リスペクトコラムです。
久しぶりの鳥取さんの記事です。以前に「しばふる」というJクラブで天然芝を作って販売する、鳥取さんのビジネスモデルを紹介しましたが、それを創り出した高島社長室事業戦略特命部長さんです。2つのIT企業で上場にかかわり、'17年からJ3鳥取の社長室事業戦略特命部長に就いた方。以前に栃木さんの「えとみほ」さんという女性フロントさんを紹介しましたが、えとみほさんを見ている中で出てきた方です。えとみほさんに続いて、「かーねる」さんというHNのツイッターをフォローさせていただきました。この方の「note」も面白いですね。
そんな高島部長と、えとみほさんの対談コラムがありましたので、紹介させていただきます。Jクラブの経営状況を打破しようと、外部出身者を招く動きが最近活発で、外部からのブレーンとして登場された村井チェアマン(リクルート出身)を象徴に今回の2人も、IT業界という異業種出身の視点から、地方サッカークラブの活性化に取り組んでいるとしています。長い引用紹介ですが、途中ところどころに当ブログとして、コメントを挟ませていただきました。
【異業種からの転身で気づいた 「Jクラブ経営」の危うさ(前編)】
〔Jクラブへ転職したきっかけ〕
Jクラブを選んだ理由の1つにも、「お役に立てるかもしれない」という感覚がありました。ガイナーレ鳥取に入社する前に塚野社長と話をしたとき、ガイナーレ鳥取には、さらなる収益源が必要だと気づいたんです。そして、それにはIT業界の経験がまさに活かせると思った。
うちには母体となる親会社が存在せず、経営状態は不安定になりがち。限られたリソースの中でチームを勝利に導き、サポーターに喜びを提供できるかを考えた時、新たな収益源をつくることが急務だと感じました。
通常クラブの収益源は、スポンサー収入、グッズ収入、チケット収入の3つ。この他に新たな収益源を増やして収益増を狙うには、経営の意思決定のスピードや、状況にあわせた柔軟な判断力が必要です。僕はこれまでIT企業で事業開発・事業提携・M&Aに携わり、企業の立て直しや成長に関わってきました。その経験は、ガイナーレ鳥取のお役に立てるかもしれないなと。
高島部長さんは、茨城県出身で鳥取県とは何も関連が無い様子。'04年に「比較.com」に入社。'06年の東証マザーズ上場に貢献し、執行役員に就任。その後'09年にじげんに入社し、事業部長として上場に携われたとか。その後、'15年に「Jリーグヒューマンキャピタル(現スポーツヒューマンキャピタル)」で学んだ後、'17年7月に入社という事で、Jクラブで仕事をしたかったのかなと推察できます。
〔常に消滅の危機に瀕しているといってもいい〕
鳥取県の人口は56万人ですが、現在は減少の一途をたどっている。その状況下で、スタジアムの集客を急成長させるのはかなり難しいといえます。また、J2とJ3のチームではJリーグからの分配金が1億円以上違いますし、カテゴリーが下がると露出も少なくなるのでスポンサー収入減少につながる。特に地方クラブには母体となる親会社を持つところは少ないので、常に不安定な経営状況にさらされています。ガイナーレ鳥取は予算が4.5億円ですから、分配金を1億円と仮定しても予算の20%以上にもなります。
〔Jクラブの収入源はすべて不安定〕
Jクラブの収入源は「3本柱」に支えられています。ただ上述の通り、スポンサー、チケット、グッズの収入は全てチームの結果とほぼ連動するものなので、これらの収入源だけを見ているだけでは安定しません。"第4の柱"がJクラブには必要だと思います。新しい収益の構造を生み出すこと。そうすればクラブ、そしてJリーグ全体がより発展されていくはずです。
岡山は人口(193.2万人)がそこそこ多く、新幹線が止まる駅から歩いてちょっとと環境に恵まれているのに対して、鳥取さんもそういう環境面で不利と、元々当ブログでも言っていました。ただ、同じくそんな環境のJ1鹿島はオリ10のトップJ1クラブとして高い立ち位置をキープしているので、鳥取さんは100%無理とも言えないと思います。予算4.5億ですか・・・岡山の約1/3ですね。第4の柱。最近のJクラブで増えてきましたね。すぐに思い浮かぶのが電力ですか。
【クレイジーじゃないと、Jクラブは変えられない (後編)】
〔4本目の柱としての新規事業開発で参考にしている事例〕
少し前に、ヨーロッパやアメリカのサッカーリーグを参考にして、孫(正義)さんのようなタイムマシン経営(海外で成功したビジネスモデルを国内で即座に展開する経営手法)を実践しようと考えました。でも、日本サッカー界でそれを実行するのは困難でした。欧米ではスポーツは一大ビジネスとして扱われることが多く、興行が育つ環境がありますが、日本のマーケットは小さく、再現性に欠けたんです。
しかし、継続的に収益をあげる新規事業は必要不可欠です。どうすればいいいかと考えていた中で、海外ではなく、地元鳥取に目を向けました。そこで生まれたのが、2017年に立ち上げた新規事業「しばふる」です。
これは地元のリソースを活用したもので、ホームタウンにある遊休農地を芝生化し、その芝生を販売する事業です。ガイナーレ鳥取ではこれを"第4の柱"としていて、私は事業戦略や広報に携わっています。安定した収入源でありながら、サッカーと芝生は切っても切れない関係なので、企業メッセージとしても外部に伝えやすいですね。
〔IT業界の当たり前が通用しない、まさにゼロイチの仕事ばかり〕
問題は多いとは思いますが、僕もなんとかできると思っています。これまでのIT業界の考え方、ベンチャー気質なマインドはクラブ運営に活かせるなと。僕の場合は、組織が上手くいかなかった会社も上手くいった会社も経験しているので、組織マネジメントの大切さが身にしみてわかっています。異なるモチベーションで働いている人たちをうまくマネジメントして、みんなが1つの指標に向くようにするのが僕の仕事です。それは今までの経験が大いに役立っていますね。
〔今後取り組もうとしていること〕
ガイナーレ鳥取の目標を整理し結果を出すことです。現状では、多くのクラブスタッフがチームの順位にモチベーションを左右されてしまっている。リーグ順位を上げることは強化部、並びに監督のミッションであり、厳密に言えばフロントスタッフのミッションではないんです。彼らは、「ガイナーレ鳥取が鳥取県にあってよかった!」と地域の人から思われるような活動、スタジアム集客などの場づくりに徹すべきで、そこが明確になることで、組織が連動するように整理していきたいと思っています。
ガイナーレ鳥取を通して、県民が元気になるような活動、接点を増やしていきたいと思っています。鳥取で成功した事例が生まれれば、オープンイノベーションの発想で、そのフレームを他のクラブにも横展開できると思います。うちだけでなく、Jクラブ全体の底上げをすることができたら理想ですね。
「孫さんのようなタイムマシン経営」が気になります。何なのでしょうか。アメリカのスタイルは全く参考にならないと思います。日本サッカー界の今の構造はアメリカと相入れない形。今の村井チェアマンはヨーロッパ、特にドイツを向いていると信じています。なので、アメリカ的なビジネスモデルは日本では通用しないと。そういう流れで高島部長さんが「地域」に目を向けたのは素晴らしい事だと思います。鳥取さんといえば、塚野社長が選手時代から続けている「公園遊び」に代表される地域に根差すクラブづくり。芳名帳に代表される地域性。それを継承しないと、地域が相手にしてくれないと思います。
鳥取さんのビジネスモデルが成功し、Jクラブ全体の底上げが図られる事を楽しみにして、見守らせていただきたいと思います。鳥取さんは現在J3の6位。早くJ2に戻ってきて、また陰陽ダービーを観たいです。
フォーブスジャパン該当記事②:https://forbesjapan.com/articles/detail/21769
〃 ①:https://forbesjapan.com/articles/detail/21770
「しばふる」関連:https://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20171102
J3鳥取関連:30 / 29 / 28 / 27 / 26 / 25 / 24 / 23 / 22 / 21 / ⑳ / ⑲ / ⑱ / ⑰ / ⑯ / ⑮ / ⑭ / ⑬ / ⑫ / ⑪ / ⑩ / ⑨ / ⑧ / ⑦ / ⑥ / ⑤ / ④ / ③ / ② / ①