事例紹介コラムです。
チャンピオンシップ(CS)ですね。この2週間はCSもJ1昇格プレーオフも、J2・J3入れ替え戦のいずれにも関係ない中位クラブはすでにポストシーズンに入っています。今日もNHKでCSをやっていたので、しっかり観ました。先週のFOOT×BRAINでちょうど「2ステージ制特集」をやっていました。内容については何とも言えません。まずは「Jリーグ・ポストシーズンの盛り上げ方を考える!」というテーマのFOOT×BRAINについて、抜粋して紹介。
【FOOT×BRAIN】
「明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ大会アンバサダー」の松木さんと、MLS選手契約国際関係部門の中村コンサルタントが登場し、アメリカ・MLSに学ぶ成功の秘密を解説。ポストシーズン制大成功で、常に成長を続けるリーグがMLS。'96年開幕。20チームが参加。1試合平均入場者数約2万2千人でNBAより多い数字。2012年以降Jリーグを抜いた状態。
・アメリカはすべてのプロスポーツに「カンファレンス制」を採用。
・MLSでは20チーム(東西10チーム)で各地区上位6位までがポストシーズンに進出。3/5の割合。
・最後まで興味を失わせないシステムで、山場が切れずにずっと続いている。
・その根底には、全てを複合的に提供するエンターテイメントとしてサッカーに興味がない層を取り込むというアメリカらしい考え方がある。
・キーはスタジアムを満員にする事。
・日本はスポーツが「選手主体」の楽しみ方に対して、アメリカは「娯楽主体」の楽しみ方で、サッカー観戦は遊園地のような存在。
・Jリーグにあって、MLSには無いもの=入れ替え戦 →アメリカの全プロスポーツに存在しない
・アメリカには、MLS以外にもカナダサッカーリーグ、NASL(北米サッカーリーグ)、USLプロ、NPSL(ナショナルプレミアサッカーリーグ)と独立リーグが存在。そのシステムも理由だが、MLSを支えている投資家の存在が大きく影響。
・投資家主体のリーグ
降格がある → 価値が下がる → 投資をしにくい
降格がある=守備的な試合、降格がない=攻撃的な試合が増える。
エンターテイメント的には良いが、サッカー専門家から見れば余りよく映らないのかもしれない。
面白い試合が増える → 注目される → お金が集まる
MLS放映権料は年間約108億円(前年度の約5倍)で、最近「アメリカズ フューチャーズ スポーツ(未来のスポーツ)」として、投資的な意味合いも込めて今回一気に先行投資された。
・大物外国人選手の獲得について
大物外国人選手は獲得して儲けるのではなく、儲けたから獲得した
メリットだらけの大物外国人獲得
国内選手が刺激を受ける効果。外国人が多いリーグなのに、アメリカ代表はW杯2大会連続ベスト16進出。
ファン→(収入対象が広がる)→投資家→(投資金額が増える)→大物外国人選手→(宣伝材料になる)→ファン という好循環
・過去の失敗例から学び、慎重に事業を拡大
'67年~'84年にNASL(北米サッカーリーグ)。最大30チームが参加。かつてはニューヨーク・コスモス('70年設立)だけがダントツに強く、ほかのクラブが財政難で相次ぎ倒産し、'84年にリーグ消滅。
その失敗例からあらゆる制度を確立し、MLSがこだわったのが、戦力の均衡。同じ条件で競争させた方が面白い。ジャイアントキリングという面白味は存在しない。
戦力の均衡を保つために選手補強はドラフト制度を採用。新人選手獲得の機会を同じにする。サラリーキャップ制を採用し、1チームあたりの選手層年棒の上限金額を定める。
スーパードラフト=各クラブ4位まで指名
アカデミー枠=スーパードラフト枠とは別に優先的に自クラブアカデミーから2選手指名
アメリカ国内ではうまくいっている制度だと思いますが、何度見ても日本には馴染むはずもない制度なので、途中何度か記事を作るのをやめようと思いました。比較すれば比較するほど、今の日本サッカー界では現実離れしたとんでもない制度だと思います。当ブログで昔から大批判するまさに「商業主義」。ちょっと日本では考えられない部分を順番に挙げてみましょう。
①カンファレンス制
→Jリーグを東西に分けたらどうなるでしょうか。欧州など主要リーグでカンファレンス制を採用している国があるのか。
②緩すぎるプレーオフ制度(全チームの3/5が出場)
→Jリーグでは、最大5チームの今シーズンもふたをあければ3チーム。その昔は前後期の2チームだった。
③興行本位で全てを複合的に提供するエンターテイメントという価値観
→Jリーグの興業の主役はあくまでチームや選手であり、スタグルやグッズではない。
④入れ替え戦がなく、下位リーグへの降格がない。
→入れ替えがあるから、どのチームも降格しないように必死で戦う。かつて降格がまだ無かったJ2で岡山は降格しなくて済んだ年がありましたね。あの時落ちていたら、今はどうなっていたか。
⑤投資家主体で運営されるリーグ
→Jリーグは三位一体の支援(市民・企業・行政)が主体であり、それがJリーグ百年構想の根幹。過半数以上の株式を保有し、株主情報を公開できないという状態のワンマンオーナーはもはや時代遅れ。そういうところは地域の宝である公共財にはなれず、百年続かない。そういうところがあれば早く矯正すべき。
という感じです。あと、思ったのがMLSには「サポーター」という言葉が出てこないなと感じました。たぶん「ファン」という言葉は生きているのでしょうが。アメリカ化しろということは、「気持ちを出して主張する」サポーターを辞めろという事に聞こえますね。そんな事でいいのでしょうか。最近のJリーグの動きは確かにそういう空気を感じますね。早く昔の良い時代(ヨーロッパを目標にしていた)に早く戻ってほしいです。アメリカのような興行をしたければBリーグへ移ってくださいと言いたい方の顔が浮かびました。
あと、昔はよく紹介していた、辛口セルジオさんのコラムを久しぶりに見かけました。2ステージ騒動のことが触れられていたので抜粋して紹介。
【セルジオ越後の天国と地獄】
CSが始まったが、広島の選手達は気の毒。年間勝点で1位になったのに、CSで負けたら王者と名乗れない。リーグ戦の後に、プレーオフをやっている国(主要国)なんて、世界中見てもほとんどない。選手達は世界へ羽ばたいて行っているのに、国内リーグがドメスティック路線を走るのはいかがなものか。これで広島が優勝できなかったら、ファンやサポーターはしらけてしまう。いつも同じようなチームが昇降格を繰り返している。これでは、Jリーグのレベルアップにつながらないんじゃないか。
やはり、J1を18クラブで運営するのは、数が多すぎる。だから、選手が散らばってサッカーの質が上がっていかない。J1を12チームくらいにして、良い選手がトップクラブに集るようになれば、それだけレベルの高い戦いになる。観ているファンやサポーターの満足度も上がるし、選手たちも切磋琢磨して個々の質も上がるはず。
どこかのクラブが潰れろという話ではなく、良い選手を作る土壌ができていないのに、トップリーグのクラブ数だけが多くても意味がないと言いたい。加盟クラブ数を増やして、裾野を広げる拡大路線は頭打ちになっているから、トップリーグのステータスを上げて、発展につなげるのもひとつの道なんじゃないか。
Jリーグは来年に24年目を迎えるけど、発足した頃の勢いはないし、最近は中国リーグにあらゆる意味で水を開けられている。このままでは、サッカーの質や人気は低下していくばかり。Jリーグのお偉方は、もっと真剣に未来を考えるべき。やれチャンピオンシップだ、やれプレーオフだと言って興行を打つよりも、もっと先にやることはある。
サッカーダイジェストWEB「セルジオ越後の天国と地獄」該当記事:http://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=12754
素晴らしい! まさにおっしゃる通り。相変わらずセルジオさんの切れ味鋭い論調には頭が下がります。ホリエモンでなく、セルジオさんがJリーグアドバイザーになればいいのに。村井チェアマンは怖くてできないでしょうけど。
昨日のCSですが、反対論者である当ブログの希望する結果になってきました。浦和さんには申し訳ないですが、このままガンバさんがCSを優勝したら、反対論が一気に過熱するでしょう。
報道では昨日のCSの観衆は40,696人で、スタンドは空席が目立ったようです。確かに中継画面でもスタンドの上の方は空席でしたね。チケット販売期間の短さが響いたという見方もあるようですが、前期首位を決めた6月の試合でも、表彰式で村井満チェアマンに対して強烈なブーイングを浴びせるくらいに、浦和サポはそもそも完全優勝しか見えず、このCSを否定していた結果なのかもしれません。
また、今朝のサンモニで松木アンバサダーが出演していましたが、「よくわからないですね」と口にしていた関口さんと張さんはしら~としており、「あっぱれ!」も松木さんだけがつけて一人で盛り上がり、張さんの目は「制度自体が喝!だろ」と訴えていました。よく考えたらCS決勝を中継するのがTBS。この過剰な取り上げ方で、なるほどなと思いました。ぜひガンバさん、決勝に勝ってください。
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