CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債

2014-02-12 19:58:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債  作:幸田真音

高橋是清の生涯を扱った小説でした
恥ずかしながら、勉強不足もいいところで、
日露戦争の国債奮闘と、226事件で死んだと
まぁ、その程度の知識しかなかったのですが
驚いた、とんでもない、
そんなところの話しではなかった
猛省といいますか、高橋是清を
今まで知らずに生きてきたということが恥ずかしい
そう思うほど、堂々の、そして波乱の生涯でありました

幼少の頃にまかり間違って
外国で売られたという話しは、どっかで聞きかじってましたが、
そのくだりから始まって、いや、そもそも
百姓だか、足軽だかわからないような身分で、
それほどの教育を受ける機会がなかったはずなのに
独学というか、たまたま置かれた状況がよかったというか
外国語、主に英語を覚えることができてから
がらりと様相が変わり
艱難辛苦に耐えながら、アメリカでの生活を潜り抜け
帰国すれば、賊藩のものとさげすまれ
それを隠すためにの苦労を重ねてと
散々だった様子

そっから、いろいろとあって、放蕩三昧やらの
人間味に溢れた生活を若くして行いながらも
それでは駄目になると、人生一週回ったみたいな回天
これがまた、10代そこそこでというのが凄い
どんな麒麟児だったんだろうか
その後も、20歳にかかるかどうかくらいで
英語の語学師範めいた仕事を行い、
あまつ、学校を立ち上げる事業までやってのける

そして、あれこれと立ち上げては取り上げられ、
昇っては、転げ落ちてを繰り返しながら
ついに事業家に転進
そして、これもまた、酷い失敗を繰り返しながらも
その撤退の手際や、責任の取り方
そういった努力というか、もう生活の一部だったであろう
苦労の連続を駆け抜けて
気づいたら、随一のバンカーになっていた

と、そんな具合でもなかったのですが
ともかく、私では到底こなしきれるわけもない
その途方もないほど大きな使命と責任をまっとうするため、
罵詈雑言を浴びながらも、飄々とこなしていったと
とんでもない経済人であった様子は
本当、もう、尊敬と畏敬、
なんと唱えたらいいかわからないほどの
圧倒的なものを覚えたのでありました
近代の日本を作った一人に間違いがない
維新の英傑よりも、むしろ立ち上げたこの事業のほうが
大きいのかもしれないと思うほどでありました

その後、軍部と、あるいは政治家とといったところ
このあたりは、より詳しい人たちによれば
書き方がなまちょろいというか、少し政治向きと違うと
そんなことのようでありますが、
原敬という人も、立派であったと描かれるくらい
高橋是清よりだったのかとか
いくつかの勉強をさせてもらい
なんとも、非常によい本を読んだと大満足なのでありました

ただただ、高橋是清という人物の凄さ
その事業の大きさに、頭が下るというか
目が覚めるような気分なのでありました