タイトルに気を使ってしまいました。だって、映画「どろろ」は今日から上映でしょ。乱暴に「どろろ」と打ってしまったら、勘違いしてしまう人もいるかもしれませんよね。映画は見に行きますよ。評価もどこでロケをしたかも私には関係ありません。「どろろ」と名前が付いていたら、出かけて行きたい私なのです。
ちょっと前の記事の「10代バトン」の中で、自分が子供の時に読んだ本で、自分の子供に買ってあげた本は「みどりの指」だけだったと書いてしまいましたが、漫画のことを忘れていました。「W3」「どろろ」、この二冊は、自分の子供にも読んでもらいたくて買ってあげました。
子供に買ってあげたからって、別に教育的な何かがあってのことではないですよ。子供に、私の好きだったものを知ってもらいたかった、ただそれだけのことなんです。
好きだったんですよ、この「どろろ」。だって、百鬼丸がかっこいいじゃないですか。何からでも守ってくれる様な気がしていました。
親の野心のために体のパーツを奪われてしまった百鬼丸と戦乱の世で一人たくましく生きる「どろろ」。映画のストーリーがどうなっているのか分からないので、迂闊なことは書けませんが、エピソードの一つ一つがピシッと決まっていて、天才手塚治虫ワールドに引き込まれてしまっていました。
ですが何しろ少年誌掲載なので、それを読んでいたのは歯医者さんの待合室で、ごく一部だけです。ですから子供の為とか言いながら、全編通して読みたかったのは私自身だったのかも知れません。「W3」は完全にそうです。それはアニメしか知りませんでしたので原作がどんな話だったのか、読んでみたかったのですね。
それでは、一部しか知らない「どろろ」を、どうして大好きとまで言えるのかといったら、それはやはり「W3」同様にアニメの影響です。野沢那智の百鬼丸、はまりまくっていましたよね。どろろは野沢雅子だったのでしょうか、覚えていませんが可愛かったですよ。
このアニメは音楽もタイトルバックも素晴らしかったのです。
―ほげほげほげたら、ほげたらぼん、。。。。。お前らみぃんなほげたらだ~♪
子供の時には、この歌がただ軽快な楽しい歌にしか感じませんでしたが、大人になった今では、ちょっと違うニュアンスを感じます。要するに「反骨精神」です。
オープニングかエンドロールかまでは覚えてはいませんが、百姓一揆とそれに加わっていくどろろの映像が流れます。子供の時の私はこの映像にいちころです。なんていうか、民衆パワーの迫力を感じ、この話はただの妖魔退治のそれではないのだと伝わってくるのです。ですから、最初4話は2話完結で百鬼丸の生い立ち、どろろの生い立ちを描いていましたが、涙なくしてみることは出来ません。
ですが、スポンサーのクレームによってこの作品がいきなりその作風を変えてしまったことは有名なエピソードです。暗い、映像がショッキング。義眼であっても、その目が抜け落ちるわけですから、昔のアニメとしては、かなりハードだったかも知れませんね。作風変えた「どろろ」は、妖魔退治に徹していて、面白いけれど初めの格調の高さなど及ばなくて物足りないような感じでした。スポンサーのば~かとか言ってやりたいところですが、物事は全て表裏一体。
このアニメはかなり大昔の作品。私も小学生中学年なら、妹は幼児。さらなる妹は生まれていたかどうか・・。妹には理解できずに、裏番組のお笑い番組を見たがって、全ての作品を見ることは出来ませんでした。でも、作風変えた頃から、誰もが見ることが出来る作品になったようで、後半の方はかなり見ることが出来たと思います。見逃したぶんは再放送で見ればいいやと思ったのが運の尽き。アニメ「どろろ」の再放送を見たことがないのです。まさに幻の作品になってしまいました。
今ならDVDで買って見ることも出来るのでしょうが、(だいたい7千円ぐらいで買えるのですよ。)主婦ですし、そこまではちょっとねぇと思っています。今となっては幻のままでいいかなと思っています。
とにかく妖魔をたおして自分を取り戻していく百鬼丸の最後の敵は、自分に過酷な運命を与えた者。その戦いと、圧制に立ち向かおうという民衆との戦いがリンクしていった時に、物語のクライマックスがやってきます。
手塚治虫の御子息が、昔、父親の作品で「どろろ」が一番好きだと言っていたように思います。手塚治虫には数々の名作がありますが、この「どろろ」は間違いのない傑作だと思います。
映画も楽しみです。