。長距離列車に乗っていると不愉快になのがこれで、乗客は座席を回転させなければならない。北海道は遠軽(えんがる)、秋田県大曲などもそうだ。
これ、乗客の気持ちがひとつになって、全員が回転させればいいが、稀に進行方向に無頓着な人がおり、そのままの人がいる。
そうなると客同士が向かい合わせになるという不具合が生じる。もっとも私は以前、それでOLらしき人と向かい合わせになり、おしゃべりに興じることができたのだが…。
ところが今回は、誰も座席を回転させなかった。夜行列車でもあり、景色は二の次。移動に徹するという、乗客の無言の意見が一致したものであろう。
左の男性は外に出た。戻って来たら、タバコ臭かった。さっきもそうだったが、相当なヘビースモーカーのようだ。
何分か経った後、函館発。いよいよ寝なければならないが、無理だ。ウトウトするが、眠る直前でバチッと目が覚めてしまう。右を見ると、女性の2人組は深い眠りに落ちている。凝視しては失礼なので、私は前を向く。
左の男性は姿勢をナナメにやったりするので、尻のあたりが私に当たる。私は気持ち悪いが、先方は気にしてないふうだ。
夜行列車も見方によっては気味が悪く、私が20代のころ、北海道の夜行列車に乗って眠っていたら、隣に座っていた男性が、私の太ももをさすっていたことがあった。
いまの彼がそうだとは言わないが、何となく眠りに集中できない。
車内は暖房がガンガン利いている。喉が渇いたが、ペットボトルに残っているお茶だけで済ませたいところ。車内には飲み物の自動販売機が設置されているが、150円も出してジュースを買いたくない。
3時…4時…。5時を過ぎたところで車内の蛍光灯が点き、「おはようございます」の放送があった。
5時25分、南千歳着。列車は完全に遅れを取り戻していた。もっともここまで来れば何分遅れても物の数ではないが、それでも9日は朝から予定が詰まっている。時刻表に縛られる鉄道旅行は、それなりにタイトなのだ。
と、右の女性のひとりが後ろの席に移動し、それぞれメイクを始めた。ドラマやバラエティ番組のメイキングがウケるように、何事においても、完成への過程を見るのは興味深いものである。
しかし前述したように、それをジロジロ見るわけにはいかない。
前の女性も、手鏡片手にメイクを始めた。そうか…。朝が早いと、こういう状況が発生するのか…。
列車は6時07分、定刻に札幌に着いた。さあ、ここから本格的な「冬の北海道旅行・2013」の始まりである。
(つづく)
コメント (2)
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