CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】三体X 観想之宙

2023-02-20 20:55:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
三体X 観想之宙  作:宝樹

三体シリーズの二次創作のような小説であります
その後を描いた内容になっているんだが、本家とは別の、
なんだったら素人が書いたそれなんだそうだが、
熱烈なファンが創造した新しい三体世界が描かれているというものでありました

雲天明が主役で、本作と永遠の別れともいえるそれを体験した後、
どのように過ごし、何をしていたか、そして大宇宙にある謎というか、
大きな存在というものの正体やら、色々なことが描かれていて
なかなか面白かったのであります
正直、三体本編の三部とかほとんど覚えていなかったので、
こんな話だったっけとか思いつつ読んでしまったんだが
これはこれで楽しめたのでよしとするのである

本作で、三体人というものが、昆虫に近い、
それも社会性昆虫に近いそれという描かれ方をしているのが面白くて、
嘘をつくことができない、直接思念の受け渡しをしているというのは、
つまるところ、各個体がすべてリンクされているという解釈になるのかと
なるほどとうなってしまった
このイメージは、ケンリュウだったかもやっていたような、
人間を使って電子回路を模倣するそれの最たるものなんだなと感じて、
中華SFにはこれが欠かせない要素なんだろうかと思ったりしたのである

そんなあれこれを経つつ、本編でかわいそうとしか思えなかった雲天明に、
新たなミッションがあって、大活躍するというのはいいことだと
パートナーとのなんともいえない恋情というか、生活も含めて
救われたように思えて楽しめたのでありました

割と砕けたところも多い内容なので、
武藤蘭という日本のAV女優がものすごくクローズアップされているのが、
この作者世代の中国人にとっての夢というか、ある種のアイドルなんだなと思わされたり、
結構ごたごたと日本のSFが引用されたりしているのが印象的というか、
中国のヲタクの生態がちょっとだけわかったような気分になれるのもよかったと思うのである
文化面からの侵略という言い方は、どうなんだ、
というか、そんなにすごい影響が本当にあったんだろうか、複雑な気分で読んでしまった

最終的には、宇宙が繰り返されるという話に収れんしたように思うんだが、
これもまた、ひとつの解なのかと思いつつ
SFは難しいでもないが、面白いと思って、もっと深くまではまるほどではないと
自分に適性めいたものがないのだろうと感じたりもしたのであった
まずまず楽しんだのでよしとする