石屋のカミさん日記

仕事に趣味に 好奇心の赴くまま楽しいこと追求します!

今夜、すべてのバーで

2008-03-08 00:18:40 | Weblog
中島らもファンのKさんから貸していただいた
「今夜、すべてのバーで」(中島らも著)を
読んだ。



中島らもの本は初めて読んだのだが
まず思ったことは 文章が非常に上手!
読みやすい、わかりやすい
この本でも吉川英治文学新人賞と
日本冒険小説協会大賞特別賞を受賞されている。

以前、読んだ らもの奥さんの本
「中島らもとの35年」の年譜と照らし合わせると
アルコール中毒や鬱病とで
入退院を繰り返している頃の作品のはずなのに
この明晰さは 何なのだ・・と感嘆してしまうほど
無駄のないすっきりとした小説だった。

さすが、名門灘高校を8番で入学した
天才肌だ・・と思った。

アルコール中毒の患者を主人公にした
こんな冷静な小説も初めて読んだ。
らもさん自身がアル中だったからこそ
書ける、このリアルな内容

この小説に らもさんの人生観が溢れている。
人生に対する刹那感が。

作中、ひとつの詩が出てくる

「この杯を受けてくれ
 どうぞなみなみつがしておくれ
 花に嵐のたとえもあるぞ
 さよならだけが人生だ」

ふぐを知らずにメザシ食って百まで生きるか
ふぐの肝食って、酔って眠る方を取るか

メザシ食って長生きしようとしても
台風で看板が飛んできて
そいつに当たって死ぬかもしれない
それにビクビクして暮らすくらいなら
今晩酔っ払って眠れる方を選ぶ
明日の朝目がさめるかどうかなんて
知ったこっちゃない


これこそ、らもさんの人生観

人間の本能なんじゃないかな、とも思う。
訓練や正義感や理性・・
その他もろもろのことで 封じ込めているけれど
人間って ふぐの肝を食べて眠りたいものなんじゃないのかな

人間、いろんな欲があり、弱さがあり、
なんとか理性で抑えているが
それが垣間見えるほうが 
人間らしい魅力がある。

例えるなら・・・
バレエのために一切肉を食べない草刈民代
美声のためにコーヒーと夜更かしを絶つ松田聖子
マクロビオティックに懸命に励む美人
よりも

美食&お酒とダイエットの両立に四苦八苦する林真理子
自分の遊びを第一優先にスケジュールを立てるYOU
自分の美貌よりも友人と飲む酒・・というキョンキョン

私が友人になりたいと思うのは
後者のほうだと思うから。

アルコール中毒にならぬ程度に
お酒という人間の弱さに溺れてみてもいいかな。
人生に対して そんなにストイックにならず
明日なくなってしまうかもしれない命
精一杯楽しんで生きて
刹那感を常に感じて・・

Kさん、良い本をありがとうございました


コメント
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