節分の3日(日)は、埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。
教室に入ったのは午後1時43分。中では大野八一雄七段が、Ue氏、Honma君、Sat君に指導対局を行っていた
奥の部屋には誰もいない。植山悦行七段はあす(4日)対局だからこれは分かる。それにしても生徒が少ない。
「植さんが風邪をこじらせちゃって」
と大野七段。植山七段、きのう(2日)は風邪を押して大野教室に現れたのだが、そこでリキを入れ過ぎたらしい。いずれにしてもあすは、私たちの期待がかかる大一番である。絶対に勝ってくれると信じている。
「きょうは中井さんが来る予定だったんだけど、ほかの予定が入ってしまって…」
と大野七段。
それは残念である。北海道に行く前に、中井広恵女流六段のご尊顔を拝したかったのだが、やむを得ない。しょせん私たちは、すれ違いの運命だったのだ。
早速大野七段に教えを請う。
「このたびは昇級されたそうで…」
大野七段がニヤニヤしながら言う。
先月の「わらび将棋教室」での指導対局で、植山七段と私の手合いが香落ちに昇格したことをいっているのだ。「でもボクとの香落ちは10年早いよ」と大野七段の顔が言っている。
たしかにそうで、私は大野七段に角落ちで12勝47敗。香落ちどころか、飛車落ちに直してもらいたいぐらいなのだ。
将棋は相居飛車。私は▲3五の位を取るが、そのために玉の整備がわずかに遅れた。
そこへスタッフのW氏が来た。最近は重役出勤が多い気がするが、どうなのだろう。
Minamiちゃんも来た。Minamiちゃんは将棋が目的のすべてではないだろうが、こうして毎回参加するのは感心である。
さらに、聞き覚えのある声がして、品のいい初老の女性が入室した。Aoさんである。AoさんはLPSA金曜サロンの常連で、隠れ名物キャラだったひとだ。
実は前々回、Aoさんから教室に電話があり、今月訪れる旨を告げていたのだ。Aoさんが昨年暮れのLPSAクリスマスパーティーに参加したとき、同席した大野教室の生徒に紹介されたらしかった。
続いて奨励会のM君、Fuj氏も来た。M君は先日の奨励会で3級に昇級したとのこと。この前まで6級で四苦八苦していたのに、この快進撃は何か。いままでためていた力を爆発させたということだろう。頬もスッキリして、充実しているようである。3級昇級、おめでとうございます。
大野七段は▲3五歩を奪還にくる。しかし△3三金の悪形となったので、それなら悪くないと思った。
Aoさんは平手で教えてもらいたいふうだったが、大野七段は駒落ちを推奨する。初心者の陥りやすい誤解に、「将棋の上達には平手戦が一番」というのがある。実は駒落ちこそが大事で、ここに上達のエキスが詰まっているのだ。金曜サロンでの女流棋士はAoさんと平手専門で、しかも必ず女流棋士が負けてあげるという、奇妙奇天烈なものだった。こんなままごとで将棋が上達するはずもなく、果たしてAoさんは、全然強くならなかった。
今回大野七段は六枚落ちから教え始めた。序盤をサラサラと並べ、飛車を成る順を教える。やがてと金を作り、玉に迫っていく。またたく間に上手玉が詰んだ。Aoさんもうれしそうだ。Aoさんは将棋に勝つことが好きなので、平手でも六枚落ちでも構わないのだ。大野七段はそこを見切っていた。Aoさんが教室の常連になることを祈る。
私のほうは、矢倉に組む前に大野七段が攻めてきて、居玉での防戦となった。
終盤戦、大野七段が△3八歩と垂らす。
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▲3八同飛は、△4七銀▲2八飛△5八金▲同飛△同銀成▲同玉△7八飛で、下手負け。しかし捨て置けば△7八銀が厳しい。
私はどう指したか。
(つづく)
教室に入ったのは午後1時43分。中では大野八一雄七段が、Ue氏、Honma君、Sat君に指導対局を行っていた
奥の部屋には誰もいない。植山悦行七段はあす(4日)対局だからこれは分かる。それにしても生徒が少ない。
「植さんが風邪をこじらせちゃって」
と大野七段。植山七段、きのう(2日)は風邪を押して大野教室に現れたのだが、そこでリキを入れ過ぎたらしい。いずれにしてもあすは、私たちの期待がかかる大一番である。絶対に勝ってくれると信じている。
「きょうは中井さんが来る予定だったんだけど、ほかの予定が入ってしまって…」
と大野七段。
それは残念である。北海道に行く前に、中井広恵女流六段のご尊顔を拝したかったのだが、やむを得ない。しょせん私たちは、すれ違いの運命だったのだ。
早速大野七段に教えを請う。
「このたびは昇級されたそうで…」
大野七段がニヤニヤしながら言う。
先月の「わらび将棋教室」での指導対局で、植山七段と私の手合いが香落ちに昇格したことをいっているのだ。「でもボクとの香落ちは10年早いよ」と大野七段の顔が言っている。
たしかにそうで、私は大野七段に角落ちで12勝47敗。香落ちどころか、飛車落ちに直してもらいたいぐらいなのだ。
将棋は相居飛車。私は▲3五の位を取るが、そのために玉の整備がわずかに遅れた。
そこへスタッフのW氏が来た。最近は重役出勤が多い気がするが、どうなのだろう。
Minamiちゃんも来た。Minamiちゃんは将棋が目的のすべてではないだろうが、こうして毎回参加するのは感心である。
さらに、聞き覚えのある声がして、品のいい初老の女性が入室した。Aoさんである。AoさんはLPSA金曜サロンの常連で、隠れ名物キャラだったひとだ。
実は前々回、Aoさんから教室に電話があり、今月訪れる旨を告げていたのだ。Aoさんが昨年暮れのLPSAクリスマスパーティーに参加したとき、同席した大野教室の生徒に紹介されたらしかった。
続いて奨励会のM君、Fuj氏も来た。M君は先日の奨励会で3級に昇級したとのこと。この前まで6級で四苦八苦していたのに、この快進撃は何か。いままでためていた力を爆発させたということだろう。頬もスッキリして、充実しているようである。3級昇級、おめでとうございます。
大野七段は▲3五歩を奪還にくる。しかし△3三金の悪形となったので、それなら悪くないと思った。
Aoさんは平手で教えてもらいたいふうだったが、大野七段は駒落ちを推奨する。初心者の陥りやすい誤解に、「将棋の上達には平手戦が一番」というのがある。実は駒落ちこそが大事で、ここに上達のエキスが詰まっているのだ。金曜サロンでの女流棋士はAoさんと平手専門で、しかも必ず女流棋士が負けてあげるという、奇妙奇天烈なものだった。こんなままごとで将棋が上達するはずもなく、果たしてAoさんは、全然強くならなかった。
今回大野七段は六枚落ちから教え始めた。序盤をサラサラと並べ、飛車を成る順を教える。やがてと金を作り、玉に迫っていく。またたく間に上手玉が詰んだ。Aoさんもうれしそうだ。Aoさんは将棋に勝つことが好きなので、平手でも六枚落ちでも構わないのだ。大野七段はそこを見切っていた。Aoさんが教室の常連になることを祈る。
私のほうは、矢倉に組む前に大野七段が攻めてきて、居玉での防戦となった。
終盤戦、大野七段が△3八歩と垂らす。
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▲3八同飛は、△4七銀▲2八飛△5八金▲同飛△同銀成▲同玉△7八飛で、下手負け。しかし捨て置けば△7八銀が厳しい。
私はどう指したか。
(つづく)