森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

あるよ!<3> 「アクメツ」

2008-09-24 15:07:01 | 漫画・マンガ・まんが
漫画の感想「あるよ!」繋がりで思い出したお話です。
このブログをはじめた頃のことなので、ちょっと古いお話なのです。


ある日の昼食時、話題は官僚の事だったり、議員年金の事だったり(あれは一体どうなったんじゃ!)年金の話だったりでイライラすることばかり。言葉がナイフのようになってしまう我が家の食卓は超過激な食卓なんです。呪いの言葉さえ飛び出します。

私はそれもちょっと嫌なんです。それでとぼけて言いました。


「じゃぁ、彼に頼んでくださいよ。ほら、ええと、題名なんだっけなあ。今度映画になるって言ってるアレ。」

「何、それ?」

「エッ、君知らないの?映画に成るって話題になっていたよ。」
子供より先に情報を仕入れたので、ちょっと得意な私。でも題名が分からない。
「ええとね、高校生が悪いやつらを暗殺していくとか言うやつ・・じゃないかな。」

「ああ~、あれか。」
「あれだな。」
「それ、あるよ。」
「まあ、やっぱり~。若い人に凄く人気があるんですってね。ぜんぜん知らなかったわ。」
「まあ、面白いよ。・・・?」
「だけど・・、映画化?過激じゃねぇ?」

ラッタ小僧とルートッチの微妙な反応は気になりましたが、休日の午後はソファでゴロゴロ読書タイムです。

―だけど、なんか可笑しいな。確か藤原竜也が主演って言ってなかったっけ?
(その頃から好きだったけど、今ほどではなかった、たっちゃん)
―こんな仮面なんか被っちゃう、彼が?
―こんなハイテンション、うわ~、何コレ、超過劇アクッション漫画じゃない・・・

と思って、ふと本の背表紙見て気が付きました。

「秋田書店、・・・秋田・・あれ、コレ『チャンピオン』じゃん。」

なぜか私は、こういう知っていてもあまり役に立たない知識は豊富なんです。


「あのう、私が言ったのはこれじゃなくて、『ジャンプ』掲載で、エーット、そうそうノートが凶器って言うやつ。」


「ああ、なんだ。『デス・ノート』ね。へエ、アレ、映画に成るんだ。あれもあるよ。ルートが持っている。」

「アッ、別にいいや。これ面白いから。一応、人と話をした時に恥を掻かせたら悪いから訂正に来ただけ。」


という訳で、私が最初に言ったのは「デス・ノート」。子供が貸してくれた本は「アクメツ」でした。wikipediaでそのページを見ると、二つの作品はテーマが似ているので、良く比較されるというようなことが記載されていて、我が家であったような混同も無理のないことなのかもしれません。


バイオレンス漫画であるこれは、一人一殺。悪を倒すと共に、自らを罰して処刑する。だけれど、また復活してアクメツは登場してくる。そのカラクリが知りたくてい一気読みしてしまいました。一冊読むたびに、自分の推理を語りにいく母の存在は、かなりお邪魔虫。

「読めばわかるよ。」
「ヤダ。先に推理するのが楽しいの。死んでると言っているけれど、死んでいないわけ?」
「イヤ、ちゃんと死んでるよ。」
「復活する体質・・・、でも、爆死で木っ端微塵もいるじゃない?」
「復活していないよ。ちゃんと死んでる・・・、アッ、でも復活といえるのかな、アレも・・」
「あっ! 閃いた。」



何度でも復活するアクメツの秘密は、そんなには引っ張られることはなく途中で分かります。
「デス・ノート」が死神と言う存在を登場させる、ブラックファンタジーであるのに対して、こちらはSF。

悪を憎み、悪といえども死の制裁を与えることに、自らも裁くアクメツ。過激な発想であリ、共鳴できるものではありません。でも人は「巨悪」というものにイラつきと憎しみを抱きつつ、どうして善いのかわからないジレンマの中で生きていることも多いのではないでしょうか。そんなジレンマの発散として、物語のヒーローは誕生してくるのですが、アクメツはそういった意味で、立派なダークヒーローで魅力たっぷりだと思います。


絵柄的に、女性には支持を得難いかもしれませんが、同じ暗殺者としてみるならば、キラよりアクメツの方が好きなんです。

印象に残ったエピソードは
日本の道路は彼に聞けという、政治と癒着の道路男が道路になってしまうお話。気持ち悪いし恐ろしい。
実在人物を連想してしまうのも過激。

―これの映画化、いやいや、アニメ化だって難しいよね。と、独り言。

「サンキュ!」
「へぇ、全部読んだんだ。キャーとか、ゲゲっとか言っていたのに。」
「まあね。でも面白かったよ。はい、返す。」
「いや、これはルートの本。」
「えっ、過激だから君の本かと思ったわ。」
「いやあ、彼の本って結構ヤバイ系いっぱいよ。」

「エッ、なにか。」と彼は穏やかに微笑みつつ登場。


・・・・・・・ということは、彼はアレ? 
の心の声「ルート君、君は、むっつり過激~
















アクメツ 1 (1) (少年チャンピオン・コミックス)
田畑 由秋
秋田書店

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