今朝、要らない服を何枚か捨てた。その中にサマーセーターが二枚あった。もう何年も前から着ていない。着ないけれど、思い出があるから取って置いた服だ。その服を手にとって見たとき、何も心が動かなかった。もう捨ててもいいんだなと思った。
若い頃、小さなアパレルの会社にいた。私はそこでは、あまり巧くいっていなかったと思う。ストレスは胃を傷つけて、胃潰瘍になんてものにもなってしまった。それでも、止めたら負けだと思って頑張ってしまった。結局私が潰れる前に、会社がいってしまった。今はない会社である。
いたのだって4年ぐらいで大したことはないと思う。だけど、今でも時々夢に見る。「私を雇ってください。」と夢の中の私は言っている。
そう、今ならもっと巧くやれる。今なら分かる。甘っちょろい良い会社だった。だから潰れたのかも知れない。
だけどこの会社、今思い出に浸っていたら、本当に面白い会社だったんだなぁと気が付いた。そのことにぜんぜん気が付かなくて、胃に穴なんてあけてた私は、若かったんだと思う。
ところで、肝心のサマーセーターの話。アパレルの会社なので、毎年会社のある人たちは、何回もイタリアなんかに行く。そのたびにお土産なんかを買ってきてくれる。もちろんブランド品などではないが、アクセサリーやスカーフや、そのサマーセーターなど。みんななんとなくセンスが良くて気に入っていた。そのサマーセーターは新婚旅行にも持っていったくらいだ。
ある日社長が、あいつの買ってくる土産なんか、その辺の露天で売っている安物だと毒づいた。でも、私はそれを真に受けて、あるときイタリアに旅行に行く義母に、
「イタリアにはその辺に露天が出ていて、安いアクセサリーなんかが買えるらしいよ。私は、出来たらそれが欲しいから、お土産に買ってきて。」とおねだりしてしまった。そんなところはなくて、義母は苦労したらしい。
「若いという字は苦しいと言う字に似てるわ~♪」とかいう歌があるけれど、若いときは愚かさゆえに、苦い思いでいっぱいだ。
何かをしてもらっても、それが当たり前のように感じていた傲慢な自分がそこにはいた。
会社の男達はみんなおしゃれだったが、中味はよれよれのスーツのようにくたびれ果てていた。そして、いつだって優しさを求めていた。男も女も外で仕事を持つと言うことは大変なことなのだ。
私はその服を見るたびに、その頃のざわめきを思い出していたのかもしれない。
そしてもう一枚。
やはり結婚間近の頃、大学の友人宅にみんなで泊まりに行ってプチ同窓会をやった翌日、池袋をみんなでうろうろした。その時池袋西武のワゴンセールの中にあったもので、ひとめ見て気に入ったもの。今でも、同じ体型だったら着ていたいくらい好きな色だった。だけど、好きだったから着られなくなったのに取って置いたのではない。
その服は、その時の思い出の半券のような物だった。遠い昔に逝ってしまった友人との思い出だった。
そんな服なのに捨ててしまったのかって?
だけど、大丈夫。思い出のチケットはこのページに貼り付けたから。
若い頃、小さなアパレルの会社にいた。私はそこでは、あまり巧くいっていなかったと思う。ストレスは胃を傷つけて、胃潰瘍になんてものにもなってしまった。それでも、止めたら負けだと思って頑張ってしまった。結局私が潰れる前に、会社がいってしまった。今はない会社である。
いたのだって4年ぐらいで大したことはないと思う。だけど、今でも時々夢に見る。「私を雇ってください。」と夢の中の私は言っている。
そう、今ならもっと巧くやれる。今なら分かる。甘っちょろい良い会社だった。だから潰れたのかも知れない。
だけどこの会社、今思い出に浸っていたら、本当に面白い会社だったんだなぁと気が付いた。そのことにぜんぜん気が付かなくて、胃に穴なんてあけてた私は、若かったんだと思う。
ところで、肝心のサマーセーターの話。アパレルの会社なので、毎年会社のある人たちは、何回もイタリアなんかに行く。そのたびにお土産なんかを買ってきてくれる。もちろんブランド品などではないが、アクセサリーやスカーフや、そのサマーセーターなど。みんななんとなくセンスが良くて気に入っていた。そのサマーセーターは新婚旅行にも持っていったくらいだ。
ある日社長が、あいつの買ってくる土産なんか、その辺の露天で売っている安物だと毒づいた。でも、私はそれを真に受けて、あるときイタリアに旅行に行く義母に、
「イタリアにはその辺に露天が出ていて、安いアクセサリーなんかが買えるらしいよ。私は、出来たらそれが欲しいから、お土産に買ってきて。」とおねだりしてしまった。そんなところはなくて、義母は苦労したらしい。
「若いという字は苦しいと言う字に似てるわ~♪」とかいう歌があるけれど、若いときは愚かさゆえに、苦い思いでいっぱいだ。
何かをしてもらっても、それが当たり前のように感じていた傲慢な自分がそこにはいた。
会社の男達はみんなおしゃれだったが、中味はよれよれのスーツのようにくたびれ果てていた。そして、いつだって優しさを求めていた。男も女も外で仕事を持つと言うことは大変なことなのだ。
私はその服を見るたびに、その頃のざわめきを思い出していたのかもしれない。
そしてもう一枚。
やはり結婚間近の頃、大学の友人宅にみんなで泊まりに行ってプチ同窓会をやった翌日、池袋をみんなでうろうろした。その時池袋西武のワゴンセールの中にあったもので、ひとめ見て気に入ったもの。今でも、同じ体型だったら着ていたいくらい好きな色だった。だけど、好きだったから着られなくなったのに取って置いたのではない。
その服は、その時の思い出の半券のような物だった。遠い昔に逝ってしまった友人との思い出だった。
そんな服なのに捨ててしまったのかって?
だけど、大丈夫。思い出のチケットはこのページに貼り付けたから。