事例紹介コラムです。
昨日、J1昇格プレーオフ決勝第2戦と、J2・J3入れ替え戦が行われ、J1へ福岡さん、J2へ町田さんが昇格を決めました。おめでとうございます。そして、大分さん・・・3年前までJ1にいた地方クラブの雄が何とJ3に降格という悲劇。町田さんと大分さんの情報はまだ見当たらないので後日という事で、今回は福岡さんについて、昇格に至った経緯等情報を集めて、抜粋して紹介させていただきます。まずは「THE PAGE」の川森社長の話題です。
【J1昇格を狙うアビスパ福岡を変えたアパマンから来た新社長】
J2が22チーム体制となり、J1昇格プレーオフが導入された2012年以降の3位チームでは最多となる勝ち点を獲得。昨シーズンの福岡はJ2全体で4番目に多い60失点を喫し、16位に低迷。翻って井原体制となった今年は4番目に少ない37失点。9位タイだった52得点は、上位2チームに次ぐ63得点に増加。守備への意識を劇的に高め、ベースを作ったうえで攻撃でも個性を発揮させる。ピッチ上の改革を進めたのが井原監督であれば、ピッチ外の改革を進めたのは川森社長。
川森社長がアパマンホールディングス常務と兼任する形で、福岡の社長に就任したのは今年3月。川森社長は「地に足のついた経営」を宣言したうえで、2つの年度目標を提唱。
オフィシャルスポンサー数を1,000社に増やし、レベスタの平均観客数を1万人とするもの。昨シーズンは186社、5,062人だった数字はリーグ戦を終えた段階で1,006社、8,692人を記録。平均観客数は目標に届かなかったものの、前年比約172%増はJ3を含めた52のJクラブで最大の伸び率を記録。川森社長はどのような手法を用いて、福岡の経営を生まれ変わらせたのか。
東京都出身で高校入学直後までは野球少年だった川森社長が、見知らぬ土地でサッカーと接点をもったのは昨年9月。福岡市に本社を置くシステムソフト社が約1億円を出資し、約2,800万円の債務超過を解消させて福岡のJリーグ退会危機を回避させたことがきっかけ。そして、経営を安定させるために、同社の親会社であるアパマンホールディングスから取締役として福岡の経営に参画したのが川森氏。
経営改革でまず着手されたのが営業力の強化。それまで6人前後だった営業担当者が16人に増員され、1人が1日につき4社をアポイント訪問する日々。
「毎朝朝礼と掃除を終えた後の午前9時40分から、まずは営業会議。前日にどこを訪問したのかという情報を、自分を含めた全員で共有。市民クラブが福岡の地で何をしているのか。地域の企業に対して、自分達の理念といったものを自分たちから出向いて説明し、その中からスポンサーを獲得」と川森社長のコメント。
1日で最低でも合計64社を回れば、その数は1ヶ月で1,200社に。1,006社のうち、福岡の地元企業が約80%を占める理由が、足を使った地道な営業活動。更にチームの公式ホームページ上において、オフィシャルスポンサーの数を日々更新。
クリックすると企業名が出るようにした意図について・・・
「トップチームもハードワークを追求しながら、勝ち負けという結果が週に1回は明確化。フロントも数字を掲げることによって、自分たちにプレッシャーをかけるわけ。到達したときの達成感もあるし、数字を明示することによってファンやサポーターも一緒になって追及。数字を掲げることの大切さは、サッカーの現場もフロントも不変。
(1万人という具体的な数字を掲げた平均観客数にも、オフィシャルスポンサー獲得と同じ考え方が込められているとして)毎日の営業会議で、何人に声掛けを行い、そのうち何人の来場を見込んでいるという集客目標を営業担当に報告させた。具体的な数字を対外的に掲げることで、ファンやサポーターも家族や友人を誘うようになる。我々としてはイベントを数多く企画し、あるいは小さな子ども向けの遊具を設置するなどして、まずライト層のお客様に足を運んでもらった。一度でも来ればサッカー専用スタジアムで迫力があるために、次回もと思った人達がリピーターになってくれる。そういう作業を1年間繰り返してきた」と川森社長のコメント。
営業改革に近道はなく、企業経営もJクラブ経営も「突き詰めていくと、やるべきことは一緒になる。ハートが伝わってくるというか、財務諸表上のキャッシュフローだけではないものがある」と考えていた川森社長は、最近になってスポーツならではの価値を感じ始めているとか。
福岡のレベルを引きあげたウェリントン選手を完全移籍で今年7月に獲得できる資金を捻出させた源は、川森社長のもとで強化された経営力。盤石なフロントがトップチームの快進撃を導き、ファンやサポーターの関心を呼び起こす好循環が、今の福岡には「できるだけ多くのファンやサポーターに来てもらって、福岡の思いを届けて欲しい」と力強く存在。引き分けでも勝利扱いとなるアドバンテージを得ながら、過去3回のJ1昇格プレーオフで3位のチームは優勝できず。不吉なジンクスを吹き飛ばす無類の強さがピッチの選手達から、大声援と熱気が超満員のスタンドから発せられる光景を川森社長は思い描いていると締めくくっています。
THE PAGE該当ページ:http://thepage.jp/detail/20151125-00000002-wordleafs?page=1
なるほど、Jリーグクラブライセンスを機に、ホワイトナイトが現れた訳ですね。こうして見ると、Jリーグクラブライセンスもいいものですね。ただ、福岡さんは単に資金を持ったオーナーが現れただけでなく、元々選手による社会貢献活動、Jリーグ百年構想に沿った異競技連携をずっと実施されていたのを知っています。何しろ、今でこそブラインドサッカーは人気がありますが、競技名が付けられる前から福岡さんは競技の普及に取り組んでおられました。商業主義でちっとも地域に広く溶け込めず、いろんな面で頭打ちになっている事例とは全然違うと思っています。
福岡さんは、他の多くのJクラブと違って、下のカテゴリから昇格を続けてきたクラブではなく、藤枝ブルックスが移転してきたいわば「外様」クラブという側面をもっています。なので、そういう経営環境の中でも頑張っておられると思います。いろいろネット情報を見ていたら、今回のJ1昇格劇で1人のGKが立役者と書かれていた記事がありました。以下、抜粋して紹介。
【太陽王が生んだ“最高傑作”の覚醒なくして福岡の昇格なし】
今年はプロ3年目の中村航輔にとって勝負の年。柏のアカデミーでユースの最高傑作とまで評された才能豊かなGKが初めて移籍を経験。大怪我から長期離脱が続き、これまでJ1柏でリーグ戦やカップ戦に出場した経験はなく、J3のU-22選抜で3試合の出場のみ。昨シーズン、J1柏のHCを務めていた井原監督は、福岡の監督に就任に伴って柏からレンタル移籍を演出。第24節からレギュラーを奪取。元々のレギュラーだった神山選手はそれまで21試合で25失点に対して、中村選手は20試合でわずか10失点のみで、クリーンシートは12試合。
福岡が終盤に引き分け1つを挟んで11連勝を挙げ、驚異的なペースで追い上げられたのは、中村選手の力が大きく影響。6日のプレーオフ決勝でも果敢なプレーで事実上ホームのC大阪の猛攻を1点にとどめ、福岡にとって5年ぶりのJ1昇格に大きく貢献。
中村の魅力は何と言っても「決断の速さ」。相手と1対1になった場面では最後まで倒れず、シュートコースを見極めて長い手足を伸ばす。厳しいコースのシュートにも全力で食らいつき、こぼれ球を詰められない場所へ弾き出す。クロスへの飛び出しも勇敢で、積極的に前へ出てピンチの芽を摘む。ボールを持てばすぐさまフリーの選手を見つけ、高精度のフィードで攻撃の起点になり、GKが最も苦手とする足もとへのシュートも苦にしない。柏のアカデミーで鍛え上げられたフィールドプレーヤーばりのテクニックも。
今シーズンのJ2福岡総失点数37は、J2大宮と並んでリーグ4番目タイの少なさ。総得点はリーグ3番目の多さだったが、2桁得点を達成した選手がいないチームにおいて後半戦の堅守を実現した中村の活躍がなければ昇格はなかったといっても過言ではない。
レンタルであるため来シーズンも福岡に残るかは未定だが、J1柏に戻っても大きな役割と、輝かしい未来が約束されているはずであり、U-22日本代表としてリオ五輪出場を目指す中村が「福岡の守護神」の次に見据えるゴールは「日本の守護神」と締めくくっています。
フットボールチャンネル該当記事:http://www.footballchannel.jp/2015/12/07/post124868/
いいですね、中村選手。ぜひ黄色いチームに帰ってきてもらって、新しいチームを支えて欲しいですね。福岡さんは地元岡山にとってはどちらかといえば相性の良い(確かJ2最初の勝利相手)チームと思っていましたが、とにかく今年は強かったですね。柏時代は長いキャリアながら、ポストネルシーニョはちょっとしんどいかなと言われていたと思いますが、福岡さんへ行かれてノビノビとされて、一気に名将の仲間入りしましたね。J1昇格プレーオフでシーズン3位のチームが優勝したのは初めてということで、新たな歴史を作りましたね。あとはプレーオフで昇格したJ1で、全てのチームが1年でJ2に逆戻りというジンクスを破ることですか。頑張ってください、井原監督。
J2福岡関連⑯:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20151114
〃 ⑮:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140530
〃 ⑭:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20140228
〃 ⑬:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20131027
〃 ⑫:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20130819
〃 ⑪:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20120821
〃 ⑩:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20110915
〃 ⑨:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20110812
〃 ⑧:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20090416
〃 ⑦:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20070907
〃 ⑥:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20060319
〃 ⑤:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20060207
〃 ④:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20060118
〃 ③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20051226
〃 ②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20051014
〃 ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20050929