道北バスの事務所は、ビルの地下1階にあった。カウンターで3,000円の「昼割パス」を買う。ついでに層雲峡行きのバス乗り場を教えてもらった。
横断歩道を引き返し、そこに着いたのは12時12分。意外と余裕があった。といっても発車3分前だったが。
来たバスに乗り、席にすわって、缶コーヒーを開けた。こういう場で飲むコーヒーがこよなく美味いのだ。
バスはだだっ広い国道を走る。路線バスとは思えない飛ばしっぷりだ。
左手には石北本線が見える。この路線も赤字で列車も少なく、それを補うためか、ほとんど優等列車しか走っていない。しかしいまはレールが雪に埋もれていて、廃線にも見える。
13時35分、JR上川駅前着。上川は層雲峡への玄関口で、「かみかわ」と読む。松尾香織女流初段の旧姓も同じ「上川」だが、こちらは「うえかわ」と読む。時間が合えばここまで鉄路を利用したかったが、ダイヤがないのでやむを得なかった。
5分間のトイレ休憩を挟み、13時40分上川発。25分ほど走って、そろそろ層雲峡である。私は「昼割パス」を取り出す。なにげなくその裏を見て、ギョッとした。但し書きに、「乗車時刻10:00から降車時刻16:00に限ります」とあったからだ。
帰りのバスは層雲峡発15時40分、旭川駅前着17時35分を予定している。こうした昼パスは、有効時間がたいてい16時までだが、それまでに「乗車」すれば構わないと、ひとり合点していた。しかし今回それでは、昼割パスは使えない。ちょっとでも得をしようとして、また損をしてしまった。
14時10分、層雲峡バスターミナル着。層雲峡へは若かりし頃何度か訪れたことがある。ターミナルから先には大函・小函と呼ばれる屏風岩があり、観光バスに乗ったら綺麗なバスガイドさんが案内してくれた。何となく甘酸っぱい思い出である。
しかし冬のいまは、「層雲峡氷爆まつり」がメインである。むろん今回の目的もそれだった。それに温泉に入れればなおよい。
眼下にある「氷爆まつり」会場に向かう。と、入場料を200円取られたので驚いた。地元も予算がないのだろう。
北海道の冬は厳しいが、私の経験では、約20年前の氷爆まつりがいちばん辛かった。標高が高いうえに風が物凄く、全身が痛いくらいだった。それに比べればきょうはラクなほうだ。風がないため、体感気温は東京のそれとほとんど変わらない。
会場内には氷で造られた洞窟がある。入ってみるが、幻想的で楽しい。しかしどこか虚しいのはなぜだろう。
氷爆まつりは夜のライトアップが美しいのだが、旭川冬まつりのライトアップも楽しみたい。今回は旭川の夜を採った。ちなみに、あすは札幌の夜を愉しみ、12日の朝に空路で帰京する。もう少し休日が欲しかったが、自営業者は贅沢は言えない。
バスターミナルに戻り、観光案内所に入る。適当な温泉処を所望すると、ここから最も近い「黒岳の湯」を教えてくれた。
これ、夏の間だったらすぐ着いたのだろうが、真冬のいまは雪の量が物凄くて、途中で何度も道に迷った。
時刻は午後3時にならんとしている。冬は着るものが多いから、その手間も加算すると、ほとんどカラスの行水となろう。
悪戦苦闘して、ようやく黒岳の湯に着いた。
脱衣所で服を脱ぐが、キンタマが縮み上がっている。湯につかると、すこしずつふやけてきた。ちょっと熱めの湯が心地いい。
温泉といえば中倉宏美女流二段である。彰子女流初段と姉妹で入浴してもらいたいところだが、いまは妄想するしかない。
中井広恵女流六段という手もある。こちらは植山悦行七段の同行か。「いい旅、夢気分」に出れば味わいのある旅になるだろうが、それには中井女流六段にいま少しのネームバリューが必要だ。タイトルぐらい獲ってもらわねばならない。
急いで湯を出て、バスターミナルには発車10分前に戻った。窓口で、普通回数券に相当する「My CARD」1,000円を買う。これで1,100円分使えるから、100円トクだ。「昼割パス」で失敗していながら、私も懲りないのである。
バスは15時40分に発車した。層雲峡の滞在時間、わずか1時間半だった。
上川駅前着、16時10分。トイレ休憩のあと、16時15分発。バスには左側の席にすわったので、目の前の景色が全開である。これがバス旅の醍醐味である。
計2時間近くバスに揺られ、旭川駅前のひとつ手前で降りた。移動距離が長い割には実りが少なかったが、しょうがない。
あたりはすでに真っ暗である。買物公園通りに出た。氷像がライトアップされているが、ものには順番というものがある。まずは旭橋河畔公園の雪像の鑑賞である。
旭橋のたもとにある古本屋で、買わずもがなの古本を買い、公園に入った。トランスフォーマーの大雪像もライトアップされていて、それなりの迫力はあるものの、やはり物足りなさが残る。ステージではチビッ子たちのダンスが行われていた。しかし撮影対象ではないので、それをBGMに、公園内を散策した。
市民制作の雪像にも光が当てられており、それなりに存在感はあるのだが、やや崩れかけているのがある。雪質も名寄に比べると劣るようだ。
昼に食べた店で、今度はたぬきうどんを食べる。これも蕎麦に劣らず、美味かった。
午後7時からは「雪とあかりのFantastic Night!!」。大雪像をバックに、照明とレーザー光線のショーがある。昨年も見たが幻想的で、これは一見の価値がある。大雪像の対面、会場入口のバルコニーが特等席だということで、そこに移動して、7時になるのを待った。
ショー開始。大雪像が天然のスクリーンだ。そこに照明とレーザーが照射され、軽やかな音楽が流れる。それなりに見応えはあるが、昨年の演出よりは劣る感じか。もう少しレーザーの使用比率を上げてほしかった。
パンフレットに書いてある10日のイベントはこれで終了。しかしここに書かれてない、臨時のイベントが最後にもうひとつあった。
(つづく)
横断歩道を引き返し、そこに着いたのは12時12分。意外と余裕があった。といっても発車3分前だったが。
来たバスに乗り、席にすわって、缶コーヒーを開けた。こういう場で飲むコーヒーがこよなく美味いのだ。
バスはだだっ広い国道を走る。路線バスとは思えない飛ばしっぷりだ。
左手には石北本線が見える。この路線も赤字で列車も少なく、それを補うためか、ほとんど優等列車しか走っていない。しかしいまはレールが雪に埋もれていて、廃線にも見える。
13時35分、JR上川駅前着。上川は層雲峡への玄関口で、「かみかわ」と読む。松尾香織女流初段の旧姓も同じ「上川」だが、こちらは「うえかわ」と読む。時間が合えばここまで鉄路を利用したかったが、ダイヤがないのでやむを得なかった。
5分間のトイレ休憩を挟み、13時40分上川発。25分ほど走って、そろそろ層雲峡である。私は「昼割パス」を取り出す。なにげなくその裏を見て、ギョッとした。但し書きに、「乗車時刻10:00から降車時刻16:00に限ります」とあったからだ。
帰りのバスは層雲峡発15時40分、旭川駅前着17時35分を予定している。こうした昼パスは、有効時間がたいてい16時までだが、それまでに「乗車」すれば構わないと、ひとり合点していた。しかし今回それでは、昼割パスは使えない。ちょっとでも得をしようとして、また損をしてしまった。
14時10分、層雲峡バスターミナル着。層雲峡へは若かりし頃何度か訪れたことがある。ターミナルから先には大函・小函と呼ばれる屏風岩があり、観光バスに乗ったら綺麗なバスガイドさんが案内してくれた。何となく甘酸っぱい思い出である。
しかし冬のいまは、「層雲峡氷爆まつり」がメインである。むろん今回の目的もそれだった。それに温泉に入れればなおよい。
眼下にある「氷爆まつり」会場に向かう。と、入場料を200円取られたので驚いた。地元も予算がないのだろう。
北海道の冬は厳しいが、私の経験では、約20年前の氷爆まつりがいちばん辛かった。標高が高いうえに風が物凄く、全身が痛いくらいだった。それに比べればきょうはラクなほうだ。風がないため、体感気温は東京のそれとほとんど変わらない。
会場内には氷で造られた洞窟がある。入ってみるが、幻想的で楽しい。しかしどこか虚しいのはなぜだろう。
氷爆まつりは夜のライトアップが美しいのだが、旭川冬まつりのライトアップも楽しみたい。今回は旭川の夜を採った。ちなみに、あすは札幌の夜を愉しみ、12日の朝に空路で帰京する。もう少し休日が欲しかったが、自営業者は贅沢は言えない。
バスターミナルに戻り、観光案内所に入る。適当な温泉処を所望すると、ここから最も近い「黒岳の湯」を教えてくれた。
これ、夏の間だったらすぐ着いたのだろうが、真冬のいまは雪の量が物凄くて、途中で何度も道に迷った。
時刻は午後3時にならんとしている。冬は着るものが多いから、その手間も加算すると、ほとんどカラスの行水となろう。
悪戦苦闘して、ようやく黒岳の湯に着いた。
脱衣所で服を脱ぐが、キンタマが縮み上がっている。湯につかると、すこしずつふやけてきた。ちょっと熱めの湯が心地いい。
温泉といえば中倉宏美女流二段である。彰子女流初段と姉妹で入浴してもらいたいところだが、いまは妄想するしかない。
中井広恵女流六段という手もある。こちらは植山悦行七段の同行か。「いい旅、夢気分」に出れば味わいのある旅になるだろうが、それには中井女流六段にいま少しのネームバリューが必要だ。タイトルぐらい獲ってもらわねばならない。
急いで湯を出て、バスターミナルには発車10分前に戻った。窓口で、普通回数券に相当する「My CARD」1,000円を買う。これで1,100円分使えるから、100円トクだ。「昼割パス」で失敗していながら、私も懲りないのである。
バスは15時40分に発車した。層雲峡の滞在時間、わずか1時間半だった。
上川駅前着、16時10分。トイレ休憩のあと、16時15分発。バスには左側の席にすわったので、目の前の景色が全開である。これがバス旅の醍醐味である。
計2時間近くバスに揺られ、旭川駅前のひとつ手前で降りた。移動距離が長い割には実りが少なかったが、しょうがない。
あたりはすでに真っ暗である。買物公園通りに出た。氷像がライトアップされているが、ものには順番というものがある。まずは旭橋河畔公園の雪像の鑑賞である。
旭橋のたもとにある古本屋で、買わずもがなの古本を買い、公園に入った。トランスフォーマーの大雪像もライトアップされていて、それなりの迫力はあるものの、やはり物足りなさが残る。ステージではチビッ子たちのダンスが行われていた。しかし撮影対象ではないので、それをBGMに、公園内を散策した。
市民制作の雪像にも光が当てられており、それなりに存在感はあるのだが、やや崩れかけているのがある。雪質も名寄に比べると劣るようだ。
昼に食べた店で、今度はたぬきうどんを食べる。これも蕎麦に劣らず、美味かった。
午後7時からは「雪とあかりのFantastic Night!!」。大雪像をバックに、照明とレーザー光線のショーがある。昨年も見たが幻想的で、これは一見の価値がある。大雪像の対面、会場入口のバルコニーが特等席だということで、そこに移動して、7時になるのを待った。
ショー開始。大雪像が天然のスクリーンだ。そこに照明とレーザーが照射され、軽やかな音楽が流れる。それなりに見応えはあるが、昨年の演出よりは劣る感じか。もう少しレーザーの使用比率を上げてほしかった。
パンフレットに書いてある10日のイベントはこれで終了。しかしここに書かれてない、臨時のイベントが最後にもうひとつあった。
(つづく)