リスペクトコラムです。
先日のロシアW杯での、西野ジャパンの検証について、当ブログで口にしてきた項目の中で、他のマスコミに出てきたものがありました。なかなかどこも取り上げないなぁ、わかってんのかなぁとずっと思っていましたが、良かったです。それが何かといえば、フィジカルコンディション面と、キャンプ地のセレクト面です。
【ロシアW杯ベスト16進出へ導いた「ゆとり調整」】
〔ベスト16進出へ導いた「ゆとり調整」〕
「ロシアでも過去の反省を踏まえて成功につなげた部分があった。1つは直前合宿のコンディション調整だ。西野ジャパンは5月21日から千葉県内で国内合宿をスタートさせ、30日のガーナ戦(日産)を経て、31日に最終登録メンバー23人を決定。6月2日に日本を発ち、同日夜に直前合宿地のオーストリア・ゼーフェルト入り。3~6日まで本格的な練習を行って、7日にスイス・ルガーノへ移動し、8日にスイスとの親善試合を消化した。翌9日はゼーフェルト移動のみで全体練習はオフとなり、10日からゼーフェルトでトレーニングを再開。11日にインスブルックへ移動して12日にパラグアイとの親善試合を実施。13日にゼーフェルトを発ってベースキャンプ地・カザンへ移動した。そこから19日の初戦・コロンビア戦(サランスク)まではカザンでの調整という流れだった。
初戦までの調整時間は約4週間あったのだが、日本代表が2部練習をこなしたのは、6月4日の1回だけ。しかも5月31日と6月1日、6月9日、13日と4日もオフを取っている。98年フランス大会初参戦以降、「事前合宿は休みなしの2部練習で追い込んで、本大会を戦い抜ける基礎体力を養うのが基本」という考え方がベースだったため、今回の「ゆとり調整」は異例中の異例だった。」
「実際、2014年ブラジル大会を率いたアルベルト・ザッケローニ監督(現UAE代表)は鹿児島県指宿市での国内合宿で連日ハードな走り込みをしていたし、ハリル監督も2015~2017年の3年間はシーズン終了直後の欧州組だけ集めて負荷の高いフィジカル強化を行うのが常だった。こうした例があったから、不安の声が出るのも不思議はなかった。しかしながら、外国人スタッフのアプローチが必ずしもうまくいったわけではなかった。ブラジルでの日本代表は香川筆頭に走行距離が激減。多くの主力がコンディションを落とした。ハリル体制でも2015年には清武弘嗣(C大阪)、2016年には本田圭佑(パチューカ)と香川が揃って負傷と、ケガ人が続出する結果となった。
こうした状況を問題視したとされる早川直樹コンディショニングコーチが、岡田武史監督(現FC今治代表)体制で挑んだ2010年南アフリカワールドカップ時にも採用したハートレートモニターを使ったデータ計測(YOYOテストなど)とその数字を基にした負荷調整を提案。西野前監督も全面的に早川コーチを信頼して全てを委ねた結果、今回の「ゆとり調整」になったという。」
〔カザンというベストなロケーションを選んだハリル元監督の功績〕
「日本代表の長年の積み重ねがロシアで生かされたもう1つの例がベースキャンプ地と試合前後の移動だ。今回はロシア南西部のカザンにキャンプ地が置かれ、そこからサランスク、エカテリンブルク、ボルゴグラード、ロストフを往復する形になったが、選手たちの乗るチャーター便はそれぞれの町に片道約1時間で移動できた。ロシアの場合、地方と地方をつなぐフライトが少なく、我々報道陣もモスクワ経由での移動を余儀なくされたが、選手たちは特別待遇。負担の少ないルートを採れたのだ。そういう状況なら、試合会場の真ん中に拠点を作った方がいい。カザンはベストなロケーションと言えた。
サランスクやエカテリンブルクと気象条件がほぼ同じだったことも大きな利点だった。酷暑のボルゴグラードやロストフは適応がやや難しかったかもしれないが、今回の代表チームは2日前に会場入り。暑さに慣れる時間を長く確保していた。これはブラジル大会の反省によるものだ。ブラジルの時は涼しく爽やかな気候だったベースキャンプ地・イトゥと猛暑の試合会場・レシフェ、ナタル、クイアバで差が大きすぎるのに、チームは前日入りしていた。コロンビア戦のクイアバの暑さは誰もが朦朧とするくらいのもので、選手たちも体が適応できないまま試合に入り、1-4の惨敗を喫した。そんな過去をいい教訓にしたことは特筆すべき点である。」
という内容でした。このフィジカル面と、キャンプ地のセレクトの成功が、ロシアW杯の勝因の一つと、当部ログでも7月8日の記事で触れています。ただ、報道で出てくるのは今までは皆無。どうして出てこないのか不思議でした。惨敗したら敗因探しにやっきになるのに、好成績(とも思っていませんが)ならスルーなのかとも思っていました。ちなみにその時の記事を以下に貼ってみます。
〔コンディション調整の成功〕
この点は今回どこも取り上げていないようですが、当ブログはチェックしていました。過去のドイツ大会、ブラジル大会でコンディションの調整に失敗し、100%でないコンディションのまま試合に臨み、能力を発揮できないまま惨敗しています。共通するのは外国人監督による試合前のハードな練習とインターバルとのバランスが取れなかった事。外国人監督はとにかく高いレベルを求め、それを克服するためにハードな練習で選手を追い込むかもしれません。キャンプ地と試合会場の気候の格差をリスペクトできなかった面も一因と聞いています。
前回大会で遠藤選手が「ドイツの時と似てきた」というコメントを聞き逃さなかったのですが、結果的に同じような結果になりました。今回はそういうのは一切無かったため、選手の声を十分に取り入れたコンディションの調整ができたのでしょう。あと、強化試合では移動の疲れが出て、海外組は能力を発揮しきれないまま終了するというパターンでしたが、本大会では練習・待機期間がゆっくり取れたため、十分に休養も取れ、100%のコンディションになり、ベストプレーを出せたのでしょう。
まぁ、当ブログの論調が一つ実証できて良かったです。個人的には、ジーコジャパンの時もザックジャパンの時の様子も鮮明に覚えていますので。遠藤選手の「ドイツに似てきたなぁ」というセリフは当時衝撃を受けていました。今大会は海外組が増えて、過去の大会とは環境面で違ってきている面もあるでしょう。そういう要素も加味しながら、データ計測を重要視できたのも、日本人監督だったからかもしれません。しかし、それで日本人監督の方が良いという事にはなりません。じゃあ、外国人監督の時に、今大会と全く同じコンディションであったら、ベスト8に行けてたかもしれませんから。
あと逆に心配していたのが、日本にやられていた国々。ひょっとしたら向こうの方が劣悪な環境だったのではないかと。不思議だったのです。あの時のコロンビア。動きが最悪。フィジカルコンディションか、キャンプ地の選択ミスが理由なら頷けるかなと。そうなると、今回の西野ジャパンはそういう面でも「たまたま」当たったから、少しいい試合ができたのかもしれません。
今回のキャンプ地を選んだのはハリル監督。もし、この時点で日本人監督ならもっと良くない場所を選ばざるを得なかったかもしれません。外国人監督だから、話が通ったのかもしれません。日本人監督なら世界的な壁にぶち当たって、劣悪な条件に追いやられるかもしれません。マッチメイクもそう。ジーコジャパンの時の強化試合の相手が、森保監督や田嶋会長で来てくれるかといえば、かなり微妙です。日本人監督礼賛の「ブーム」については、早くみんな目を覚まして欲しいですね。
引用:@DIME