事例紹介コラムです。
「スポルティバ」ページの「元Jリーガー社長が描く未来図」というタイトルの記事の抜粋紹介、塚野社長特集・後編社会貢献編です。
選手がガキ大将になって公園に出かけて鬼ごっこをする「復活公園遊び」をやっている。サッカーをやるとサッカー好きな子しか来ないので、女の子も来る鬼ごっこをやる。公民館等で「選手がこの日に来る」と告知だけお願いする。来た子だけで何人でもいい。最初は自分(塚野社長)達がガキ大将で、子どもは2人だけ。次の週に行くと、その2人の子がもう1人ずつ連れてきて4人。その次は8人、16人と倍々に増えて行った。サッカーを知らない子どもでも「ガイナーレのお兄ちゃんと遊んで面白かった。来週試合があるって言ってたから僕観に行く」と親に語る。親が半信半疑で試合に連れて行き、子どもが「塚野~」と手を振り、「おっ、来たか!」と返すと親がビックリ。
この公園遊びは2003年から実施し、多い年で年間300回。参加した子どもは12,000人を超えたとか。街を歩くと、大体の子どもの顔に見覚えがあり、(ここで参りました!と言いました)子どもが試合観に行くって言ってるから、強いのか弱いのか知らないが、地元のサッカーチームを観に行くという大人の層が出てきた。
NPO法人の理念だが、スポーツは所詮遊び。みんな楽しいからやっている。自分達の頃は地域に、放課後に溜まり場になる場所があったが、今の子ども達はないから気の毒。じゃあ、ガイナーレの選手がやればいいという話に。今も毎週火曜日に保育園をずっと回っている。新加入選手は最初は面倒くさいと言うが、みんなやっているのでやってみると、これが面白い。鬼ごっこが嫌いだったらサッカー選手になれていない。親御さんも来て交流が増えて、選手としても成長するし、一石二鳥だと思う。契約書の覚書に「1週間の地域貢献活動は最大8時間まではやること。これは約束」と入れる。コンディションを気にする選手もいるが、塚野社長が「俺もサッカー選手だったけど、午前中練習して、夕方1時間子どもと鬼ごっこしたところで、コンディションは崩れない」とはっきり言うとか。(ここでもう1回参りましたと言いました)
2010年にチェアマンから5千万円の増資要請があり、県による増資が決定。財務基盤の強化、純資産の増加の他に、Jリーグ1年目は黒字にする事の約束を促されたが、約束しろと言われても約束できない。売上に伴って成績を上げていきたい。最低でも3ステップ踏まないといけない。9位、5位、3位で最短で3年。この1個のステップを何年で踏めるか。
集英社「スポルティバ」該当ページ:http://sportiva.shueisha.co.jp/sp_contents/league/clm/03/01.php
以上、「スポルティバ」ページの「元Jリーガー社長が描く未来図」の抜粋でした。興味を持ち、ネットで他の情報を探してみました。「週に地域貢献活動を最大8時間やる」という契約を選手と交わす。こういう契約はJ1川崎が有名です。「この契約がポイントなんだよ・・・」と以前に誰かから聞きました。Jクラブのほとんどのクラブでは、学校訪問等の選手による地域・社会貢献活動が行われており、この契約が交わされていると思われます。では、ほとんど見られない所は・・・読者の皆さんのそれぞれのクラブはいかがでしょうか? 塚野社長の「俺もサッカー選手だったけど、・・・コンディションは崩れない」というセリフには正直しびれました(笑)。WEDGEにも「子どもと鬼ごっこでJリーグ昇格 ガイナーレ鳥取の社長」という記事を見つけました。以下、補足する形で抜粋して紹介。
・塚野社長は、青果市場のセリ人見習いをしながら、会う人ごとに「クラブチームをやりたい」と話したが、みんな冷たい反応。空き時間に倉庫を探し歩き、1年後、手頃な「ボロ倉庫」が見つかると、フットサル場に改装して市場を退職。
・自分は現場の人間なので、最初は代表になるつもりではなかったが、地域市民・地元企業・自治体などもJリーグ参入に向け湧き上がっていることを感じたので、07年にSC鳥取の代表に就任。代表になってからは地域から学ぶことが多く、人と人とのつながり、地域とのつながりの大切さを実感。自分の考えの根元には地域に「つながり」を築く、一体感を生むという事がある。その「つながり」を築くための手段がサッカー。
・2001年にSC鳥取がJFLに昇格してから、上位進出はおろか残留争いの常連だったチームは、「人口も経済規模も日本でいちばん小さい鳥取県からJリーグなんて無理」という声を10年かけて撥ね除けた。
・J挑戦は、チームを、地域のあらゆる人々がスポーツを介して集い、そこで親しくなってみんながまとまり、その象徴として「俺(おら)がチーム」のプロがあるというようにしなければいけない。ありがちな、一部熱狂的なファンだけのものではダメ。
・「子どもたちの溜まり場を作りたかった。僕が小さい頃は駄菓子屋だったが、今は駄菓子屋もなくなり、公園にも子どもたちの姿が減った。だったら、僕が溜まり場をつくろうと」。子どもの溜まり場があれば、そこに大人も集まり、みんなで体を動かすこともできる。選手20人で年間300回やって、鳥取西部の小学生が8,000人のところ、延べ12,000人の子どもと遊んだ。
面白いですね。どこのカテゴリのどこだったか忘れましたが、ほとんど普及コーチで年間170回やっているというところを見かけました。正直、普及コーチによる巡回スクールは、Jクラブならどこでもやっている通常事業。こちらは選手による「鬼ごっこ」を年間300回。その違いを感じます。J2鳥取はトップ選手でやってますが、やまつみSCのHPを見ると、元ガイナーレ選手であるSC鳥取ドリームスの選手達が全く同じ活動をされています。つまり、この「復活!公園遊び」は鳥取そのものであり、「選手」こそがガキ大将。今回の特集記事の最初に「塚野社長は哲学者」という表現がありますが、この辺りを読むと・・・ ぜひ一度お会いしたいですね。
WEDGE該当ページ:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1348
NPO法人 やまつみSC公式HP該当ページ:http://www.yamatumi.org/site/page/yamatumi/diary/
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