CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】シャーデンフロイデ 人の不幸を喜ぶ私たちの闇

2018-09-24 21:32:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
シャーデンフロイデ 人の不幸を喜ぶ私たちの闇  著:リチャード・H・スミス

長く苦しい読書でありました
最近、ちょくちょく聞くようになった「シャーデンフロイデ」という言葉、
その意味というか、ようは「ざまあみろ」という喜びについて、
なぜそんなことを思ってしまうのか、
どうしてそれが、こんなに楽しいのかというのを
様々な実例を集めて紹介しつつ、人間の根源的なものとして
備わった感情ではないかと、とつとつ語り続ける本でありました

学術書というわけではないのだけども、
相当量を実証に費やしているため、
これによって、シャーデンフロイデというものが定義づけられたのかもと
思ったりしながら読んだのでありますが、
どれも初めて聞いたというのに、なるほどというか、
そんなの知ってたと、思わず言いたくなるような
普遍的な、誰にでもある感情のひとつではないかと
思うところでありました、本書の内容も、実際そういうことなのであります

成功者を妬むということから発生する強い、暗い動機、
他人の不幸を臨むという心理についてが、
こんこんと語られていまして、ひいては、これがナチスの蛮行
ホロコーストに繋がったのではないかとも論じていて、
一理というか、あるんだろうなと思わされるのでありました

なんの恨みもない人なのに、
なんとなく、社会正義という名前のものによって、悪と決められたものが
失敗するというのは胸がすいて素晴らしいと
ドラマのお決まりパターンが、まさにこれを満足させているようで
この効果がどれほど人の判断に影響を及ぼすかなど
様々な検証が行われていたのでありました、
まぁ、読んでいて、ともかく思った以上に
この魅力に人間は抗えず、そして、凄い勢いで何か正当化してしまう
他人に気概を加えたり、不幸を願ったりという
不当ともいえるそれを、見事正当化させるのが
シャーデンフロイデという闇であるようで、
こいつはそうなってもいい、なんていう唐突ともいえるロジックが
しっかりと創られれば作られるほど
がっちりとはまりこんでいき、極端な喜びに満たされるのでありました

このことについて、自身にもあるなと感じるんだが
なんとなし、その喜びを味わったあとに
どこかばつが悪いような気持ちも持つと
個人的には思うのだけども、
この本ではそういったことはかかれず
徹底して、その喜びに満たされることで終わってしまい、
この感情か、感覚か、ともかくシャーデンフロイデを認識したあとに、
恥ずかしいではないが、少しばかりの後悔なんかが
やってこないのかしらと、ガイジンに対してなのか
あるいは、根本的に違うことなのか
自分とは異なるのかもしれないということを思い知らされるのでありました

マーサ・スチュワートとタイガー・ウッズの例があげられていたけども、
この手の成功者が被るしっぺ返しめいたものを見るにつけ、
人間はどう生きていったらいいのか、凄い考えさせられるなと
面倒くさいことこのうえない、成功なんかしないほうがいいんじゃないかと
極端なことすら思わされるのでありました
笑われるというのは、いささか、きつい仕打ちなんだなと
改めて思うのである